- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344418431
作品紹介・あらすじ
恋人の降一を事故で亡くした志保。その車を運転していた降一の親友・五十嵐。
彼に冷たく接する志保だったが、同じ哀しみを抱える者同士、惹かれ合っていく(「君が降る日」)。
恋人よりも友達になることの難しさと切なさを綴った「野ばら」など、
恋の始まりと別れの予感を描いた3編を収録した珠玉の恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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島本さん2冊目です。
何で今まで一冊も読んでなかったのだろう…
読みやすくて、人の気持ちを表現する例えが、とても綺麗で上手な印象。女性作家さんの中で好みのランクイン!
本編は、3つのお話
1、君が降る日
恋人を事故で亡くして、その車を運転していた恋人の親友との繋がりの話。
予想と違う結末で、生きてく強さと勇気を感じた。
2、冬の動物園
結婚間近と思っていた彼に振られて、英会話スクールで知り合った年下の高校生。この子がまた良い役というか、若いからこその奔放さもあるけれど、失恋直後だと、この行動は全てかっこよくみえるだろうなー。
3、野ばら
これまたせつないー
同級生とその兄、自分と妹。
どうなるんだ?の最後の展開。。
『でも無理なのだ、降ちゃんがいなくなった今も、毎日、呼吸をし、死んだもの食べて、疲れれば眠りに就く。生きるということはきっと特別なことではなく、次に必要なものに手を伸ばし続けるということ。』これは君が降る日の引用。志保ちゃん頑張れ!応援してます!という気持ちに。
どれも感情揺さぶれ、一気読みでした。
今を少しでも大切に生きよう。
細かなごちゃごちゃした気持ちとか吹っ飛んでしまい、島本さん2冊連続して読んで良かった!
3冊目なににしようかなー、、、。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
相手を大切に思いながら、不器用で距離を縮められない人たちを描いた3編の短編集。
どの話も切ないが、個人的には、恋人の降一を交通事故で亡くした志保が、事故時にその車を運転していた五十嵐と次第に惹かれあっていく話を描いた"君が降る日"が一番好き。
人がその生い立ちによって見にまとってしまうものとか、運命とか、なぜ人は純粋に自分の気持ちだけで相手を想ってはいけないんだろうとか、いろんなことを考えさせられた。
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すごく私好みの本だった。
寂しさを抱える男性の描写がとても上手い。
寂しいという感情は時に周りを飲み込もうとするけれど、自分の寂しさが埋まらない限り、人の寂しさを埋めることはできないのだろうなと思った。
島本理生さんお気に入りの作家さんになりつつある。
もっと探索してみよう。
✏弱いから、安定してるように見せてるんです。
✏彼はもっとずっと切迫していて、一気に吹き出した孤独が、私は本気で怖かった。
✏この人の内側は、こんなにも孤独で、寂しくて、前後も分からない鍾乳洞みたいだ。
✏そして私は、真の軽薄というのは、責任を負いきれないものに対する安易な情なのだと気づいた。
✏苦しそうに言葉を続ける彼は、いつも大人びて優しい五十嵐さんではなかった。
もっと愛してほしい、大切にされたいと切望する小さな少年だった。
✏その真っ暗な目を見て、突然、全てに対する後悔が心臓の薄い膜を破って洪水のように溢れ出した。
✏広い世界がどうのって言い出す男って、たいてい新しいもの好きで飽きっぽいだけだよ。自分さえ満足していれば、誰に狭いって言われても気にすることないよ。 -
囚われるなぁ。どうしようものにどうにかしたくてあがく状況に。
学生時代だったら恋人を亡くした主人公にずっと気持ちを寄せていただろうけれど、今は息子を亡くしたお母さんの存在が気になって仕方ない。 -
3つの話はどれも苦しくて、切なくて。
共通の哀しみがあるもの同士はわかり合ってるようで、でもお互いにその傷をえぐっているような。
好きとか嫌いとか一言では表せない複雑な感情が、人と関わる中で生まれるのだと改めて実感しました。
個人的には「野ばら」が好きでした。
恋愛感情抜きでずっと側にいられる男女の友情を築くのってやっぱり難しいんですね。
恋人になる方が案外簡単で単純だったりするのかな。
野ばらの最後の言葉が心に刺さります。
引用されている、谷川俊太郎さんの「あなたはそこに」という詩を読んでみたいと思いました。
「私はこの人が、痛々しい。怖い。愛しい。自分には重すぎる。ぜんぶ本心だった。一つだけなんて選べなかった。」
「好きなものは、たいてい、好きな相手と共有する。だから相手がいなくなっても思い出が残る。」
「私は、祐に恋をしなかった。それでも大切に思ってさえいれば、ずっと一緒にいられるものだと思ってた。私たちは、あの雪の日から、別れると言えない関係を紡いでいたのだと、初めて気付いた。ただ一つの、好き、だけが欲しい思春期にとって、それがどんなに棘だらけの野ばらだったか、私は知らなかった。きっと祐だけが知っていた。」
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短編集。
君が降る日
恋人が亡くなっても死んだりできず、「鈍く、頑丈」という表現が印象的だった。
割と淡々とした文章なのに、心に入り込んでくる。
冬の動物園
タクシーで送るのを遠慮する美穂に、森谷君が返したセリフがいい。
あんな風に相手の負担にならないように気遣う言い方、私が高校生の時にはできなかったと思う。
野ばら
友情と恋のギリギリな感じ。
切なさと残酷さがラストですごく胸に迫ってきて、余韻に浸って、また読み返したくなる。 -
ひさびさの島本理生作品。
やはり、登場する主人公の女の子たちは皆しっかりしているというか、
自分をしっかり持っているわりと自立した女の子。
対して、男の子は、暴力的だったり(この作品の中ではいなかったですが)深い傷を負っていたり、何かしら影がある。
そのへんは、どの作品読んでも変わらなくて、しっくりきて嫌いじゃない。
表題作『雪の降る日』はなんだか悲しくなる。
恋人が死んで・・・っていうストーリーはありふれたものだが、五十嵐さんとの関係がとっても悲しい。お互いに孤独すぎて。
『野ばら』が、なんか難しかった!
やばい、恋から遠ざかりすぎ?と思った(笑)
谷川俊太郎の詩を探してみよう。-
2012/05/05
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daidai634さん
コメントありがとうございます。興味グラフから本棚拝見したところ、好きな作品がかぶっていそうでしたのでフォローさせてい...daidai634さん
コメントありがとうございます。興味グラフから本棚拝見したところ、好きな作品がかぶっていそうでしたのでフォローさせていただきました☆
『野ばら』良い作品でしたね。ストンと腑に落ちるまで読もうと思っていますが(・・;)2012/05/05
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4.5寄りの星4です。島本理生さんの作品を始めて読みました。恋人を亡くした主人公のお話はとても切なくて、でもあたたかくて丁寧に人間関係を描いていて優しい気持ちになれました。その他に収録されていた2つのお話もとても素敵なお話でした。恋愛ものは島本理生さんの本を読んでいこう。
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とてもリアルな恋愛小説。
思うようにならなくて、悲しくて切なくて胸が苦しい。でもこれが現実。