- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344407794
作品紹介・あらすじ
生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。過去、数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子はある日、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔を見た。その時から罪の償いのために半生を捧げる決意をした彼女は、声高に語られることのない"生"を守る挑戦を始める-。胎児の命、そして中絶の意味を問う衝撃作。
感想・レビュー・書評
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内容(「BOOK」データベースより)
生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。過去、数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子はある日、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔を見た。その時から罪の償いのために半生を捧げる決意をした彼女は、声高に語られることのない“生”を守る挑戦を始める―。胎児の命、そして中絶の意味を問う衝撃作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中絶がテーマのお話
そういった類の話は僕の身の回りでは全くなくて、読み進めるとショック[e:350]を受けたりなるほど[e:451]と思ったり勉強になりました
まずビックリなのは中絶してる人数の多さ
また病院によっては経営上の都合から法律違反である妊娠後期での中絶を受けてるところもあり
そんな後期では胎児も人の形になっていて、赤ちゃんを殺すような処置を強いられる
出生の手助けをしたいと思い産婦人科に勤めた看護士などが迎えるそんな現実…
耐えられないなぁと思いましたね[e:286]僕なら精神的におかしくなります
そんな人達が何とかしようと活動を始めて、少しずつでも中絶を思いとどまらせていく姿にちょっぴり感動
ただね、いざ当事者となるとねぇ…特に学生時代で相手を妊娠させたとなると中絶という逃げ道に行ってしまいそうな気がしますね、情けないですが
これを機に責任持って生きないといかんなと思いました…何事も
ちょっと誤解されそうですが、この作品はフィクションです
小説として見ると予想を超える展開はないですが、一気に読める本だと思います -
人工妊娠中絶の是非を問う問題作。テーマは重たいが、一気読み必至の作品。
目に見える命と目に見えない命。目に見える命が失われることの意味は言わずもがな大きい。しかし、目に見えない命がどれだけ失われているのかということにはあまり注目されていない。殺人事件は報道されるが、堕胎について報道されることは非常に少ない。それだけ見ず知らずのところで行われていることになる。
望まれる命と望まれない命。その基準は何処に。 -
後期中絶を含め沢山の胎児の命を奪って来た助産師の、胎児の代理人としての自費出版、テレビ出演、説得活動に、人違いによる中絶等。妊娠したアイドルへの産まなきゃ良かったと言う人に会った事がない等は綺麗事に思え、ネット掲示板の飄々とした中絶擁護派がある意味魅力的に描かれ相手よりも感情論でない気がして、複雑。
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2008年05月22日 20:47
妊娠中絶というテーマで、複数のストーリーが進んでいく展開
日本では1999年に低容量ピルが解禁されたが、先進諸国に遅れること数十年
その現実を目の当たりにして、いかに日本の医療社会がゆがんでいるかを実感したのだったが、妊娠中絶その問題と密接に絡み合っていると思った
一番印象に残ったのは、36歳のキャリアウーマン
精子バンクで子供の父親を見つけて人工授精をするという行動力を持ち合わせた女性が現実の世界にどれだけ居るのかは疑問だけれど、そういった一見血の通っていないかも?と思われる彼女が最後にはお腹の子供、そして生まれた後の子供に愛情を注いでいる姿で締めくくられているところが、とてもよい終わり方だったと思った
やむをえない中絶もあると思うが(レイプや母体の危険など)、そうではないものがほとんどで、中絶した人がそのことを正当化しようとしても所詮無理な話ではないかと思う
事故(出来てしまったという)はあるにしても、その後どこまで腹をくくってお腹の中にいる生命に対して責任を持つか、が人間として真価の問われるところだと改めて思った -
中絶を思い止まらせようと言葉をかけていく天使の代理人。彼女が天使の代理人になったきっかけは重く、リアルであれば自分の知らない世の中の恐ろしい仕組みを知ってしまった。寒気がするほど恐ろしい。天使の代理人が関わる彼女たちのそれぞれの事情。共感できない言葉も多々あり、でもきっと世の中にはそういう発想をする人もいるんだと思うけど。最後のシーンはハッピーエンドだけど、彼女の途中までの発想は私には共感できない。
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重いぜ....。
読みやすいのでガンガンいけるが
テーマがテーマだけに、
そんなの結論出るわけねーだろ
と、思いつつスッキリしないまま読み続けるのだった。 -
生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・冬子がその時見たものは、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔だった-。生命の尊さを描いた胸に響く衝撃作。
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中絶手術を目の当たりにしてきた助産師が”天使の代理人”という本を自費出版する
やがて新聞や地方局で扱われ、反中絶派の看護師や助産師たちにその考え方が共感を呼び"天使の代理人"達の活動が始まる
その活動は妊娠中絶を考えている妊婦に命の尊さを説き、出産に向かってもらおうとするもの
いくつかのエピソードを中心として物語は展開する。
医療ミスで中絶させられた ゆきえ
アメリカの精子バンクから精子を取り寄せ妊娠した 弥生
すでに中絶をした中絶推進派のマーヤ
妊娠中期中絶はかなりひどいものだと知った。
女性は誰しも中絶はしたくないだろう。しかし
この小説のように簡単に事がすすむはずはない。
問題の解決になるような小説ではなかった。むしろ中途半端で面白くなかった。 -
人工妊娠中絶を取り扱った作品。積極的な賛成派、消極的な賛成派、否定派。どの立場の主張も間違っているとは言い切れない。だから、難しい問題なのだなと感じた。
「天使の代理人」活動、ネットワークがどうなっていくのか。下巻に期待。