- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344979048
作品紹介・あらすじ
社員の7割が知的障がい者のチョーク工場が、"日本でいちばん大切にしたい会社"と呼ばれるその理由とは-。家族の宿命と経営者の苦悩、同僚の戸惑いと喜びを描いた感動のノンフィクション。58年もの間、障がい者雇用を続けながら、業界トップシェアを成し遂げた日本理化学工業。
感想・レビュー・書評
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社員の7割が知的障がい者というチョークメーカーの日本理化学工業のノンフィクション。
いわゆる社会貢献献企業の活動記録かと思ってしまうが、どうしてどうして。
企業として存続ために利益も追求し、業界トップメーカーに上り詰め、更には画期的な新製品で新たな市場開拓にも成功、それでいて働いている障がい者は会社に無くてはならない存在だという。
なんか夢物語のような内容だが全て本当のお話。
経営者、健常者の社員、障がい者の社員とその家族。彼らにそれぞれ丁寧なインタビューをしてまとめられた内容に感動してしまった。正直に言うと泣いてしまったのであった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人の幸せについては必ずしも固定してはいけないし一致しないとは思うけれど、多くの老若男女の根底にあるものはそうなのだと思う。
・人に愛されること
・人に褒められること
・人の役に立つこと
・人から必要とされること
第4章あたりから、興味ぶかくなってきました。実際の経緯など。その社会貢献が大まかな金額なども考えると凄いです。
節税の額はそれだけの額が日本に貢献しているという事。
こういった素晴らしい仕組みと取り組みが、デジタルやオートメーションの発達し過ぎによって奪われないでほしいですね。
このコロナ禍など経営大変だったのでは?
キットパス私も欲しいなと思いました。
大山会長に三顧の礼で頼んだ林田先生。「就職は諦めましたが、せめて仕事の体験だけでもさせていただけないでしょうか。私はこの子たちに、一度でいいから働くというのはどういうことか、経験させてあげたいのです」
とおっしゃった養護学校の林田先生の話ももっと読みたいです。
人の役にたつって思いの外難しいですよね。
あとルポのせいか、文体があまり好きではないので大山さんの自伝を読みたいと思います。
ちなみに第2工場美唄にあったんですね。
あの近くで夏はたまにテニスしてました。
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この会社の存在は知っていたが、表面的な知識だった。今回、この本を読んで、改めて本当に素晴らしい会社だなと思った。
本書のサブタイトルは「働く幸せを実現した町工場の軌跡」。内容について直接的な表現をすれば、「障がい者雇用で成功を収めている会社の話」というようなことになるかと思うが、この本の表紙には「障がい者」という文字はない。
「働く幸せ」を感じているのは、この会社で働く障がいある人たちだけではなく、社長も健常な従業員も、障がい者の家族もであるからだろう。
この本では、著者が直接工場を訪れ、現地リポートをし、直接はたらくスタッフにインタビューし、そのご家族にもインタビューし、健常なスタッフさんにも、もちろん社長にもインタビューしていている。その内容で感じられるのは、すべての関係者が「自分自身の幸せ」を感じていることだ。
こんなことができる会社はスゴイ。
「障がいがあるのは個性だ」とはよく使われる表現だが、この本に登場する障がい者たちは、本当にすばらしい個性を持っている。障がいがあるからこそ、健常者より優れた能力があるという個性を持つメンバーもいる。
本書の最初にカラーのフォトが掲載されているが、その全ての登場人物の表情が本当にいい。まったく個性豊かな顔をしているし、仕事人の顔も見られる。
そしてこの会社を「日本でいちばん大切にしたい会社」に方向づけた大山泰弘会長の優しい顔も掲載されている。
障がい者雇用では、「身体」や「精神」に比べて「知的」がもっとも難しいというのが一般的な感覚だが、そんな感覚と常識を完全に覆すことに成功し、いや成功とかそんなちっぽけなことすら考えないで、すべての関係者の幸福を生み出し、なおかつ利益も生み出すことに成功している、この会社は本当にすごいと思う。
経営で様々な困難もあるようだが、まさに日本でいちばん大切にしたい会社であると正直に思える。 -
知的障がい者を積極的に雇用し、テレビや書籍などのメディアにも紹介された日本理化学工業に関わる人にスポットライトを当て、同社の今までの道のりや製品に対する熱い想いをノンフィクション作家の小松成美氏が書いた一冊。
本書を読んで、同社の歴史や働く先代や現在の経営者や障がい者の家族、元従業員の方など様々な方へのインタビューを通して書かれており、同社に関わる全ての方が仕事を出来ることに誇りを持っていることを知り、非常に胸が熱くなりました。
製造の際に障がい者でもできるように工夫することで製品に一切の妥協を許さない姿勢や長きを経て熟練した技術を身に付けた障がい者の方に対する尊敬の念、働くことによって見出す幸せを実現し、障がい者だとしても1人の職業人として平等に接する経営者の想いなど障がい者雇用を積極的に行う同社について知ることができました。
役に立ち必要とされるということを働くという人間の本質を障がい者の方に感じてもらうために働くことによって実現し、皆働社会を実現しようとする日本理化学工業の偉大さも理念の素晴らしさを感じるとともにこの国が大きく変わっていく中で同社の取り組みというのが経済的にみても非常に大切なことであることを本書で知ることができました。
そして、自分にできることをやってみようと気持ちも新たにしようと本書を通じて感じました。 -
日本理化学工業の会社やチョークの存在は知っていたが社員の大半が知的障害を持っていることは知らず驚いた。
共生ではなく皆働というところが印象的だった。また、こちら側から無理に教えるのではなく相手の理解に合わせること、どうして出来ないかではなくどうしたら出来るようになるのか考えること、という箇所が心に響いた。 -
知的障がい者雇用の先駆けと言われる、日本理化学工業株式会社を題材に、ノンフィクション作家が取材して著した本。
良い会社だし、素敵な本だと思うのですが、著者の人柄が良すぎるのか(編集者の依頼で本著を書くことになったという経緯をわざわざ書くあたり誠実な方なのでしょう)、まるで会社の広報冊子のようになってしまっている気がしました。
敢えてドラマチックな苦労を描くのは避けたのかもしれませんが、もっと、例えばチョーク販売の海外進出って大変そうだし悩みもあったと思うのですが、そんなエピソードだったり、経営理念にあこがれて入社した若い社員には理想と現実のギャップがあって大変だったのではとか、そんな話が読めたら面白かったのでは。経営判断は外部に開示しづらいし、実名表記であることを踏まえて書きづらい話もあったのでしょうか。
あと、チョーク製造は体力が必要なので若い方が担当されているような記述があったと思うのですが、定年過ぎまで勤めあげられた障がい者の方もいるとのことで、そこにまつわる業務上の試行錯誤なんかもあったのではと。
ただのアリバイ作りにとどまらない、本当のノーマライゼーションが進みつつあるからこそ、これから更に輝く会社なんだと思います。
そして、このような取り組みは他の企業も追随していくべき話で、だからこそどう工夫していくべきなのかをもっと知りたかったなぁと感じました。 -
素敵なお話で、心が温まった。
普段使っているチョークのお話だったので、親近感を持ったのだけど、従業員の7割が障害者である事実は知らなかった。
チョークそのものは書きやすくて、硬さもちょうどいいし、ほんとに粉が出ない。色んなチョークの会社があるんだろうけど、並んでいたら一目瞭然で、つかむ部分は薄くコーティングされているので手が汚れにくいし、黒板に書くと、細さや薄さも他のものとは違っているなぁと感じていた。
こんな会社で作られたということで、ひとつひとつが心意気によるものなんじゃないかと思えました。
障害を持っている人も、健常者も、それぞれが輝ける環境がある。
一人一人が大切にされる、役に立てる環境をつくっていくために、多くの努力をしてきたことが伝わってきた。
利益を得ることばかりではなく、従業員のしあわせの実現のために会社があるという考えがとても素敵だった。
働く人のしあわせな姿に、心がいっぱいになり、涙がでそうだった。
障害者が懸命に仕事をしている姿はとても実直で、仕事に対するひたむきさが純粋に感じられた。
働くことを、辛いこと、やらなければならないことだと思わず、懸命に、丁寧に仕事を仕上げる従業員の姿から、誠実さを学ぶことができる。
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テレビで紹介されてて、即読みたいと思った。
どんな人にでも働ける場所があるって大事。
知的障がい者って本当は才能に溢れてる人が多い気がする。
その特性を活かして、みんなが幸せになれるって素晴らしい。
人としての幸せ
人に愛されること
人に褒められること
人の役に立つこと
人から必要とされること -
かの有名な日本理化学工業を扱ったルポルタージュ。
若干情動的な感じはあるけれど、知的障害者を一戦力として雇用し続ける企業理念と、それに全力で応え続ける従業員の熱意が伝わってくる。
この会社の在り方が日本の社会の在り方になれば、誰もがあるがままであたりまえに幸せを追求できる社会が実現するのではないか。それに対して自分ができることは?
いろいろ考えるきっかけにしたい。