血の轍 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 736
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344421141

作品紹介・あらすじ

元刑事が絞殺された。警視庁捜査一課の兎沢は、国家を揺るがす大事件の真相に元刑事が辿りついていたという糸口を掴むも邪魔が入る。立ちはだかったのは公安部の志水。兎沢に捜査のイロハを叩き込んだ所轄時代の先輩だった。事件の解決を泣ぐ刑事部と隠蔽を目論む公安部の争いが激化。組織の非情な論理が二人の絆を引き裂く…。胸打つ警察小説!

感想・レビュー・書評

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  • 他人になりすまし(背乗り)裏取引を仕切り凶悪犯となる。表の顔は上場企業の役員として公安部の中枢に潜り込み極秘情報を盗み出す。その公安官僚との縁のきっかけはPCにある個人情報が抜き取られ、弱みを握られたことで縁が経ちきれなくなったことが原因と、ある。現代でも金で操られる公職は改竄は愚か、データーの漏洩にも手を犯す。気を付けたいのは「個人情報」をどの端末・アプリにどれだけの情報をインプットしているかだ。責任は全て個人に返ってくることだ。

  • 特に後半からのどんでん返しの攻めぎ合いに、驚きと興奮が止まらなかった!
    硬派な警察もので、「警察×犯人」よりも「刑事×公安」の対立がメインです。小説に関わらず、ドラマや映画でも警察ものは数多く、この「刑事×公安」の対立構成にもあまり新鮮味を感じず読み始めました。…ですが!、作者の取材力?が高いのか、警察内部が丸見えになるような臨場感、なかなかのページ数ながらも遅読な私が一気読みでした。
    主人公2人の過去やその他人物の出来事が、最後に紡ぎあって…怒涛のラストに繋がっていきます。
    登場人物も多く、警視庁・警察庁…と役職や立ち位置の設定が細かいため、やや警察小説好きの人向けという印象もありますが、硬派な内容+映像が思い浮かぶ情景描写とエンタメ感は最高です!
    仕事とプライベートのバランス感覚を大切にする現代のワークスタイルとは真逆?な、仕事に命がけで殴り合い(笑)しているような主人公たち。そして、私利私欲にギトギトに執着している上級職のみっともなさ。緻密な計算と人間分析の上に成り立つ仕事…、もう最後まで感情を揺さぶられました!

  • 縦割り間のいざこざは何処の組織にでもある事だが、警察内部のこの話はフィクションであって欲しい。

  • 二つの視点とも臨場感があって面白い。それぞれの正義のために自分を犠牲にして活動する刑事に頭が下がる思いで読んだが、公安側の理由が下らなさすぎて、フィクションであってほしいです。

  • 組織対組織
    どーなるんやろ?って思いながらそーなるんやって。なんか落とし所がちょっと好きではないかな

  • 刑事と公安の蹴落としあいを中心に話が進んでいきます。警察って部署が違うだけでこんなに協力体制ないんだろうかって現実の警察組織のことを考えてしまいました。

    率直に言って面白い作品だと思います。話の展開も、えっ??そこ??って思うようなどんでん返しもあるので読み応えはありました。フィクションって感じがするところが逆に良いって思える作品でした。でも、話の伏線がちょっと物足りないというか・・・そういう印象を持ってしまいました。

  • 文句なく面白い。

    警察OBの殺人事件を受けて、刑事部の兎沢と公安の志水2人の主人公が互いの正義を掛けて一生懸命にはたらく物語。

    以前読んだ「KID」に出てくる公安の人間も志水って名前だったので、おそらく同じ人物だろう。その志水が公安に入るきっかけが描かれている。

    かつては同じ所轄で先輩、後輩だった2人が違った道を進み、一つの事件で互いに対立する。決して交わることがなかったはずの二つの轍がふたたび交差するのか。
    事件の真相を互いの角度から明らかにしていく過程がスリリングでとても読み応えがある。

    刑事部の殺人犯は許さないという正義、公安の国家の安全を守るという正義。お互いの正義がぶつかり合い、時には足を引っ張り合う。正義に対する熱い思いは同じなのに目指す結果が異なってしまう。そんな対立行動をかつて同じ職場で心を許した主人公2人に投影し描いていく。ダイナミックでスリリングな物語で飽きずに読める。

    公安のスパイ組織さながらの捜査手法に感心しながらも、刑事の経験と足で進める捜査にも頑張れと声援を送りたくなる。

    警察ものの小説だけど、とても面白く続編があれば読んでみたい。

  • 警察について詳しくなれる。
    警察内部のいざこざが多いので、すっと内容を理解しにくく、職位についてもややこしかった。
    ラストをみたら、ただただ切なく、悲しい…
    どうにもならないことへの落胆、悲しみ、絶望が渦巻くなかでも前を向いて生きていくしかないんだな。自分がちっぽけに思えてきました。

  • 警察内の内部は複雑で、敵と戦っているような感じがした

  • 周到に準備された仕込みは、悪意以外のなにものでもない...。水面下の暗闘から互いに露骨に打ち合う怒涛の後半は、そこまでやるか、の応酬で途轍もない。タイトルに納得。最後のシーンに少し救われる。

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著者プロフィール

1967年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、時事通信社へ。経済部記者を務める。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。『震える牛』がベストセラーに。『血の轍』『ガラパゴス(上・下)』『不発弾』『トップリーグ』他、映像化作品多数。主な著書に『ファンクション7』『偽金 フェイクマネー』『復讐の血』『共震』『アンダークラス』『Exit イグジット』『レッドネック』『マンモスの抜け殻』『覇王の轍』がある。

「2023年 『心眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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