いのちの停車場 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.16
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感想 : 194
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344430815

作品紹介・あらすじ

東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護、四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女……様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ……。

感想・レビュー・書評

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  • 救命救急センターで働いていた医師・咲和子。
    とある責任を取り辞職。故郷金沢へ帰り、在宅医療をメインで行う診療所で勤めながら、終末期医療の在り方の是非を問う6遍からなる物語。

    著者の作品は3作目。
    現役医師の視点ならではの、命の取り扱いが丁寧に、とてもリアルに描かれていて、深く深く考えさせられた。

    また、石川県は私の親父の故郷であり、少年期は毎年のように家族で田舎へ帰っていたこと、金沢や能登には思い入れもあって、より感情移入に拍車をかけた。

    特段、6章「父の決心」は、親の立場、子の立場、日本の死に対する法の在り方など、多角的な観点から読者へ問うてくる。

    兎角、本作の主人公の設定が絶妙過ぎる。

    命を救う以外の選択肢などない一刻を争う救命救急のベテラン医師から一転、命の終い方に寄り添う新米医師へと遷移する。

    そして60歳を過ぎた主人公の咲和子先生が、出会いと別れを繰り返しながら、どんどんと成長していくではないか。

    ありがとう、南杏子。
    貴女の視点に賛同するともに、物語から放たれるエネルギーを確かに受け取った。

    ただのおじさんだと、常日頃俯瞰視しつつあった自分自身にも、まだまだ伸びしろがあるのではないかと。
    命ある限り、やればできることがまだまだあるのではないかと。


    別段、わたくしごとで恐縮。
    来春に、とある資格を取ろうと決めた。
    目的は今の私に必要な知識の習得と、取得のエビデンスとなる肩書きを持つことだ。
    昨年の合格率が40%と私からすれば難関だ。

    よって当面、小説読書をちょいと控えようと思います。ちょいとですよ。
    いかんせん私はシングルコアスペックゆえ、勉学集中対策を講じる必要があると判断。

    ただのおじさんから、有知識兼有資格のおじさんに。
    ちょいと頑張ってみます。ちょいとですよ。


    読書、鑑賞を愛される同士のみなさん、引き続き素敵な読書鑑賞ライフを。
    みなさんが感情を揺さぶってくれる作品に、これからもたくさんたくさん出会えますように。

    • akodamさん
      darkavengersさん、祝福のメッセージありがとうございます!

      当面の間は読書ライフを楽しみつつ、チャレンジを続けます!

      頑張りマ...
      darkavengersさん、祝福のメッセージありがとうございます!

      当面の間は読書ライフを楽しみつつ、チャレンジを続けます!

      頑張りマス!(^^)/
      2022/04/30
    • kazrocqさん
      いつもいいねをありがとうございます。
      あまりお返しできなくて申し訳ないです。
      資格取得、応援しております!
      いつもいいねをありがとうございます。
      あまりお返しできなくて申し訳ないです。
      資格取得、応援しております!
      2022/05/29
    • akodamさん
      kazrocqさん、おはようございます。
      こちらこそいつも『いいね』ありがとうございます。
      レビューも拝読させて貰っています。
      資格試験、無...
      kazrocqさん、おはようございます。
      こちらこそいつも『いいね』ありがとうございます。
      レビューも拝読させて貰っています。
      資格試験、無事に合格いたしました。
      今秋、また受験予定です。頑張ります。
      エールありがとうございます^ ^
      2022/05/29
  • 南杏子さん、はじめまして♪
    絶賛長期積読中の作品がありますが、本書は図書館にてお借りした一冊。
    明日が返却期日(平日の為、実質今日が返却期日)、朝から無料LOOPでお気に入りのラーメン屋さんへ。
    開店までの時間に読了しようと思っていましたが、開店時間の1時間前には開けてくださり、実質待ち時間10分程度♪
    当然、読み終えられる訳もなく、図書館にてラストまで読了して返却してきました。
    (ホントいつもギリギリ_( ˙꒳˙ )_セーフ)

    現代の日本が抱える医療の問題。
    我々が生きていくうえで、そしていつの日か死を迎えるうえで、もはや避けては通れない問題です。

    諸外国と違い、日本は全員が保険証を持ち、誰もが当たり前に医療を受けることが出来ます。

    これは素晴らしいことですが、そのお陰もあり、いまや日本は人類が経験したことのない超高齢化社会となりました。

    当然ながら、毎年増える医療費、年金同様に
    現役世代がどんどん少なくなっていく中で、もはや支えられるはずもなく、税金という名の借金で制度を維持しているのが実態でしょう。

    そこで医療の現場では在宅医療が第3の医療として注目されるようになりましたが、人生の最後を自宅で家族に見守られといったプラスの要素がある反面、先程述べたように超高齢化社会で核家族化が進み、在宅といっても実質は老老介護の状態に...

    本書はそんな日本の社会問題を真正面から捉えた作品。

    主人公の咲和子が62歳という設定も実にリアルです。

    幸いなことに嫁の両親も含め4人の親は健在ですが、そう遠くない未来に私にも訪れるであろう介護や終末期医療の問題。

    単なる読み物ではなく、改めて考えさせられる一冊となりました。




    <あらすじ>
    救急医を辞めた62歳の女性医師・白石咲和子が訪問診療医としての新たな人生を歩み始める物語です。東京の救急救命センターを退職した咲和子は、金沢の実家へ戻り、「まほろば診療所」で働くことになります。在宅医療の現場で、老老介護や終末期医療、積極的安楽死など、現代日本の医療制度の問題点に直面しながら、患者やその家族と深い絆を築いていきます。

    咲和子は、在宅医療の難しさと向き合いながら、脊髄損傷で四肢麻痺となったIT企業社長、セルフネグレクトの独居老人、小児がんの6歳女児など、多様なケースに対応します。また、彼女自身も高齢の父が誤嚥性肺炎や脳梗塞を発症し、「これ以上生きていたくない」と願う父の意思と、医師として、また娘としての葛藤に直面します。

    この小説は、医療の現場で働く人々の苦悩と決断、そして患者とその家族が抱えるリアルな問題に光を当て、読者に深い感動と考えるきっかけを与える作品です。

    東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護、四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女……様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ……。

    著者について

    一九六一年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入し、卒業後、都内の大学病院老年内科などで勤務する。二〇一六年『サイレント・ブレス』でデビュー。他の著書に『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』『ブラックウェルに憧れて』がある。

  • 先日 naonaonao16gさんと、自分の父の最期を語ったばかりだったが、タイムリーにこの本を読んでいた。

    たまたまフォロワーさんの評価が高かったので、Amazonでポチっておいた作品だった。

    東京の救急センターで働いていた60代の女性医師は、自らの判断で大規模な交通事故の患者を引き受けられるだけ引き受けた。
    その中で、医師免許が無い者までが必死になって救命の為尽力したのだが、その後それが問題となり、責任を取る形で退職。
    実家のある金沢に帰郷し、診療所で在宅医として働き始める。

    彼女を尊敬していた、医師免許の無かった彼が、自分の為に先生が病院を去ったことを知り、彼女を追ってくる。




    ↓この先ネタバレ有りです。

    在宅医の仕事は軌道に乗ってくるのだが、自分の父親が大腿骨を骨折。そこから入院となり、みるみる病状が悪くなっていく。

    最期は痛みとの戦いとなる父親に、鎮痛剤を投与するよう求められる。



    家族としては少しでも長く生きてほしい。
    しかし当人は生きているということだけで、地獄のような痛みに耐え続けなければいけない。。。

    家族の気持ちの葛藤などがリアルに描かれている作品だった。


    以前読んだサイレントブレスと雰囲気が似ている作品だった。
    助手の子や看護師さんなどの雰囲気が(^_^)
    読みやすい作品で、1日で読了。

    • bmakiさん
      hidezoeさん

      コメント&フォローありがとうございます(*^^*)
      私はサイレントブレスの方を先に読んでいましたが、キャラクター...
      hidezoeさん

      コメント&フォローありがとうございます(*^^*)
      私はサイレントブレスの方を先に読んでいましたが、キャラクター設定なのか?在宅医療なのか?何となく似ているなぁとい感じがしました。
      みんな素敵なキャラクターなので好きですけど(*^▽^*)

      前澤友作みたいな設定の、タワマン最上階の人、その後どうなったのかとか、凄く気になります(笑)
      2023/03/22
    • naonaonao16gさん
      bmakiさん

      おはようございます。

      わたしの場合、田舎だったこともあり、母子家庭というのも少なかったので、保護者欄の名前が父親じゃない...
      bmakiさん

      おはようございます。

      わたしの場合、田舎だったこともあり、母子家庭というのも少なかったので、保護者欄の名前が父親じゃないことも嫌でしたね。
      言葉にはしなくとも、「父親がいてくれたら」と思うことはしょっちゅうありました。
      母親はできないことをできないと言って助けを求めるというより、意地張って自分でやるタイプの人なので、甘えるなんてできませんでした。
      満たされなさがこういうところにあったんだろうなと思います。

      父親の役割も果たそうとした母親を見てきたので、わたしもどこか、自分に厳しすぎるのだと思います。

      きっとこのまま母親に本音を話せないままかもしれないですが、できるだけ本音に近いことを話す人でいたいとは思っていて、それで今回向き合おうと思ったんですよね。
      ご縁の連続です。
      2023/03/23
    • bmakiさん
      naonaonao16gさん

      昔は個人情報だな漏れでしたからね。。。
      naonaonao16gさんの時代もそうでしたか。。。
      お母...
      naonaonao16gさん

      昔は個人情報だな漏れでしたからね。。。
      naonaonao16gさんの時代もそうでしたか。。。
      お母様はご自身にも厳しい人だったのでしょうね。他人を頼らず、自分で何でもやってしまう方なのですね。

      はい、そんなしっかりして、芯のあるお母様とnaonaonao16gさん、私は似ているところもあるなぁと感じます(^^)

      なかなか母親に本音を素直に話すのって難しいことですよね。
      向き合おうとする、その第一歩に尊敬です(*^^*)
      2023/03/23
  • 第五章の6才の娘が末期ガンで打つ手がない話。十分頑張った子供に、「もっと頑張れ、まだ頑張れ」とムチを打つ両親。親の無理解にイラッとするところだけど、子供が死んでしまう事を受け入れられない親の狼狽も痛いほど分かる。無条件で代わってあげたいのにそれは出来ない。
    読み進めるのが辛かった。

    第一章の魚屋の夫婦のシズが最後を迎える話。徳三郎が感じる、身内が亡くなろうとしている怖さと悲しさと寂しさ。その感情をコントロール出来ない様が手に取るように感じられた。

    こういう事は経験を積むことは難しい。だからたくさん本を読む。そういう状況をシミュレーションする。それで疑似の経験を積む。そういう状況に耐えられるように。
    それでも子供が絡むことは慣れることは出来ない。実際に体験した方々の悲痛は、はかり知ることが出来ない。

  • 在宅医療、終末期医療、積極的安楽死について考えさせられる物語。
    胸に刺さる物語です。
    映画にもなったということですので、映画も見てみたい。

    東京の救命救急医療センターで働いていた62歳の医師の咲和子。重症患者の受け入れで現場の責任を取り辞職。故郷の金沢の「まほろば診療所」で訪問診療医となります。
    なにがなんでも命を救うという救命救急医師から、在宅での終末医療の現場へ。
    戸惑いながらも患者に向き合っていく咲和子。

    6編の在宅医療の現場を通して、在宅終末医療について、これでもか、と説いてきます。そして、考えさせられます。
    最終章では、積極的安楽死...

    第一章は老々介護。まさに今、世の中でいたるところにある問題だと思います。

    第二章は先端医療。在宅医療でそんなことできるの?って思ってしまいます。

    第三章はゴミ屋敷の中での在宅医療。

    第四章は高級官僚の在宅での看取り。家族の気持ちが心を熱くします。

    第五章は小児がんに侵された6歳の女児とその家族。これはだめです。涙腺崩壊。現実を受け入れられない親の気持ち。一方で、自身の死を受け入れている娘。これは辛い。涙なくては読み進められない。

    そして、第六章は咲和子の父親の積極的安楽死について。中山七里の「ドクターデスの遺産」を思い出しました。

    特に第六章の積極的安楽死については、作者の気持ちも強くメッセージとして感じました。

    映画みたい。

    とってもお勧め

  • 紐解いたのは映画を観て、ラストにどうしても納得いかなかったからです。原作を読んで確かめてみたかった。ラストまでは大変素晴らしい作品でした。吉永小百合は少し年寄りすぎる気はしたけど、それさえ目をつむれば、広瀬すずも松坂桃李も西田敏行も田中泯も、それぞれの患者もたいへんな熱演でした。観客は年寄り層を中心に大勢詰めかけロングランになった。もしかしたら、私の思い違いかもしれないとさえ思った。

    以下ラストについてのみ書きます。ネタバレです。

    主人公咲和子(吉永小百合)の父親(田中泯)は神経性の異痛症になり、治療不能、死ぬような痛みに襲われるようになる。願うのは、「積極的な安楽死」。まともすぎる医師である咲和子は当初は当然断る。それは殺人であり、法に触れるという意識もある。でも、父親の冷静な度重なる懇願と、金沢に帰ってずっと終末医療に携わってきた咲和子に、心変わりが訪れ、父親の願いを(点滴の投与という形で)受け入れることにするのです。

    映画では、訪問介護専門のまほろば診療所の所長(西田敏行)にだけは真実を話すけど、情熱を持って続けてきた診療所も辞め、父親と2人になるところで終わるのである。

    私はこのラストはダメだと思った。

    いくら診療所を辞めても、ことが公になれば、必ず「元まほろば診療所医師」ということで、せっかく軌道に乗ってきた診療所に大きな迷惑をかける。そんなこともわからない咲和子さんなのか?私は納得できない。

    原作の方は、いろんな面でそのリスクに免責を与えていました。
    ひとつは、所長含めて同僚にもしっかり説明していた。安楽死場面に(第三者の見届けという理由で)2人も同僚を呼んでいる。
    ひとつは、1962年に出た高等裁判所の特別に安楽死を是認しうる6つの要件を紹介し、咲和子さんがそれを全てクリアする様に段取りをつけたことである。
    ひとつは、父親がさあこれから点滴投与を行う直前に死亡するというハプニングが起こる。よって、おそらく咲和子さんは殺人罪が問題になるようなことはないだろう。

    しかし、それでも咲和子さんは警察に連絡をするということで、小説は幕を閉じる。「積極的な安楽死」を、是非とも認めるべきだ、論議の一石を投じるべきだ、という作者の強い想いがそういうラスト描写になったと思う。

    映画は、あまりにもラフ過ぎた。成島出監督という好きな監督なのだけど、尺の関係か、裁判所判例も一切出てこない。私はやはり映画は、お勧めできる作品になっていないと思う。

    小説は、それでも警察に連絡する時点で、診療所に迷惑をかけると思う。それでいいのか?と思う。

    理論的には、「積極的な安楽死」について、実は私はなんとも言えない。私は、過去3度も、臨終場面で「消極的な安楽死(延命治療をしないことで死亡すること・合法)」を直ぐには選ばなかったことで、後々まで後悔している。未だに、私は良くなかったという想いだけはあるけど、どの時点で、何をするのが1番Bestだったのか分からないでいる。

    思えば、私の最初の選択から13年経つけど、昨日のように後悔の念が起きる。
    安楽死問題、とても難しい課題である。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      「考えても答えの出ない問題」
      確かに、、、でも考えなきゃと思います。
      kuma0504さん
      「考えても答えの出ない問題」
      確かに、、、でも考えなきゃと思います。
      2021/12/12
    • sakuragaiさん
      はじめまして、kuma0504さん。
      いいね。をありがとうございます。

      これはとても難しい問題ですよね。安楽死に限らず、自分以外の人...
      はじめまして、kuma0504さん。
      いいね。をありがとうございます。

      これはとても難しい問題ですよね。安楽死に限らず、自分以外の人の最期の選択をしなければならない事は。たとえ親だとしても…
      コレで良かった等 決してない事なのですから。でもその時真剣に考え悩み最善を選んだのは事実。それでも正解なんてなく、後から後から選択しなかった方の道を選んでいたら…と考えてしまうものです。私も5年前に父を亡くし、いつも心に苦しさを抱えています。どんなに一生懸命に看ても、一生懸命になればなるほど、さほど看なかった者より苦しむと思います。私は今は自分の気持ちに正直に、父の事を思い出しては言葉にしたり、泣いたり苦しくて切なくなった気持ちを友人知人、家族へ話しています。
      今でもkuma0504さんも心に重りを抱えていらっしゃる様に思います。それは短い時間に一生懸命考え悩まれたという事でしょう。それが1番大切なのではないでしょうか。
      自分がこの小説のお父さんの様な状態だとしたら、生きている意味が見出せないと思います。だとしたら、どうしたら良いのか、今答えられませんが、唯一出ている答えは先に記した通り、生きている意味が見出せない。という事のみ。

      取り留めもなく書いてしまいすみません。
      2021/12/13
    • kuma0504さん
      sakuragaiさん、丁寧なコメントありがとうございます。
      sakuragaiさんもお父さんを亡くされたんですね。
      昔は家で亡くなるのが当...
      sakuragaiさん、丁寧なコメントありがとうございます。
      sakuragaiさんもお父さんを亡くされたんですね。
      昔は家で亡くなるのが当たり前だったので、周りの人がいろんな知恵を貸してくれて、その後の過ごし方も、「決まりごと」という形で悩まなくてもいいようにしていたり、考えたら案外楽だったかも。
      現代は、時に一人でしかも知恵もないのに判断しないといけない。なかなかの厳しい時代です。

      まぁ一人で溜め込まないことは大切ですよね。こういうSNSがあって、感謝です。
      2021/12/13
  •  白石咲和子62歳。生え抜きの救急救命医の職を、自ら辞任するところから物語が始まります。
     父が一人で暮らす故郷の小さな診療所で訪問診療を始めると同時に、別の〝闘い〟が始まります。これまでの病院勤務では見えなかった、「患者と家族の真実」が見えてくるのでした。
     咲和子の、様々な状況下の患者と家族に真摯に寄り添う流儀と信条が患者の心に届き、その描写が読者の胸を打ちます。
     父の病状悪化と並行して、各章ごとに様々な在宅看護事例・患者と関わることで、物語に変化と抑揚がもたらされ、内容にも深みが出ています。
     大学病院勤務経験のある著者ならではの知識も散りばめられ、「レスパイト・ケア」(在宅介護家族の疲れ解消の取組)など、参考になることも多かったです。
     物語の最後は、尊厳死とは別の(積極的)安楽死の是非、大きな課題を読者に投げかけているようです。将来、他人事ではないなと考えさせられました。

  • 映画も見てみたい。
    お医者さん役が初めてという、吉永小百合さんにも興味がある。

    ずっと救急で働いていたお医者さんが
    救急の現場で医師の資格のない事務の子が医療行為を。絶対にやっちゃいけないことのわだけどなぁ。
    でも、その子をかばうために責任を取り故郷の田舎の診療所で在宅医療の担当を。
    そのかばった子が、追いかけて診療所に来てくれたとこはよかった。
    絶対、先生への恩返しのためにもお医者さんになって欲しい。

    老老介護→絶対に世の中にある現実、読んでて辛かった
    脊髄損傷→最先端医療の在宅医療、成功して欲しい
    精神疾患→完治したのかな?よかった
    終末期→看取るの辛い、絶対に気丈に振る舞えない…
    小児がん→読んでて一番辛かった。両親は子供の死を受け入れれないけど6歳の子供の方が死を受け入れてて泣いた。

    最後は、自分の親(元医者)から楽にしてくれと言われ
    医者としては、そんなことできない
    家族としては、楽にしてあげたい
    という葛藤。

  • 東京で38年間、救急医をしてきた咲和子。
    訳あって戻った故郷金沢で、父から頼まれたのは、まほろば診療所の手伝いで……。

    医療小説。

    泣けた。

    外来・通院、入院とは異なる、〈第三の医療〉としての在宅医療。
    長い付き合いになり、終末期医療ともかかわりが深く、短時間勝負の、命を救う救急とは、真逆の世界。

    展開は王道だけれど、死との向き合いに、何度もじーんときた。

  • ヨミが違っているのは~MARCや検索のはなし~ (TRC データ部ログ)
    http://datablog.trc.co.jp/2021/09/24133000.html

    映画「いのちの停車場」公式サイト
    https://teisha-ba.jp/

    いのちの停車場 | 株式会社 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/b13646.html

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著者プロフィール

1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、慶応大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務める。帰国後、都内の高齢者向け病院に内科医として勤務するかたわら『サイレント・ブレス』で作家デビュー。『いのちの停車場』は吉永小百合主演で映画化され話題となった。他の著書に『ヴァイタル・サイン』『ディア・ペイシェント』などがある。


「2022年 『アルツ村』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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