- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344425477
作品紹介・あらすじ
餃子、春巻、酢豚…品書きは至って普通、しかし京都の中華はちょっと違う。にんにく控えめ、油控えめ、強い香辛料は使わない。だしのとり方が独特で、どの店も勘定がやさしい。花街で愛されてきた割烹式中華から、学生街のボリューム満点中華まで、この街の歴史や風習に合わせて変化してきた「京都でしか成り立たない味」のルーツを探索する。
感想・レビュー・書評
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平野紗希子さんのポッドキャストで紹介されていて読んだ。京都じゃなくて中華の方を変えてしまう京都というまちのすごさよ、と思ったけど、カリフォルニアロールや台湾ラーメンのように、どこの国、地域でも食のローカライズは起こる。それを色もの扱いするのではなく、こんなふうに尊敬をこめて紹介できるのは、とてもすてきなことだと思った。
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食はその土地の人や文化の現れなんだなぁと改めて。この本を片手に京都を旅して、何件か尋ねたお店はどこも温かくて優しく、よき思い出となりました。食が好きで旅の目的の一つなので、旅する時はこうして食の歴史を知ることでより一層美味しく、楽しくなりますね。
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京都で5年間暮らした私であるが、”京都の中華”と言われても正直ぴんと来なかった。それがこの本を読むと、京都の食文化の中で独自の変異を遂げた京都の中華がいかに豊饒なものであるかがわかり、今、とてつもなく京都に行きたくなっている自分がいる。
濃い味付けを好まず、過度な匂いがする調味料・食材なども好まれないという京都人の嗜好性の中で、京都の中華は和食の要素すら感じさせるような独特の味付け・調理法になっていったという。本書では、そうした京都の中華を代表する名店の数々の紹介や、京都の中華料理の発展の歴史などをたどっていく。
そして非常に価値があるのは、日本を代表する和食の名店、京都の菊乃井を率いる料理人、村田吉弘氏へのインタビューである。「京都の中華と京料理」というタイトルを超えて、食文化とは何かを考えさせられる名インタビューであり、これだけでも本書の価値がある。
本書に出てくる店はほとんど行ったことがないのだが、唯一なじみがあったのは、百万遍そばにある華祥である。所属していた軽音楽部でもこの店は人気であったが、その人気に火をつけたのは私だと自負している(それは違うという部員がいれば、よろしい、”お前ら表へ出ろ”)。あのあんかけ焼きそばや、卵白チャーハンが食べたくてたまらなくなってきた。 -
今年の夏、京都五山の送り火を見に行った際、ホテル近くにあった中華料理店で食べた麺があまりにおいしかったのに驚嘆した。
それが「鳳泉」という、京都では有名な中華料理店の流れをくむ店であるということは後からわかった。
ここで語られているのは、もちろん京都の中華料理店で供される料理の数々なのであるが、ほんとうに語られているのは、「京都」という街のことだ。
京都に住んでいない自分などには、ただただ羨望と垂涎の対象であるそんな京都の街の香りを、中華料理を含めて「次に京都に行ったときには」と、その日を心待ちに待つしかないのである。 -
昨年10月、東京から京都に移り住んだことがきっかけで手にとったが、ただのガイド本ではなく、京都の中華のルーツ、街、人、文化紹介こそが本著の醍醐味。特に菊乃井亭3代目の村田さんとの対談は非常に興味深かった。ただ味付けが控えめだから京都らしいとかそういうことではなく、京都の人と街が絡み合いながら作り上げてきたなんともいえないほっとする味、「偉大なるマンネリ」。
改めて京都という街に魅了された一冊であったと共に、これから色々なお店を巡ってみたいと思う。 -
琴線に触れるというか、的を射るような言葉「その街に合わさんと。京都は、加えるんやなくて抜かんといかん」
p.16にして、京都中華の核心が出された。
本の中の料理と作る人に「出会う」感覚になり、心が眩しくなるような、気持ちいいぬくさに満たされる。
私の中の知識欲がパチパチ音を立てて感電するようだ。知らない食文化ってたのしい。 -
蕪庵はコロナで休業中。残念だ!
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私は京都で生まれ暮らしたけど、圧倒的王将派というかガテン系ばっかり食べていたし、その上本場の中国料理が大好きになってしまったので、この本に書かれていたような中華料理が遠くてなんか寂しい気持ちになった。
私は汚いローカル店で食べる香辛料満点の大陸の中国料理が好きな京都人。 -
京都の中華の広がり方、歴史、人間が面白い