めだか、太平洋を往け (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.18
  • (67)
  • (61)
  • (28)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 629
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344431126

作品紹介・あらすじ

1

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 重松氏らしい心にじんわりと響く作品。
    518ページあっても、全然長さを感じさせない。
    どんどん作品の中に引き込まれる。
    生きること、生き抜くこと、そして死。
    かなしいけれど、しっかりと今を生きようと思わせる。
    大切に持っておきたい一冊です。


    メモ
    「ひととひとを比べてはいけない」

    「迷惑をかけてもいいのよ、心配をかけてもいいのよ、一緒に暮らすっていうのは、そういうのを全部引き受けるってことなんだから」

    「どうせすぐに死んじゃうめだかなんだけど、死ぬ前に誰かの役に立つことができて喜んでいるのかもしれないねって」

    「すべての子どもには「楽しい場所」が必要なの。だから、教室を少しでも「楽しい場所」にするのが、先生のしごとなのよ。」

    「楽しい」というのは、テレビのバラエティ番組のような面白さだけじゃない。「楽」には「ラク」という読み方もある。ここにいれば気持ちが楽になって、心が安らいで、つらいことも忘れられる、、、、そういうのも、とても大事な「楽しい」なのだ

    20人21脚

    「みんな」の中でほんとうにうまくやっていくたみに必要なものは、じつは「正しさ」ではなく、「ずるさ」だったりするものなのだから。

    「正しさ」はとても大切なことでも、「幸せ」の方がもっと大切でもっと尊い。学校とは、子どもたちに「正しい人生」を歩ませるために設けられた教育の場ではなく、子どもたちに「幸せな人生」を送ってほしいからこそそのために必要な知識や知恵や「正しさ」を教える場ではないのか

    「ストレスは「解消」じゃなく「解決」しなくちゃだめなんじゃないんですか?」

    「そう、優秀な教師や、正しい教師、強い教師じゃなくて、いろいろな子どもたちを包み込める大きな教師になりなさい」

    「だって、世界中に何十億人っていう人間がいて、その九九、九九九九九九九パーセントのひととは一生出会えないわけでしょ?だから「出会う」っていうのは「奇跡」と同じ意味だと思ったんだ、僕」

    • いるかさん
      地球っこさん こんにちは。

      今年は地球っこさんと いろいいろやり取りができて良かったです~
      本を読むのも楽しいですが、レビューを見る...
      地球っこさん こんにちは。

      今年は地球っこさんと いろいいろやり取りができて良かったです~
      本を読むのも楽しいですが、レビューを見るのもすごく楽しいです。

      こちらこそ来年もよろしくお願いいたします。
      よいお年をお迎えくださいね。。
      2021/12/31
    • Macomi55さん
      いるかさん
      いつも「いいね」有難うございます。今年も宜しくお願いします。
      「正しさ」よりも「幸せ」のほうがもっと尊い。なるほど、深いですね。...
      いるかさん
      いつも「いいね」有難うございます。今年も宜しくお願いします。
      「正しさ」よりも「幸せ」のほうがもっと尊い。なるほど、深いですね。ほんとそのとおりですね。でも、「幸せ」って抽象的で難しいから、「幸せ」より「正しい」のほうが教えやすいんでしょうね。
      「幸せ」になるための手段が目的になってしまったら、いびつな道徳になってしまうのでしょうね。
      2022/01/06
    • いるかさん
      Macomi55さん 
      コメントありがとうございます。
      今年もよろしくお願いいたします。
      正しさも大切ですが、学問や人付き合いも含めて...
      Macomi55さん 
      コメントありがとうございます。
      今年もよろしくお願いいたします。
      正しさも大切ですが、学問や人付き合いも含めて、生きてゆく力をつけるのが学校のような気がします。
      子どもたちにはみんな幸せになってほしいと思いますし、それが社会の在り方だとも思います。
      本を読むことはいろいろな意味で大切だと思うので、子どもたちにも良い本を読んでもらいたいと思います。
      これからもよろしくお願いいたします。
      2022/01/06
  • いるかさんの本棚で見つけ、図書館予約

    この表紙、被災した北三陸市の海岸に立つ翔也だろうか?

    定年退職した元小学校の教師「アンミツ先生」と家族、教え子たちが綴る、やるせない、そしてあたたかい話である。
    先生が話した「メダカ」を軸に展開していく。

    いろんな逸話があるが、とりわけ、亡くなった先生の息子のパソコンに綴られた翔也への想いは胸に響いた。
    ゆっくりと居場所をさがせ、
    メダカ、太平洋を往け

    ≪ じんわりと 届けるんだよ 教師って ≫

    • いるかさん
      はまだかよこさん おはようございます。。

      重松 清さん 一番好きな作家さんなんです。
      重松さん自身が転校を繰り返し、吃音もあり、学校...
      はまだかよこさん おはようございます。。

      重松 清さん 一番好きな作家さんなんです。
      重松さん自身が転校を繰り返し、吃音もあり、学校の先生も経験していて、子どもたちの気持ちをよくわかっているので、その目線が大好きなんです。
      本棚を見てくださって、素敵なレビューを書いてくださって、とてもうれしいです。
      ありがとうございます。
      2022/08/14
    • はまだかよこさん
      わざわざコメントありがとうございます。
      私も重松清さんの温かさが大好きです。
      よくぞここまで少年になれるなあと。
      いろいろな体験をされ...
      わざわざコメントありがとうございます。
      私も重松清さんの温かさが大好きです。
      よくぞここまで少年になれるなあと。
      いろいろな体験をされたとはいえ、
      本質の「やさしさ」に触れるとホッとします。
      よ、ね。
      2022/08/15
  • めだかという存在は小さくて、少し離れてしまえば皆同じだと思っていましたが
    人間も同じようなものかもと思いました。
    その人にとってはどうしようも無いほど大きい悩み、悲しみ、楽しさも俯瞰して見てしまえばちっぽけなもので、
    ひとまず「生きてさえいれば良い」のかもなと。

    アンミツ先生と翔也がお互いに少しずつ関係を築いていく姿がとてもほっこりとします。
    不登校の翔也が「ガイジン」と言われるなか、自分なりに居場所を見つけて成長していくのがかっこよかった。

  • 定年退職した元小学校の教師が血の繋がりのない孫や大人になった教え子との関わりを通して、正しさと幸せについて考えさせてくれる心温まる物語。

    心に残った言葉
    ・正しさはとても大切なことでも、幸せの方がもっと大切でもっと尊い。学校とは子供達に正しい人生を歩ませるために設けられた教育の場ではなく、子どもたちに幸せな人生を送ってほしいからこそ、そのために必要な知識や知恵や正しさを教える場ではないか?

    ・どっちが正しいのか先生には何もわからないけど.....でも先生はテンコさんの味方だから。どんな時でも、何があっても、ずっとずうっと味方だからね。
    ・だって、あなたはわたしの教え子なんだから。先生は教え子の味方。ずっと味方。

    ・生きてりゃ誰だってどこかで誰かに迷惑をかけるかけちゃうんだ。そういうものなんだよ、人間ってのは。遠慮なく迷惑かけてくれよ。

  • 定年となった元小学校教師のアンミツ(安藤美津子)先生と、彼女の孫翔也を中心に物語が展開する。
    アンミツ先生の息子夫婦が事故に遭い、血の繋がりがない(息子の奥さんは再婚で翔也は連れ子)天涯孤独となった不登校の翔也と一緒に暮らすことになる。
    そんな状況の中、アンミツ先生はかつての教え子たちに現在どうしているかと思い、手紙を出す。
    しかし、すぐに返事が来たのは、ガキ大将だったヒデヨシと、当時の印象が薄かったクックの二人だけ。
    ヒデヨシは末期癌、キックは東日本大震災の被災地でボランティア。
    彼らと再会する一方、翔也が通うはずの小学校を訪ねると、かつての教え子だったテンコさんが先生に。彼女は、「正しさ」に固執し、「全員一致」を強制し、周りの人びとと軋轢を。
    それぞれが抱える問題に、アンミツ先生はどのように対処するか。
    題名は、かつて教え子たちにアンミツ先生が語った「メダカの人生」から。
    アンミツ先生の息子健夫が生前パソコンに残した、翔也への語りかけには、涙腺が刺激されずにはいられない。
    余命わずかなヒデヨシの生きることへの必死さや、自分のことよりも他人への思いやりを優先するキックのやさしさ。
    物語がまだ終わらずに、このまま読み続けたいと思える小説。

  • 物語に引き込まれるように読んでいきました。


    テンコ先生と翔也くんについて、最後まで丁寧に書いて欲しかった。
    内容が盛りだくさんで、誰の物語か解りにくい。

  • 長編小説でもあり、ストーリー自体が重たいものでもあったので読むのに結構な時間が経ってしまいました。が、読んでよかったと心から思っています。
    正しさもとっても大事だけど、幸せかどうかのほうがよっぽど大事、というフレーズが沁みました。
    他人に好かれていないことを自覚しながらもそれを貫こうとしてしまうテンコさんのキャラクターにすごく共感し、ヒデヨシの男らしさにはかっこよさを感じました。
    またいつか読み直したい作品です。

  • 外出先で涙が止まらなくなって困りました。
    教育は何が正解かわからないし、その正解が全ての子に当てはまるはずはない。
    それでも自分の信念を持って、それを伝えようとする人にこそ教育者になってほしい。
    こんな先生が今いるのかわからないけど、本の中のアンミツ先生から教わることがたくさんありました。
    個人的には息子の健夫が翔也にあてた手紙が、心に響きました。

  • この作者には毎度泣かされます。文字は霞むし、マスクの縁はびちゃびちゃになるわで人前で読むのはちょっと厳しい。作者は泣きのツボをよく心得ていらっしゃる。
    人生は苦難の連続、修行の場というけれど、今の人生は一回こっきりだから、楽しく生きてくださいね。自分に正直になって心を楽にするといいのよ。自分の生きる場所が見えてくるから。それとね楽しく生きるには人を知るための学びが必要なんですよ。理屈だけじゃダメ。どんな人生もかならず誰かと関わりを持って成り立ちます。なぜなら人生は高く広く深いものだから一人では受容しきれない、先生そう思うのよ。分かり合える相手を得たら是非分かち合ってくださいね。きっと楽しいわよ。幸せな人生ってそういうものじゃないかしら。そしてその相手と幸せを紡いでくださいね。私は先生からそうご教授いただきました。
    生きるをテーマにした心温まる作品でした。
    5匹のめだか逹は何を伝えるものだったのでしょうか。考えると眠れなくなります。

  • 小学校教員を引退してすぐ、アンミツ先生は、血縁関係のない子のおばあさんに。息子と義理の娘が不慮の事故で亡くなり、思いがけない事態に。孫になる翔也は、学校に馴染めず不登校になっていた。「みんな」に馴染めないのは、父親譲りで、おばあちゃん譲りでもあったのだ。(血は繋がっていないけれど)

    ヒデヨシ、テンコ先生など、個性的な人物が、東北被災地の復興途上から人生について考えていく長編。

    教員は一読の価値あり。

    500ページ以上あったが、半日で読んでしまった!

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

重松清の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×