アイミタガイ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422841

作品紹介・あらすじ

彼女との関係をあと一歩進められない会社員、ホームヘルパーの仕事に行き詰まる主婦、娘を亡くしてしまった夫婦、中学受験に失敗した優等生、家族との確執により結婚に踏み切れない女性…。きっかけはほんの些細でも、誰かが誰かを想った行動が、立ち止まっていた背中を優しく押して-。思いもよらない幸せのリンクに心が震える傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 最高に良かったです!
    もうね、大好きです。こういうお話。

    登場人物がちょこっとリンクしてるんですが、
    それも違和感なくて、見つけるのも楽しかったです。

    #定刻の王
    毎日通勤する電車で、同じ時間に乗り合わせる男性が妙に気になるサラリーマン・小山。
    誰かにぶつかられても、つい「すいません」と言ってしまう小市民。
    そんな彼が、ほんの少しの勇気を出したら…。

    これすごくわかる~。私もつい「ごめんなさい」って言っちゃう。
    で、「あれ、今のって私?…。まぁ、いいか。」となる。
    はい!小市民です。(笑)
    でも、どうして通勤電車って同じ場所に乗っちゃうんでしょうね?

    #幸福の実
    ピアニストになる夢を、戦争によってあきらめた老婦人・こみち。
    戦時中、予科練習生を送る演奏をしたことが、
    心ならずも、戦場に送り出すことに加担したように思えて、ピアノを弾くことをやめた。
    そして今、68年ぶりにピアノを弾く…。

    こみちさんの凛とした姿と生き様が、もの悲しくも美しい。

    #夏の終わり
    ある日突然、娘に先立たれた両親の、静かで深い悲しみに、涙があふれました。
    亡き娘が、親の愛情を受けられない子供達の暮す施設に送り続けたもの。
    娘の足跡をたどり、遺志を継ごうとする父と母…。

    ”逆縁”って、哀しいですよね…。
    私は幼い時からひ弱で、親に心配ばかりかけていたので、
    せめて逆縁という親不孝だけはしたくないと願っていて…。
    ありがたいことに、老いた親をみる年齢になれた今、
    今度はいつか訪れるその日が、とても怖くて…。
    それは想像するのもつらいことだけど、
    ”送れる”ということに感謝しようと、自分に言い聞かせながら読みました。

    #ハートブレイク・ライダー
    絶対受かるはずだった私立中学に、塾仲間でひとり落ちてしまった敦俊。
    やけになって自転車を飛ばしすぎて、ひったくりの犯人と衝突してしまう。
    その被害者のおばさんと出会ったことで…。

    これも本当に良かった!作品中一番好きなお話です。
    私もこのおばちゃんに、もっと昔に出会いたかったなぁなんて…。

    #蔓草
    父親が外に女性を作ったことで、母に連れられ家を出た梓。
    祖母が暮す思い出の家で、腹違いの弟・圭吾とはちあわせしてしまう。
    そこには祖父母の願いがあった。

    ”アイミタガイ”の意味がじんわりとしみてきます。

    きっとこの先、何度も読みたくなる、
    大切な一冊になりました。

    • azu-azumyさん
      うさこさん、こんにちは~♪

      コメントありがとうね~!
      うさこさんが、思ってくれて、考えてくれて、迷ってくれて…
      その気持ちがありが...
      うさこさん、こんにちは~♪

      コメントありがとうね~!
      うさこさんが、思ってくれて、考えてくれて、迷ってくれて…
      その気持ちがありがたくて…
      本当にうれしかったよ♪
      ありがとう~

      『アイミタガイ』はその通り!
      うさこさんのレビューを見て、ゲットした本です。
      とても良い本に出会えた~
      うさこさんに感謝です♪

      ネットの世界でのつながり方…
      私もよく悩みました。
      難しいよね…
      でも、うさこさんがコメントをくれたこと、本当にうれしく思っています。

      >いろいろとあって…
      なんかある時って、重なるよね…
      私もしんどいなぁ…と感じることが度々です。

      4月に大阪に戻って4か月。
      ちょっとリセットのために、一昨日、バンコクに戻って来ました。

      なかなか読書が進まないことがありましたが…
      うさこさんの本棚から☆5つの『ふたたびの虹』を読みました。
      良かった~!!

      うさこさん、とても気を遣ってくれてありがとうね!
      今日は私がうさこさんとお話ししたくてコメントしました~

      では、またね~♪
      2016/08/10
  • アイミタガイ....相身互い...

    決して知らなかった言葉ではないけれど、なかなか使い慣れない...
    というよりはほとんど使うことのない言葉です。
    お互いさまね...。というほうがよく交し合っていて親しみがあるでしょうか。

    そんな希少な言葉”相身互い”が座右の銘でもあるかのように
    5つの短い逸話に絡ませて、人と人はお互い似たようなことに行き詰っていて
    悩んだり揉まれたりしながらも相身互いに繋がりあうことで
    温かいものを得ていくのよ....ということを
    そっと優しく教えてくれるようなお話でした。

    相身互いですから
    5つの逸話は思いもよらないところで幸せがリンクしています。
    うっかりしていると見逃してしまいそうなくらいとっても小さな幸せ。
    これに気づくだけでも幸せ気分は上がります。

    人と人との繋がりというのはそのくらいのほんの些細なところに
    たくさん隠れているものなのかもしれません。
    樋口くんはい子だ♪^^

    人の心に一歩を踏みいれるには勇気がいるけれど、
    その少しの勇気が人と人を結びつけて繋がっていくのですね。

    ミツバチが花に蜜を運ぶように
    人は人に幸せの絆を運んでいる。

    あぁ..なのに小山澄人くん。
    なんで車両を変えてしまったの??
    ぜひまた同じ車両に乗ってきて!

  • お友達のレビューを見て、手にした一冊。

    色々考えさせられたり…
    心にしみて…

    素敵な本と出合えました。

  • 幸福是日々的果実

  • 心温まる短編集。
    読んでいて優しい気持ちになれる。

    それぞれのお話が少しずつリンクしているのも嬉しい。

    人と人との繋がりと、日常の描写。

    90歳のピアニストのこみちさんの話が一番心に残った。

  • 2018.2.7
    初めての作家さんやったけど、この感じ好きやなあ。さくさく一気読み。短編のようで実はつながってて。

    『定刻の王』
    毎日電車通勤してると、なんとなく覚える人が出てくるの分かる!おんなじ時間にみんな働きに出てるんやなあって。どこで何の仕事をしてるか勝手に想像してみたりして。

    『ハートブレイク・ライダー』
    中学受験って、それまで必死にやってきた小学生からするととても大きなことなんやろうな。朝早くとか遅くにでも、塾の鞄を背負った子供たちをよく見かける。ああ、なんて熾烈な闘いなんやろう。親も一緒に成長する機会なんやろうな。ここで転け方覚えなあかん、っていうおばさんのセリフが 耳に残った。

    全体的にハートウォーミング。登場人物たちの名前が印象的。
    アイミタガイ=相身互い、が、じわじわくる。

  • 何度も泣かされた短編集。
    各短編の隠された繋がりを見つけて温かい気持ちになる。
    様々な理由で一歩を踏み出せず立ち止まる主人公達。
    周りの人達との繋がりや奇跡により最後はみんなが笑顔になる!
    アイミタガイ…初めて知ったこの言葉は日本らしい素敵な意味を持ち、物語を明るく照らす。

    特に「幸福の実」の90歳のピアニストこみちさん!
    品があってしゃんとしていて、でもお茶目な面もある素敵な女性。
    こみちさんの物語が一番泣けた。

    幸せは日々の果実…日々の苦労や努力が養分となり、こぼした涙で実は熟す。
    背中を優しく押してくれる物語だった。

  • 2018/4/9

    相身互い。

    短編集かとおもいきや、長編小説。
    心洗われた。
    毎日の通勤電車で会う人との妙な空気。分かるなぁ。

    定刻の王/幸福の実/夏の終わり/ハートブレイク•ライダー/蔓草

  • 初作家さん。
    どの話もじんわりと胸にくる。
    ほっこりとはまた違う、少し切ない、胸を少し締め付けるような「じんわり」だった。
    娘を亡くしたご夫婦の話とヘルパーさんの話がとても良かった。

  • 長い春になりそうだったカップルが決断するまでの物語・・・って、違う!

    現代を舞台に人情話を書くのは、かなり難しいと思うのだが、中條ていさんは、こういうのうまいなぁ。

    それと、略奪愛がテーマの小説は数あれど、自分の息子が略奪愛の当事者になった祖母の孫への思いというのは、これまで考えたこともなく、胸をつかれた。略奪愛の後にも、毎日の生活がやってくる。

    「人生の中で当たり前のように拾い集めている一粒一粒の幸せが、こんなふうに偶然をよそおい、人を介してもたらされていたことを深く考えもしなかったが、今の自分には、はっきりとそれが感じられる。人は、無関係だと思っている見知らぬ多くの人とのつながりの中に行き、生かされているのだと。(150頁より)」

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著者プロフィール

1956年生まれ。三重県在住。南山大学文学部仏語学仏文学科卒業。著書に『ヴァネッサの伝言』『ヴァネッサの伝言 故郷』『空に、祝ぎ歌』(いずれも幻冬舎ルネッサンス)がある。2012年斎藤緑雨文化賞長編小説賞受賞。

「2013年 『アイミタガイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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