はるひのの、はる (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344424562

作品紹介・あらすじ

大きくなったユウスケの前に、「はるひ」という名の女の子が現れる。初対面のはずなのに、なぜか妙に親しげだ。その後も「肝試しがしたい」「殺人の相談にのって」と無理難題を押し付ける。だが、ただの気まぐれに思えた彼女の頼み事は、全て「ある人」を守る為のものだった。時を超えて明らかになる温かな真実。ベストセラー「ささら」シリーズ最終巻。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『まず大前提として、僕は幽霊を視ることができる』と友だちに切り出されたとしたらどう思うでしょうか?

    『幽霊』を見たことがあるかは人それぞれです…なんて書いたら四方八方から突っ込みが入りそうですね。”幽霊の正体見たり枯れ尾花”ということわざがある通り、『幽霊』だと思って怖がっていたものが、実は風に揺れる枯れすすきである、古の世から『幽霊』というものは、いそうだけど実際にはいない、というような位置づけがなされてきたものだと思います。

    お化け屋敷に潜む奇妙なお化けたちは、人の想像の賜物でもあると思います。恨んでいるんだろうな、その恨みが募って死にきれずに化けて出てくることもあるんだろうな、などと考えれば、『幽霊』が本当にいるのではないかと考えるのも仕方ないのかもしれません。しかし、『幽霊』とは本当にお化け屋敷の中にいるようなおどろおどろしいものなのでしょうか?人が死んだ後の姿であるのなら、それはその人と同じ姿形をしていて良いのではないでしょうか?そんな風にも思います。しかし、そんな『幽霊』が服を着ているとしたら、そんな服は綿100%なのだろうか、ポリエステルが混じっているのだろうか?と現実的な詮索もしてしまいます。改めて考えると『幽霊』というものを想像するのも難しいものです。

    さて、ここに、『他の人には視えないものを』視ることのできる少年が主人公となる物語があります。そんな少年が、『はるひ野』と呼ばれる場所で、ある少女と運命の出会いを果たすこの作品。そんな少年が、さまざまな人たちとの関わりの中にそんな少女の姿を見るこの作品。そしてそれは、少年が感じる『様々な違和感』の中に少年が関わってきた事ごとに隠されていた真の意味を、怒涛の伏線回収の結末に見る物語です。
    
    『春だった。桜が咲いていたから、たぶん小学校に入学するよりも前の春』と、過去を振り返るのは主人公のユウスケ。『川べりの原っぱ』へ母親に連れて出かけられたユウスケは、『探検』を始めます。『土手を降りて少し先。大きな木の下に、家族らしい人たちがい』るのに気付いたユウスケは、『僕より少し年上らしき男の子が』両親と座っているのを見て、『母子家庭に生まれ育ったことを』思います。『三人で、あんな風にピクニックしてみたかったという思い』。そして、ユウスケは、三人に近づくと『こんにちはっ』と声をかけました。『こんにちは』と女の人に返され『何をしているの?』とさらに訊くと『お花見です』と言われます。『見上げた頭上には』『花なんて一輪も咲いていない』と不思議に思うユウスケは『あっちに、もっといい木があるよ』と『土手の上に並んだ桜の木を指差す』も『この木でなけりゃ、だめなんだ』と言われてしまいます。そして、女の人は『私たちは子供を探しています』と言い、男の子が『迷子になっちゃったの』と付け加えます。『探してみるよ』と答えたユウスケは、その場を離れ、『野原を駆け回っている』と、『遠くの川岸に、赤い色』を目にします。近づくとそこには『草に半ば埋もれるように、人が倒れてい』ました。『女の子だ』と思うユウスケは、『俯せになった頭が、完全に水に浸かって』いるのを見て、『そこに倒れているのは、紛れもなく〈死〉そのもの』だと認識します。そんな時『見ちゃダメ』という声に振り返ると、そこには『髪の長い女の子がい』ました。そして、『手首を引かれ』走り出した女の子に着いていくユウスケ。そんな女の子は『走りながら』『助けて欲しいの、ユウスケ』、『あの子、助けないと』と言います。それに『そうだっ、あの子…僕が探してあげるって約束した子だよ』と言うも『それは違うよ。ユウスケが探してた子とは別。ほら、見て』と返されると、『女の子が指差す先』、『バス停』に『バスがやってきた』のが見えます。そして、ユウスケに『お礼を言うように』大人二人が頭を下げ、『子供たち二人は、大きく手を振って』いるのを見て『迷子が見つかったんだ』と思います。そんな時、『バスの窓に』『赤い服を着た、女の子』を見つけ、『考えるより先に』『バスに向かって走り出した途端』『行っちゃダメ。ユウスケはあのバスには乗れないよ』と言われてしまいます。『どうして、僕の名前知ってるの?』と訊くと『私はユウスケを知っているけど、ユウスケは私を知らなくても仕方がないの』と返す女の子は『私のことは、はるひって呼んで』と続けます。そんな中に『走り去っ』たバス。『迷子の子はいつの間にか見つかっていて』、『死んでいるように見えた女の子がバスに乗っていて…』という状況に『頭の中がごちゃごちゃになっていた』というユウスケ。そんなユウスケの前に現れた謎の女の子・はるひ との『佐々良の街』を舞台にした不思議な物語が描かれていきます。

    “ある日、僕の前に「はるひ」という女の子が現れる。「未来を変えるために、助けてほしい」と頼まれた僕は、それから度々彼女の不思議なお願いを聞くことになり…。時を越えて明かされる、温かな真実。切なくも優しい連作ミステリー”と内容紹介にうたわれるこの作品。加納朋子さんの代表作の一つでもありこの作品で三冊目とシリーズ化もされている「ささら さや」に連なる一冊となります。「ささら さや」、「てるてるあした」といずれもひらがなだけで表記される書名が特徴のシリーズですが、この作品には「はるひのの、はる」とこれまたひらがなだけの、よく分からない書名がつけられています。そして、この三冊目も物語の舞台は前作で”佐々良は不思議な街よ。他の場所では絶対起きないことが、ここでなら起きるの”と記された『佐々良の街』が舞台となって展開していきます。

    そんなこの作品は不思議な構成をとっています。〈はるひのの、はる〉から四つの季節を描く四つの短編と、〈ふたたびはるひのの、はる〉の前・後編という六つの短編が連作短編を構成し、それを〈プロローグ〉と〈エピローグ〉が挟むという体裁をとっています。四つの短編には、それぞれに主人公が登場し、それぞれに不思議な物語が描かれていきます。では、そんな四つの短編の内容をご紹介しましょう。

    ・〈はるひのの、はる〉: 母親と『川べりの原っぱ』を訪れたのは主人公のユウスケ。そんなユウスケは『迷子』を探す家族と、池で死んでいる女の子を目にしますが、そこに現れた はるひという女の子に連れられた先に『バス』に乗る『迷子』と死んだ女の子を目にし、『頭の中がごちゃごちゃに』なります。

    ・〈はるひのの、なつ〉: 『夏はおばけの季節』と言うリカコが『肝試しをする』ことをユウスケという『ガキ』に頼まれたと聞いて『知らんよ』と思うのは『元漫画家』の塩山幸夫。『未来人フータ』という連載を打ち切り、『心を壊して失踪し』た先の今を送る幸夫はやむなく『肝試し』を手伝うことになります…。

    ・〈はるひのの、あき〉: 『あたしは幽霊よ』とユウスケの前に現れたのは主人公のミヤ。そんなミヤは、『生きてた頃に』『一緒に暮らし』ていた男性のことを語ります。そんな男性に『殺されたのよ、あたし』と語るミヤ。『ものは相談なんだけど』、『そいつのこと、取り殺してしまいたいの』と、その思いを切々と語るミヤは…。

    ・〈はるひのの、ふゆ〉: 『行け、ヨル』と主人公の美鳥の腕から『ふわっと浮』き、飛翔するのは鷹のヨル。『チョウヒという名の、水辺を好む鷹』であるヨルを『飼い馴ら』す美鳥ですが、学校では『居場所は見つからない』という日々を送っています。『ケモノくさーい』と『嗤う』クラスメイトの中に苦悩する美鳥は…。

    四つの物語は、主人公となる人物がそれぞれ変わり、展開する物語もまたそれぞれに異なります。そんな物語を一本に繋いでいくのが、ユウスケと『佐々良の街』です。上記で少し触れた内容にも『あたしは幽霊よ』ともろに登場していますが、これこそが『佐々良の街』が持つ不思議な力が成せる技でもあります。まさしく、”他の場所では絶対起きないことが、ここでなら起きる”とされる街の真骨頂です。しかし、誰もがそんな不思議を体験できるわけではありません。それこそが、

    『なぜ自分にだけ、それが視えるのだろう?』

    そんな風にユウスケが思う『幽霊が視える』という特別な力の存在です。このシリーズでは一作目「ささら さや」において、交通事故で亡くなった夫が、遺した妻と幼い子供の前に、”ある形態”で現れ、そんな二人のピンチを救う物語が描かれていました。そして、「てるてるあした」を経てこの作品へと繋がったこのシリーズですが、その三冊目では、かつて幼な子だったユウスケも小学五年生となり、『人と違う物が視えることがある』という能力はそのままに、今を生きる姿が描かれていきます。まさしくファンタジーど真ん中といった面持ちですが、この作品では、上記した短編それぞれに主人公となる人物を登場させることで、物語の幅を、可能性を広げているのが大きな特徴だと思います。そして、もう一人登場するのが、はるひ という謎の女の子の存在です。

    『私はユウスケを知っているけど、ユウスケは私を知らなくても仕方がないの。私のことは、はるひって呼んで。このはるひ野と、おんなじ名前だよ』。

    そんな風にユウスケの前に姿を現した女の子は、ユウスケにこんな風に語ります。

    『お願い、手伝って。私一人じゃ無理だったの。もうそんなに時間がないの』。

    そんな先の二人の会話は読者をどんどん置いてけぼりにします。

    ・ユウスケ『僕が手伝うんだね。何をしたらいいの?』

    ・はるひ『さっきの女の子を助けるの』

    ・ユウスケ『だって…もう死んじゃったでしょ?』

    ・はるひ『だから巻き戻したの。今度こそ、助ける。だからユウスケは、私を助けて』

    この意味不明な会話が何を意味するのか、その先にどんな物語が展開するのか。『佐々良の街』を舞台に展開する物語の摩訶不思議さ、もしくは訳のわからなさ。加納朋子さんの作品は、前半に伏線となる仕掛けを徹底的に散りばめ、後半で一気に回収して読者を驚かせる作品が多々あります。代表的なのは、私が愛してやまない加納さんの大傑作「いつかの岸辺に跳ねていく」でしょう。二部構成となるその作品は何が描かれているのか意味不明な一編目の後に、怒涛といっても良い種明かしの二編目によって読者の涙が止まらない感動の物語を構築しています。この作品も同様です。とにかく前半の四つの短編の意味不明さは読んでいて間違いなくストレスが溜まります。この作品では、それが後半になっても続きます。このあたり少し凝りすぎてストレスが溜まるのが難点ではありますが、これはもちろん加納さんならではの演出です。それは全て後半に置かれた二つの短編、さらには結末に明かされるこの作品の種明かしのための序章でもあるのです。

    ・〈ふたたびはるひのの、はる 前〉

    ・〈ふたたびはるひのの、はる 後〉

    後半に置かれた同じ名前の二つの短編は、『満開の、桜だった』という冒頭の一文から始まります。それは、この作品の一編目〈はるひのの、はる〉で、『とにかく、桜が咲いていた』という季節と同じものです。そんな春の情景の中に主人公として登場するユウスケ、高校生となったユウスケは、『満開の桜の中の、それが初めての出会いだった』と、ある女の子と出会います。この女の子に隠されたまさかの謎が明らかになる結末、気持ち良いくらいにそれまでのモヤモヤした物語が晴れ渡るそのまさかの結末。そのままネタバレになるのでこれ以上触れることは避けたいと思いますが、そこには加納さんならではのどんでん返しな衝撃の結末が用意されていました。

    『どう考えても、おかしなことは十年前の春の出来事から始まっている。僕がはるひに会ったときから』

    シリーズ一作目の〈ささら さや〉で赤ん坊だったユウスケが全編通しの主人公を務めるこの作品。そんな作品には”佐々良は不思議な街よ。他の場所では絶対起きないことが、ここでなら起きるの”というシリーズならではの物語が描かれていました。凝りに凝った物語構成に途中で頭がこんがらがってもくるこの作品。そんな混乱の読書の先に、加納さんらしく鮮やかな伏線回収の妙に驚愕させられるこの作品。

    加納さんならではのファンタジー世界の作りの上手さに、これでこのシリーズも読み納めかと一抹の寂しさも感じた、そんな作品でした。

  • 霊視のホラーミステリーですね。
    久しぶりに加納さんの作品を読みたくなって、積ん読の本棚から抜き出してみました。
    「ささら さら」を読んでから随分たちますが、ユウスケの成長後の話ですね。父親の霊から護られる優しい母子と、母子の暮らしを支える住民との心温まるハートフルミステリーでした。
    今回も短編連作で、ユウスケと「はるひ」の命を守る不思議なハートフルミステリーでした。「はるひ」が謎の少女でタイムトラベラーのようでもあり、ユウスケと様々な霊をふくめて出会いと結び付きを演出します。物語は複雑と混迷を醸し出していきますが、加納ワールドの謎解きで秘密が明らかにされていきます。
    加納さんの澄んだ爽やかなでアイロニー豊かな文章に久しぶりに浸れて楽しい時間を過ごせました。
    ホラー系は余り読まないのですが、たまには良いかな。
    心温まるホラーミステリーだからこそ読みたい作品でした。

  • パピルス43号(2012年8月)はるひのの,はる、44号(10月)はるひのの,なつ、45号(12月)はるひのの,あき、46号 (13年2月)はるひのの,ふゆ、47号(4月)ふたたびはるひのの,はる前、48号(6月)ふたたびはるひのの,はる後、の6つの連作短編を2013年6月幻冬舎から刊行。2016年4月幻冬舎文庫化。ささらシリーズ3作目。どこかからやってくる「はる」と見える人であるユウスケを中心に据えた不思議なお話が展開する。最終話で全ての出来事の意味がまとまって行くところのわくわく感が楽しい。

  • 大きくなったユウスケの前に、「はるひ」という名の女の子が現れる。初対面のはずなのに、なぜか妙に親しげだ。その後も「肝試しがしたい」「殺人の相談にのって」と無理難題を押し付ける。だが、ただの気まぐれに思えた彼女の頼み事は、全て「ある人」を守る為のものだった。時を越えて明らかになる温かな真実。ベストセラー「ささら」シリーズ最終巻。

  • 「ささらさや」「てるてるあした」に続くシリーズ最終巻。
    ユウ坊も保育園児となり大きくなってと思っていたら、話が終わる時にはいい大人になっちゃった、あれよあれよ。

    赤ちゃんの頃に亡き父の幽霊が視えていたユウ坊だけど、まだ幽霊が視えるようで、そこに未来から来た(?)と言う”はるひ”という女の子が絡んで進む物語。
    この作者らしい雰囲気でそれぞれのお話は楽しめたのだけど、“はるひ”の正体や不思議な出来事の謎は、種を明かされても前に戻って読み直しても、私の頭ではよく分からないところがあったよ…。

    ユウ坊が立派に育ってくれて良かったな。

  • ささらさやシリーズ完結編。
    ささらさやではまだ赤ちゃんだったユウスケがすっかり大きくなって、今回の主人公となる。

    大ちゃんとか、照ちゃんとか、さりげなく前シリーズの登場人物が現れて、おぉ~大きくなったなぁとちょっと感慨深くなる。

    赤ちゃんの時から幽霊が見えていたユウスケだが、小学校前に、はるひと名乗る女の子に手伝ってほしいと頼まれる。
    その目的も彼女の素性も知らないまま、たまに現れるはるひのお手伝いをしながら大きくなったユウスケの高校入学から物語は動き出す。

    霊関係というよりタイムトラベルが主軸で、パズルのピースが最後にカタリとはまる感じで小気味よい。
    そして、このささらさやシリーズのポイント『親子』について焦点を当てて、温かく終わる。
    加納朋子さんのこういった雰囲気の文章が好き。

    そしてユウスケくんの、お父さんのような天然タラシっぽい言動にたまにキュンとしたり。(同級生がいたら、「恥っ!」とか言って腕さすると思うけど)

    よかったね。ユウスケ君、お幸せに。

  • 「はるひのの、はる」 加納朋子
    「ささらさや」「てるてるあした」と続いてきた佐々良シリーズ第三弾。15年の時を経て本書で完結です。
    赤ん坊の頃から死者の霊が視える「ユウスケ」のもとに、「はるひ」という謎の少女が現れる。理由も分からないまま、はるひに頼まれたことを実行し続けるユウスケ。ばらばらに思えた頼まれ事が一つにつながった時、一人の少女の運命が塗り変わっていく…。
    久しぶりの加納さん、始めは文体に馴染めなかったものの、途中から引き込まれ加納ワールドにどっぷりつかりました。ストーリーそのものは前2作とはリンクしないので、本冊から読んでも問題ありませんが、違和感なくこの設定に入り込むには「ささらさや」を読んでいた方がいいかもしれません。
    赤ん坊だったユウ坊の就学前から高校生までが描かれていきますが、あのおとなしかった赤ん坊が、優しい子に育ったなぁ〜。お母さんと離されてなくて良かった。サヤさんやテルちゃんも元気そうで良かった。本作で登場の鷹匠⁈のミドリちゃんに一番感情移入です。
    破滅に向かいそうな運命もちょっとのきっかけで変えることが出来る。自分一人ではダメでも、誰かのちょっとした支え、応援があれば、全く違った未来を掴み取る事が出来る。加納さんのそんな優しいメッセージが感じられる作品です(^o^)

  • 本作者は初トライ。従ってもちろん、シリーズの他作品も未読。でも全然問題なかったし、普通に存分に楽しめました。根っこの部分か繋がった、マルチ主人公の短編集が好物ってのもあって、かなり自分と相性良かったです。スーパーナチュラルも、温かい方面に上手く活かされてて、それもまたポイント高し。そういう意味では、夏目友人帳みたいな印象を受けました。色んな物語を経てのクライマックスも感動的で、謎めきと感動のバランスも絶妙でした。いや〜、充実の読書タイムを有難うございました。

  • ささらシリーズ完結

  • 一作目の主人公サヤの息子ユウスケと彼がの成長の折に出会う人々の物語。 前二作で活躍した登場人物たちは出番がほとんどない(実はユウスケも前半はあまり出番がない)のが少しさみしくもあるが皆元気そうで安心する。 後半は並行世界。ややこんがらがったが再読して理解。 父母に似て優しい少年に育ったユウスケ。 サヤがユウスケを守ってきたように、今度はユウスケがサヤと華を守っていくんだろうなと思う。 ※個人的私感になるが、さやさんに思い入れがある一読者としてはプロローグで“それ以上に”とは言わないでほしかったなぁ。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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