- Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344426511
感想・レビュー・書評
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レンガ本。
持ち歩くのが、重かった・・・。
今回は火村先生ではなく、有栖さんがメインで活躍。ホテルで暮らせるなんてなんて贅沢なんだろうと思ったが梨田の生活を見てみると色々考えさせられる。まぁ、梨田の場合は御祓の意味も含むからちょっと違うかもしれないけど。
ただ、最後一番強く感じたのは男性と女性の見た目の変容。気づければこんなことにならなかったのに。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホテル暮らしの老人が亡くなった。
自殺か殺人か…それを調べるためにアリスが単独で調査を開始する。
後半で火村先生が合流するまで、秘密に包まれた男の謎をかなり調べあげたアリスがすごい!
ちょっとずつベールを剥がされていく過程で、驚く事実が分かったりしていくけれど、なかなか自殺か殺人か分からないのが焦れったい。
どちらかが分かるのは終盤になってから。
長編なので読み応えがあった。
謎解きだけでなく老人やホテルの人たちのドラマがあり、とっても面白かった。 -
死者をひたすらに、深く、深く探っていく。いつもは事件が起こり警察の要請を受けてから動く、火村・アリスコンビが、今回はいつもと少し違った捜査方法で、事件の真相に迫っていきます。
アリスは面識のない大物作家、影浦浪子の招待を受け、文壇のパーティーに出席する。影浦がアリスを招待した目的は、ホテルで自殺したとされる梨田稔という男の、死の真相を探ってほしいというものだった。
生前、5年近くホテルのスイートルームに住み、ホテルの支配人夫婦や常連客とも馴染みの深かった彼は何者だったのか。興味を持ったアリスは火村と共に調査を開始しようとするが、折りしも火村は大学の試験監督のため身体を空けられず、アリスは単身、調査を開始する。
いつもは切っても切れない火村とアリスの名コンビ。しかし今回は、小説の半分以上。400ページ近くアリス単独の調査で進みます。
ひたすら足と聞き込みで、梨田の人生を追っていくアリス。
「鍵が掛かった男」梨田の秘められた過去が、アリスの粘り強い調査で少しずつ明らかになってくる。
この調査の過程はとにかく地味で、そしてなかなかの長さもあるものの、シリーズファンなら、いつもと違う調査といつも通りのアリスの語り口で、自然と読んでしまうのではないかと思います。
火村から『お前は本当によくがんばったよ』という言葉(この発言、女性火村ファンはクラっとしそう)を引き出すアリスの調査は少しずつ、封印された梨田の過去と罪を明らかにしていきます。そして真打ち火村が後半に満を持して登場。梨田の過去と事件の真相をめぐる物語は、佳境へと向かう。
アリスの調査と火村の推理で、徐々に梨田の人生が形作られていきますが、彼の数奇な運命と、人生の要所で迫られた究極の選択、そして孤独と救いは、ある意味では事件の真相以上にドラマチックに映ります。
梨田の死亡事件については、有栖川作品らしくロジックで解き明かされるのだけど、単にロジックだけでは割りきれない、被害者の人生もこの『鍵の掛かった男』では描かれ、二重の意味で面白く読めました。
そして梨田の人生の最期を知る人物の複雑な感情も、改めて人生の数奇さと、人の感情の割りきれなさを映すようで印象に残ります。
現場となったホテルのある中之島の風景も読みどころの一つ。自分は国際美術館や、朝日放送、朝日新聞なんかに行ったことがあるので、自然と土地の様子や雰囲気も思い浮かぶのだけど、中之島や淀屋橋回りの川や橋の風景の描写も、風情が感じられました。土地勘がある人なら、より楽しめそうな作品。
本格ミステリとは関係の薄い、被害者の人生にひたすら焦点を当てるこの『鍵の掛かった男』。
有栖川さんの作品では、やや異色ではありますが、いつもの有栖川さんと一味違った本格ミステリが楽しめたと思います。
2016年版このミステリーがすごい! 8位 -
面白かったー!分厚いのでむしろのんびり読み進めようと思ったけど止まらない。じっくりゆっくりのめり込める充実感のあるミステリーでした。登場する有栖川のキャラクターも好印象で、緊張感もあれば独り言のツッコミも面白くて。
初、有栖川有栖で、ベテラン本格ミステリーの印象に躊躇していたけれど、読みやすかった。そして、火村英生シリーズとは知らなかったので、他のも読んでみたい。 -
梨田稔の謎がだんだん明らかになっていくのは面白かった。謎が解明されて達成感があったが、事件の本質である犯人あてはここからだった。1冊で2度美味しい本だった。
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電子書籍でダウンロードして、さくっと読もうと思ったらまさかの大長編だった。
いつも役に立たない(失礼)助手役の有栖が1人で情報収集に当たっているのがとてもよかった。火村先生にも褒めてもらえて、よかったね。
少しずつ明かされていく謎が面白かった。
二転三転する「鍵のかかった男」の秘密。
ぜひじっくり読んで、有栖といっしょに謎をといてほしい。 -
単行本版を既読。そういえば文庫版を買っていなかったな、というのと分厚い本が読みたいな、というので購入した。単行本を読んだのは5年近くまえ。細部を覚えていたりいなかったりしたが『鍵の掛かった男』の死の真相はまったく覚えておらず、初見のように読めた。そしてシリーズのファンならよく知るアリスの取り扱いが他作品とはひとあじ違うという点でも、本書は読みごたえがあるだろう。緊張感を程よく持続させながらぐんぐん読ませるので、700ページがあっという間であった。こんなアプローチをされるから、ミステリから離れられないのだ。