- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344423619
作品紹介・あらすじ
剣は一流だが道場には閑古鳥の鳴く弥市。武士の身分を捨て商家に婿入りした喜平次。十六年前に故郷を追われ江戸で暮らす二人の元に初恋の女が逃れてくる。だが、変わらぬ美しさの裏には危うい事情があった。一方、国許では化け物と恐れられた男が返り咲き、藩を二分する政争が起きていた。再会は宿命か策略か?侭ならぬ人生を描く傑作時代小説。
感想・レビュー・書評
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故郷を罠に嵌って追い出された二人が、原因ともなった藩の重臣の娘の警護をすることに。この警護も罠だった事が後で明かされる。この二人は娘に憧れていて、人妻となっても想いは増すばかり。
また、この娘が思わせぶりでどちらにも好きな素振りを見せる最低な女性。敵味方ともみんな悪い人達の中にあって、新たにお見合いで知り合った女性や、商人となって婿入りした先の妻など揺るがない愛情を持って接する女性達がいることでバランスが保たれている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった
時代小説の名を借りた純愛エンターテイメント?
ヒロインの思わせぶりな態度に振り回される男たち(笑)
ストーリとしては
6年前に故郷を追われ、江戸で暮らす元武士二人。
一人は武士の身分を捨て、飛脚問屋に婿入りした喜平次
一人は道場のに閑古鳥が鳴いている弥市
そんな二人のもとに、初恋の女、萩乃が密命を帯びて江戸に訪れます。
結果、二人は萩乃の護衛をすることに。
藩内抗争ものと思いきや、萩乃に思いを寄せていた二人の恋の行末は?
といった展開。当然、萩乃は妻女になっているし、喜平次にも家庭があります。
どろどろの不倫+三角関係の雰囲気です(笑)
さらに、萩乃が天然?のようにふらふらしていて、二人は振り回されます。悪女としてふるまってくれたほうがもっとスッキリなんですが(笑)
しかし、弥市が出会った弥生の存在によって救われます。
「好きな女人と大切に思う友を救いに駆けつける殿方を好ましく存じます」
弥生ってすごい女性!
武士の恋愛
「武士とは命がけで人を信じるもの」
...いいですね。 -
二人の武士の純な心を弄ぶかのような人妻になった初恋の人の思わせぶりな態度。
あれ、これは誰の作品だっけと思わせるような葉室麟らしからぬ恋心や嫉妬心がちりばめられた作品。でも底流には男の友情が流れている。
藩一の剣の使い手である草場弥一と頭脳明晰な小池喜平次は幼馴染で、上司である勘定奉行にそそのかされ、藩政を壟断しお家乗っ取りをたくらむ重臣を襲い顔に瑕を負わせる。重臣は失脚するが二人も藩を致仕することに。それから16年、弥一はは江戸で町道場もどきを開いているが閑古鳥がなき旗本の剣術指南で糊口をしのいでいる。一方喜平次は、飛脚問屋の主人に見込まれて婿入りし商人に。そんな中、失脚した重臣が復帰し、勘定奉行の娘であり二人の初恋の人である萩乃が父の密命を帯び江戸へ。二人は今は人妻になってしまった萩乃を匿い守ることに。再びのお家騒動に巻き込まれていく二人。若き日の恋心を蘇らせつつ萩乃のコケティシュな言動に惑わされる。
やきもきするような話だけど老中を巻き込んだ藩の騒動や関係する人たちの魅力的な人物像に物語の中にぐんぐん引き込まれていく。
舞台となった「おもかげ橋」は現在の面影橋。自分の住まいからもそう遠くなく、現存する南蔵院(この東隣に萩乃を匿った喜平次の店の寮があった)や山吹の里の逸話と併せて親近感も感じながら楽しんだ。 -
気楽に読める時代劇
葉室麟さん、男性描くのはうまいのに
女性はなぜこんな中途半端なのでしょう
ただ美人だとしか……
大福餅さん素敵でした
≪ 伝えたい 想いはまっすぐ 届けたい ≫ -
萩乃さんは、男性にはモテるけど女子に嫌われるタイプですね。
対して、“大福餅”・弥生さんは好感が持てます。弥市は幸せ者ですな。 -
時代小説の形を借りた恋愛小説。
お家騒動に巻き込まれ藩を致仕し、江戸に出た二人の男(恋のライバルであると同時に刎頚之友)が、二人の初恋の女性の用心棒をすることになり、三人を軸に物語が展開。
「永遠に結ばれることのない恋―人は誰も皆、そうした思いを乗り越えて、人生のパートナーを見つけていくのではあるまいか」という解説の言葉が、この小説を語りきっているといっていいか。 -
至高の時代物恋愛エンタメ!。天晴れキャスト陣の中、弥生が群を抜く♪。
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いかにも葉室作品という、真っ直ぐ潔く生きる無名の男たちの物語。
小藩の権力争いに巻き込まれて致仕せざるを得なくなり、江戸に出てきた幼なじみの2人は方や浪人、方や武士を捨てて商家に婿入りして暮らしていた。
ところがそんな2人はまたしてもぶり返した旧藩の権力争いに巻き込まれる。。
弥市と喜平次ほ最後までブレることがなかったけれど、ヒロインともいうべき荻乃の思わせぶりな態度は目に余る。それだけに弥生との対比が際立つんだけど、一貫して彼女を信用していなかった椎原亨は小物だけど一番人を見る目があったりして。 -
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