- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344430570
作品紹介・あらすじ
四十歳目前での思わぬ妊娠に揺れる旅行代理店勤務の優子。これが子供を産む最初で最後のチャンスだけど……。お腹の子の父親であるイケメン部下、偏見のある田舎の母親、パワハラ上司、不妊治療に悩む同期、誰にも相談できない。シングルマザーでやっていけるのか? 仕事は? 悩む優子だったが、少しずつ味方が現れて気持ちは固まっていく。
感想・レビュー・書評
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作者名でブックオフの棚を調べて手に取った一冊。
いや、この先生は凄い。
女の苦労、理不尽、全部代弁して下さる。
本当そう!本当そう!!
何度頷いたか。。。
この本の主人公は39歳。
旅行代理店でバリバリに働くキャリアウーマン。
カンボジアの仕事で、同じ会社の28歳イケメンくんとひょんなことから一夜の関係に発展。
それがまさか、、、
子供が出来てしまうとは。。。
彼女の会社は大企業ではなく、子供を産んで働き続ける人が数少ない。
実家は田舎だが、シングルマザーであることがわかれば、町中の噂になってしまう。
仕事、田舎、未来、様々なことに悩む主人公のリアリティが凄い。
それだけでなく、この本では色々な差別についても触れている。
暗く沈みがちな話になりそうなのに、最後まで元気いっぱいに駆け抜ける。
そこが垣谷先生の凄いところだよなぁ。。。 -
内容
旅行代理店勤めで独身謳歌中の優子。
ところが40歳目前で予定外の妊娠をする。
年齢的にラストチャンスで産まないという選択肢はないのだが、10歳以上も年の離れたお相手はイケメン部下で彼女持ち。
果たしてどうなる・・・?
感想
思わぬ妊娠が未婚で40歳目前となると、こうも事態が深刻になるのか・・・と
厳しい現実を突き付けられた。
カンボジアの俗世を忘れさせる空気感とお酒の効能で一夜の過ち・・・
キャーッ!!
これは甘美で危険な匂いがする!!
偏見の強い田舎の風潮、職場の好奇の目、不妊治療に悩む同期との亀裂、更にはお相手である部下の人間性が徐々に露見してきて、八方塞がりとは正にこういう状況を言うんだろう。
読んでいるだけで、く、くるしい。
相談できる相手がいない身重の主人公が、どうなってしまうんだろうと読み進める度に不安で不安で仕方ない。
つい口から出た嘘に、嘘を塗り重ねているうちに、噂が何処からともなく広がっていき・・・
でも、分かる!
この水野という男は危険だ!
何で正直に言わないの?と最初は焦ったかったが、徐々に雲行きが変わり、しまいには水野にお腹の子の父親だとバレないかとハラハラした。
垣谷美雨さんの巧みな心理戦の描写が、随所に出て来るので胎教に悪いのではないかと余計な心配までしてしまった笑
さてさて、ネタバレを避けるので些か抽象的になるが、年を重ねたからこそ、貪欲に手を出して様々なものを享受するっていうのも時には必要だなぁと感じた。
住職である凡庸が悟った境地、
兄や姉の協力、
過去不倫関係にあった上司のサポート、
戸籍制度ならではの知恵と恩恵、などなど
主人公の優子は、本当に運良く周りの協力が得られたので何とか救いが見出せるラストだった。
仏前で夫に話しかける優子の母 伸江の本音も世代間ギャップを超えて微笑ましい。
でも、現実はどうだろうと・・・と、読後に釈然としないものが残る。
きっとバツあり子持ちよりも、未婚子持ちは世間の風当たりがキツイだろう。
更に、バリキャリでも子供を授かる事で環境によっては世界が180度変わってしまうのが日本だ。
昨今、慢性的な人員不足を補う為に、育休や産休に時短勤務など様々な制度が登場した。
制度上整ったからといって、現場では受け入れ側の理解と配慮が得られないことが圧倒的に多い。何とか産後復帰したものの肩身の狭い思いをして働いている人や、最終的に職場を去っていく人も多い。
作中にあった昌代の地球規模の頭の回路を読むにつれ、狭い日本での厳しい現実が物凄くちっぽけに思えてきた。
凡庸の法話にあった仏教を開いたお釈迦様の『天上天下唯我独尊』の言葉の意味・・・
「自分という存在は他の誰とも代わることのできない、ただ一人の存在だから、そのままで尊い」
そんな風に、自分も他人のこともありのままに受け入れる境地を持てるようになりたいと思った。
最初はシングルマザーで生きていく決意を固めるまでの内容かなぁと軽く読み始めたが、そこは流石の垣谷美雨さんだ。想像の域は軽く超えて来るから、物語にどんどん引き込まれてしまう。
旅行代理店勤務で現地視察から見えて来る他国との比較や、兄の再婚相手であるマリアとその連れ子リカルドとの交流により、日本人の家族や教育や男女均衡の考え方をグローバルな視野の中で立体的に捉えさせることで物語に深みが増していた。
これからの日本に差し迫っている現実の話で、男女関係なく様々な人に読んでみて欲しい作品!
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新しい生き方。
子供を産んでひとり育てるのは並大抵ではありません。
保育所問題もあります。子供が熱を出したら…授業参観etc。
優子(主人公)の環境が、子育て出来る様に設定してある様に思うのは自分だけ?
リアルな作品です。 -
今、40才。妊娠した。
相手はイケメンの部下。私としたことが
なんということに・・・・
主人公の優子は、お腹の子の父親に
このことを告げずにいる。若い部下には
言えなかったのだろう。
なんでなんだ!
読んでいて苛々した。
優子は、実家へ帰る。
そして母親は、子供の父親になってくれる人を探し始める。狭い村なのに、そんな行動を優子は嬉しくなかった。
母親にしてみれば、~心配゙という二文字が、大きくのし掛かっていたのだろう。
男性は少し歳を重ねても、子供を持つことができる。
でも、女性には悲しいかなタイムリミットがあるのだ。歳を重ねすぎるとアウトなのだ。体が、もうそろそろ無理デス
よ~と教えてくる。
確かに現在、医学は発達してはいるが。
優子は、子供を持つのはこれが最後のチャンスだと思ったのだろう。
実家近くのお寺。同級生の僧侶は親切
過ぎるのでは、と思うくらい。これも、
じれったいが有り難い人だとも思う。
周りが、どんな環境であっても子供には
強く、素直に育ってほしい。
2019、3 読了 -
垣谷さんの作品にはいつも元気をもらいます。後輩や上司の心ない言葉に腹が立ってばかりでしたが、優子さんの救いようのない健気さとお人好しに癒されました。加えて彼女を取り巻く家族や幼なじみ、友人も個性的で愛すべき人たちです。
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40歳を目前に思わぬ妊娠をしてしまう優子。
お腹の子の父親、田舎の身内の白い目、不妊治療に苦しんできた同僚にも打ち明けられず、未婚で出産する決意をする。
最低な考えの人がいる一方、最終的に幸せな出産を勝ち取っていく頼もしいストーリー。 -
題名からインパクトのある小説で、ずっと気になっていて、文庫本化された途端、購入しました!
なるほど!最低な登場人物が盛り沢山!!
現代のパワハラ、マタハラ、偏見、人種差別を風刺した内容でした。頭にくるシーンは多かったけれど、垣谷さんの本はどれも社会学の教科書みたいだなぁと感じました^ ^しかもとっても読みやすいです!
主人公の優子は、勝手に女優の吉田羊さんをイメージして読みました 笑
展開も面白くて、ドラマ化して欲しいなと思いました(o^^o) -
40歳目前に部下とのワンナイトで妊娠してしまう主人公。
結婚、妊娠、出産、仕事、シングルマザーなどをキーワードに、主人公が周囲に翻弄されながらも自分の人生を選び取っていく話。
独身、専業主婦、DINKs、母親...どんな人生を選ぶかで今後の人生が全く違ってくるのに、選択する時は案外紙一重だったりする。
私自身も何年もぐるぐる同じ所で悩み続けた。
だからこそ、このどストレートなタイトルが気になって読んでみた。
一番印象に残っているのは、子持ちの人が独身の人の事を「人生の半分も知らん」と言うシーン。
私は『子どもを育ててこそ一人前』という考え方にずっと縛られていた。
子育て真っ最中の姉を見ていて、子どもを育てるのは本当に大変な事なんだと思う。
わかると言っても、私が見ているのなんてほんの一部だけで、実際はもっともっと大変なんだろう。
子どもを産まないと、あんな大変な思いをしないと、人間って一人前になれないんだろうか。
私が子どもを欲しいと思えないのは、まだ一人前じゃない証拠なんだろうか。
昔から社会が敷いたレールの上を歩くように、普通に、順調に、なんとなく、生きてきた。
大人になったら結婚して、子どもを産んで、「一人前」になれると思っていた。
子どもを産んで初めて、本当の大人の仲間入りができるような、そんな気がしていた。
だけど、子どもを産むのか産まないのか、いざ決める事になった時、私は産まない人生を選んだ。
子どもの頃に思い描いていた一人前の大人にはなれないかもしれない。
だけど、何を大切にして生きたいのか、どういう時に幸せを感じるのか、自分の事を真剣に見つめ直したら、子どもは産みたくない、という答えに至った。
ボーッと生きてんじゃねえよ!と我ながら突っ込みたくなるけど、初めて自分の素直な気持ちにちゃんと向き合った気がした。
そして、やっと敷かれたレールの上ではなくて、自分が歩きたい道をちゃんと選んだという感覚になった。
とはいえ、本当にこれで良いのか?この先後悔しないって言い切れる?と心が揺れる事ももちろんある。
甥っ子がサンタさんからのクリスマスプレゼントに大興奮している時や、「子どもがいないと老後寂しいよ」と他人から呪いをかけられる時や、そしてこの本のように妊娠をテーマにした本を読んだ時なんか。
私が大好きなジェーン・スーさんは、『人生にはどっちの道を選択するか岐路に立たされる事があるけれど、選んでいない方の人生が結局どうなっていたかはいくら考えてもわからないんだから、選んだ方の人生を自分の力で正解にしていくしかない』と言っていた。
私もこの選択を絶対に正解にする。
今の人生を精一杯楽しく、強く、一生懸命生きて、私なりに一人前の人間になってやる。
なんて、ちょっと熱くなっちゃう小説だった。 -
自分が選んできた人生とは、違う人生を生きる人達が
どんな悩みを抱え、日本特有の社会の壁にぶつかるのか
教えてくれる垣谷さんの数々の著書を、いま夢中で読んでいる。
自分の環境がフル在宅勤務も手伝って
人との接触が少ない日々のなか、本の中の物語で
人と交わり人生経験を積んだ気になれる笑
夫婦別姓、戸籍制度、子供を持つ人の働きやすい職場環境、外国人の子供の生活学習環境、これからの子供たちを育てる環境、家族とは、、これからアンテナを立てられそう。 -
出張先で、部下とそういうことになってしまい、思わぬ妊娠をしてしまったアラフォーの宮村優子。
堕ろしてくれって言われるだろうな、と思う反面、これが子供を産める最後のチャンスかもしれない、とも思う。
悠長に迷っている暇がないのが妊娠。
どんどん週が進んで子は育ち、それにつれて違う局面に立たされる。
そういうスピードでお話は進む。
小説として読んで面白いのはもちろんだが、日本は本当に子育てのしづらい国なのだとあらためて感じる。少子化が進むのも分かる。
戸籍制度でがんじがらめにしているのは世界で日本くらいらしいとは初めて知った。
それどころか夫婦別姓でさえも頑として認められない。
決まった制度の中でしか子供を産むことが許されない。
「この国は、家庭や子供を大切にしようとするとたくさんの壁が立ちはだかる」とため息をついたお兄さんの言葉が突き刺さる。
育休制度が作られても、現場でそれを取ることがどんなに難しいか。
あれ?制度ができてから何年経つんだっけ?
上司の意識が変わらないと、いまだに子持ち女はすぐ休むから使えないとか、腹ぼて女に用はないなどと針のむしろとなるのだ。
優子にはびっくりするような奥の手が作者からプレゼントされる。
現実ではありえないと思うけど・・・
誰の子とかどこの子とか関係なく、社会全体で子供を育てられるようにならないとダメだ。
自分は年齢的にもう関係ない、と思ったけれど、読んでよかった。
天上天下唯我独尊
若い住職がとても素晴らしい人でした。
そして、水野みたいな男には、いつか大きなバチが当たって欲しいと思った。
それでちょっと年下に興味が…(爆...
それでちょっと年下に興味が…(爆)
でも、確かにbmakiさん仰る通り、これから先年を重ねた時にどう思うか、ですよね。この考えがまた変わる可能性もありますし…
確かに、相手の方が常に年上の方が気楽ではあるかもしれないですよね!
8こ上!いいですね~
頼りがいがありそう^^
今年もこういう話たくさんしたいです!(爆)
よろしくお願いします~
なるほど!年下は加点方式!理解出来ます。確かに年上だと減点方式になってしまうかもなぁ。。。
年下だ年上だ言...
なるほど!年下は加点方式!理解出来ます。確かに年上だと減点方式になってしまうかもなぁ。。。
年下だ年上だ言っても、なんだかんだで、やっぱり人間性なんでしょうけど(笑)
23歳の娘が、年末小学校の頃からの友達の家で年越ししました。
毎年恒例で、同じ小学校の女子のお友達が3〜5人くらい集まっているようです。
帰ってきてびっくり、いつも集まる家のご両親が離婚されていて、もう1人の友達も親の離婚が秒読み段階で、母親には新しい彼が居るそう。
そして、もう1人の友達も、両親が離婚して、今家にはその友達の女の子が1人で暮らしているそう。。。
私も全部のご両親を知ってましたのでかなり衝撃的でした。
今の時代、一生を共にするというのは、なかなか忍耐力が必要なのかもしれませんね(^_^;)
女は家事も育児も仕事もこなさなければなりませんから(~_~;)
なんだか人生色々ありますが、今年も色々な話をたくさんしましょう!(*^^*)
関係性を継続していくには、やはり努力が必要なんでしょうかね…
みな...
関係性を継続していくには、やはり努力が必要なんでしょうかね…
みなさんかなり大変な状況にありそうですが、それぞれが納得した答えを出せるといいですね。
いろいろある人生を自分なりに受け止めていけるといいなと思っています。
どうぞよろしくお願いします!^^