55歳からのハローライフ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344421875

作品紹介・あらすじ

晴れて夫と離婚したものの、経済的困難から結婚相談所で男たちに出会う中米志津子。早期退職に応じてキャンピングカーで妻と旅する計画を拒絶される富裕太郎…。みんな溜め息をつきながら生きている。ささやかだけれども、もう一度人生をやり直したい人々の背中に寄り添う「再出発」の物語。感動を巻き起こしたベストセラーの文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 2012年刊行の本の文庫化。
    「ハローワーク」ではなく「ハローライフ」。
    なので、「再就職」ではなく(再就職に苦戦する話もあるが)、「人生の再出発」に関する中編五篇。

    人生の折り返しはとうに過ぎた後の、第3コーナーから第4コーナーにかけての時期なので、先の視界はまだ十分ではない。(死へと向かう)ラストの直線に出た際に人生が開けているかどうか、微妙なお年頃。

    五篇とも、微妙な辛気臭さが漂うが、これが世間のふつうの姿だろうと思う。

    五篇の中では、ラストの「トラベルヘルパー」が最も救いを感じられる一篇だった。

    村上龍がこんな小説を描くのか、と少々意外。

  • 55歳…微妙な歳。子育てもひと段落。介護するまでは親は老いてない。
    人生経験浅いが故の若い時のような勢いはなくて、でもまだ何かやれるんじゃないか…みたいな根拠のない淡い自信があって。
    この中途半端な年頃。めんどくさい年頃。

    5つの短編それぞれに、色気や、虚しさ、優しさ、強さ、人間関係、家族関係、ほんとに混沌としてる。こんなモヤモヤっとした時間も人生の中には必要なのかな。ちょっとした彩りとして。

  • 村上龍著の5作品が詰め込まれた1冊。55歳って、人生の折り返し地点。これからの人生をどう生きていくかがこの本の最大のテーマ。夫婦の事や親や子供の事、自分を取り囲む環境や状況が変化して自分の置かれてる場所や立場も今までとは違ってくる。だから不安がいっぱいのお年頃なのだ。みんな寂しくてその気持ちを満たされたくて何かに依存しながらも日々を過ごし奮闘している。主人公達がバットエンドでは無いのが救いかな。同世代としては考え深い作品だった。50代からは希望を持つ勇気と気持ちに余裕を持てる資金が大切なのかもしれない。

  • 中高年の主人公たちの人生の転機を描いた作品で共感するところが多く、ストーリーの中にぐいぐい引き込まれました。さすが村上龍先生という感じです。
    『人は、何か飲み物を、喜びとともに味わえるときには、心が落ち着いているんですよ』というフレーズが心に残りました。

  • 人間は誰しもドラマを持っている。「青春」という言葉が叫ばれる近年、どうしてもクライマックスをこの若い頃に求めがちだが本当にそうなのだろうか。華々しい話では無い。まるで道草のようにそっと恋し、そっと悲しみ、そっと感動していく。 55歳という人生の後半戦をただの消化試合で終わらせなかった人々の物語。

  • 55歳から再就職する話の切迫感がリアリティがあり過ぎて、怖かった

  • 中年男女5人それぞれの、誰にでも起こりそうな出来事が他人事と思えない。些細な出来事によって、思いがけず気持ちが揺さぶられることは、誰にでもあるのかもしれない。人間の厄介さと面白さを感じた1冊でした。

  • タイトルに具体的数値が書いてあると
    「あたしにはまだちょっと早いのか」
    と敬遠していたのだが、どうやらドラマ化されているようなので気になり図書館で借りてくる。
    借りてくるまで『13歳のハローワーク』のイメージが強く、てっきり『55歳からのハローワーク』だと思い込んでいた。
    55歳になってからの職探しする話しか……と。
    そんな訳ないか(笑)。

    短編5つ。
    どの話しも主人公が50代。
    自分にも近い将来似たような出来事が起こるのか!?
    それぞれの話しに出てくる飲み物が印象的。
    飲み物は心を落ちつかせるものかぁ。
    そんな、おまじない的なものが自分にもあると、何があってもそれを飲めばホッとできそう。

  • 55歳、老後の入り口に立ち、これからの人生をどう生きるかに迷う男女を主人公にした5つの物語。
    この歳で離婚した主婦、体を壊しながら細々とバイトで食いつなぐ男、ハッピーリタイアメントに見えた早期退職から再就職に苦労する元サラリーマン、夫に冷めペットに入れ込む女性、トラックドライバーの老いらくの恋。
    あまり自分の境遇に嵌るものは無かったけれど、それぞれ、この歳になると身につまされる話ではあるな。
    嫁さんが近くにいずに、あるいは、居ても自分の時間を大事にと言われたら、これはどうなんだろう。
    その内に仕事が無くなるのは必定で、仕事するのが好きでもないので、まあ、それは良いけれど、今と同じように気楽に競馬が出来ないと困るな。
    などと色々考えることはあるけれど、その時に向けて何か準備する訳でもなく、何とかなると思っているけど、それで良いのかぁ?

  • まさにこれからこの世代に仲間入りしようとしてる私にはみにつまされる話ばかり。これまではピンときていなかった『老後』という言葉が急に身近に感じ不安になってきた自分にはどの話もリアルで少し読むのが辛かった。それでもみんな一生懸命に生きていて最後は少し希望が持てた。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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