カキフライが無いなら来なかった (幻冬舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420939

作品紹介・あらすじ

五七五の形式を破り自由な韻律で詠む自由律俳句を、妄想文学の鬼才せきしろと、お笑いの奇才「ピース」又吉が多数放出。「雨と冷蔵庫の音に挟まれ寝る」(せきしろ)、「転んだ彼女を見て少し嫌いになる」(又吉直樹)など、センチメンタル過剰で自意識異常な世界が広がる。五百以上の句と散文、著者二人の撮影写真から構成。文庫用書き下ろしも収載。

感想・レビュー・書評

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  •  自由律俳句にずっと興味があった。特に好きなのは「まっすぐな道でさみしい」(山頭火)「こんなよい月をひとりで見て寝る」(放哉)。この「カキフライがないならこなかった」は、俳句+エッセイ+写真の3つからなる点が魅力だ。句の数を減らして、この3つを必ず入れる構成にしてもいいのではと思った。「雪が静かにしてくれている」と「オハヨウが言えなかったサヨナラは言おう」が心に残った。短い言葉の中に大きな広がりがあるのが、自分にとっての俳句の良さだ。うけをねらったようなものは、ちょっと違うような気がした。

  • 自由律俳句。

    五七調でも七五調でもないけど、
    確かにリズムがある。
    節もあって、音がある。

    だから、もう歌がある。

    筆者達が選んだ形は、俳句と随筆と写真。
    私はここにある音をどんな形で世に出していくか、
    実験する日々を重ねている。

  • 圧倒的センス
    真似しようと思ってもできない

    日常に転がっている感覚を拾ってくれた気がした

  • フルポン村上さんと又吉直樹さんの対談で又吉さんが自由律俳句を詠まれるとのことなので、図書館でこの本を借りてきた

    自由律俳句、季語はなし、五七五に囚われないまさに自由、これって俳句??
    ただのつぶやきとかじゃないのと思ってしまったが
    内容は、ぷっと吹き出してしまいそうな面白いものばかり

    妄想作家?のせきしろさんとの共著で、見開きで堂々の競演をなさっている
    それだけではない
    二人のエッセイ風の短文といろんな街角の写真も盛り込まれていて、一冊で三度おいしいという感じ

    電車の中では読まないことをおすすめする
    一人で吹き出したり、ニヤニヤして「この人、変」
    と思われかねないから

    [せきしろ]
    エスカレーターの横にある椅子で寝ている人

    婆さんばかりゆっくりゆっくり降りてくる

    今年一番綺麗に剥けた甘栗だ

    [又吉直樹]
    座席を倒すタイミングを失った

    電気のヒモが長ければと布団で思う

    ホクロの位置は変わっていなかった

  • 自由律俳句なるものをこの本で知った。
    たった一行の中に、沢山の世界があり景色がみえるのが面白い。

  • 私にとって初めての自由律俳句集。1ページに一句という斬新なスタイルがおもしろい。20字程度の短い言葉で、日常の風景をイメージできる。「分かるわ〜」の連続。本書のおかげで俳句というものに興味を持てた。せきしろさんの自由律俳句コンテストに応募してみようかな。

  • 自由律俳句とエッセイと写真の詰め合わせ。

    私は抑えても抑えても、字を早く読んでしまうので、短詩系の文学には向いていないと思う。
    そんな中で、理解しなければ……!という変なプレッシャーがないこの本は、楽しく読めたような気がする。

    「始発電車に眠る人と眠れぬ人と登山者」
    なぜか分からないが、すぐ気に入った(笑)
    見ている自分がカテゴライズから外れている感じも、なぜか好きだった。

    「単三電池握りしめて単三電池を買いに行った日」
    最初、ん?と思って。
    使えなくなった単三電池を、同じやつ買うために持って行ったってことか?
    いや。待てよ。
    二本入れる所があるのに一本しか残ってなくて、買いに走ったってことか!とか。想像しながら笑っていた。

    「現地集合現地解散なら行く」
    私です。

    「つめ切りとか入れるのに丁度よい箱」
    母です。いっつも、カンカンに何を入れるかの夢を語ります。

    ……とまあ。
    他人のファインダーを覗いているのに、自分の心象風景が映し出されるような、不思議が心地よい。

  • 「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった一年間のこと」て紹介されていて読んでみた。
    自由律俳句。
    はっきり言っておもしろかった。
    思わず大声で笑ってしまうほどツボってしまうのがありました。
    いい感じの世界観でした。

  • 又吉の小説読んでみよう!!

  • 自由律短歌、俳句に最近急激に興味が沸いております。そして遅まきながら本書を手に取ったのでありました。
    本屋さんでも沢山見たし、なんならブックオフでも大量に見かけました。そんなにみんな自由律短歌に興味あるのかなと思いましたが、そりゃまあ又吉さん効果ですよね。
    本書に入っている短歌はいわゆる大喜利のようなものなのですが、妙に想像力を掻き立てるものでありまして、その一つ一つのシチュエーションに思い浮かぶ光景は、百人いれば百人がちがうにも関わらず、多くの人が共通の出来事として共感できるというとても面白いものです。
    例えば「醤油差しを倒すまでは幸せだった」これなんて無数のシチュエーションが考えられます。

    ①デートで倒してしまって彼女のスカートに掛かってしまった。
    ②小さいころふざけて倒してしまって、それまで和やかだった食卓が険悪になった。
    ③大事な書類を横に置いていた為、醤油まみれになってしまった。

    ちょっと考えただけでもシチュエーションが色々思い浮かびます。
    思い浮かぶということは、皆、その瞬間を捉えれば自由短歌になるという事です。僕も意識的に日常考えている事を書き留めてみようと思いました。

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著者プロフィール

作家、俳人。1970年、北海道生まれ。A型。北海道北見北斗高校卒。主な著書に『去年ルノアールで』『海辺の週刊大衆』『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』『たとえる技術』『その落とし物は誰かの形見かもしれない』など。また、又吉直樹との共著に『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』などがある。

「2022年 『放哉の本を読まずに孤独』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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