- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344035287
感想・レビュー・書評
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元から素晴らしかったと思うのですが、極夜行から一気に面白さが増したと思っています。ユーモアが増えて読み物としてとても楽しいです。極夜行前もとても良かった。
そして今回は幼い娘の事を探検家が書くというわくわくしかないという、読む前から大期待して臨んだ本です。
かなり自分の中でハードル上げまくっていたので、実際どうなんだろうかと思っていましたが、乱暴なユーモアと、とんでもない屁理屈で構成されていて非常に読んでいて楽しかったです。まさに男という雰囲気の角幡氏が娘にメロメロになりながらも、恐らく周りからは極大限自分勝手な父親と映っているんだろうなと想像出来ました。
娘(作中ペネロペ)の容貌に対して異常なほど褒めまくる文章からスタートし、まあ掴みだから面白く書いているんだろうと思いましたが、どうやら本当に凡百の赤子とは違う天下一の赤子であると信じているようであります。その文章がひたすら続く辺りは電車で読むのが困難な程面白かった。
サバイバル登山家、服部文祥氏の奥さんのエッセイのあとがきで、文祥氏が言っていた「子供は大自然と同じである」という事を角幡氏も文中で書いています。確かに一人の人間が産まれ出る事は大いなるスペクタクルですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもが生まれると、出かける場所も、出かける目的も変わるし、できれば自分の得意なフィールドに連れて行きたい、という角幡さんにとっても共感。
そして、親の思惑からどんどん逸れて、我が道を驀進するペネロペちゃんに翻弄される角幡さんに、我が夫の姿を重ねながら読んだ。どこの父親も娘には振り回されるものなんだろうか。 -
探検家である筆者から見た娘論、子育て論。
筆者の探検の話、本の話が好きで今回のも「どんなこと書いてあるんだろ〜」と気になって読み始めた。筆者によれば、「自分の娘は客観的に見てかわいい」とのこと。私も子どもがいるので、自分の子が異常にかわいいと思うことには完全同意。でも客観的かどうかはわかんない。ちなみにこのセリフ聞いた時、ある男性のことを思い出した。その人も「自分の娘は客観的に見てかわいい」と言っていた。男親の傾向なんでしょうか。いや、本当に客観的に見てかわいいのか。
にしても、ペネロペちゃんの成長っぷりや自身の変わりようを面白がっている内容は相変わらず面白かったけど、「子どもはこの親の元に生まれてきたことを受け入れないと成長できないし、親は悩みながらも自分の信じる一番いい教育を自分でちゃんと信じて、子どもに与えていくしかない」みたいなことが書いてあって、今回もいいこと読んだなって思った。 -
家族で登山をする話は感動して私も泣きそうになりました。
角幡さんの本は初めて読みましたが、読みやすいし、面白かった。テレビでお見かけして存在を初めて知りましたが、こんなに面白い人がまだいたとは!
北海道出身で、函館ラサールの卒業生なんですね。私は函館在住ですが、知らなかったです。 -
表紙の親子の後ろ姿の写真が印象的。探検家でノンフィクション作家の角幡さんの育児エッセイ。
著作のノンフィクションを読む限りでは、思索的でおもしろい人という印象をもっていた。しかし、これを読むと、夫としてはこのひと面倒くさいわー、変人だわー。奥さんえらいわー。
子を持つことで世界がかわることが率直な言葉で書かれている。哲学者のような考察と、中二病のようなつぶやきとのミックス。なるほどと思ったり、いやそれちがうからとつっこんだりしながら読んだ。ペネロペちゃんの将来が楽しみ。 -
探検家とはいえ、一児の父。
子どもができることで、”あの角幡唯介”が、こうなったのか!と、思わず笑ってしまう一冊。
僕も娘が生まれたことで、この文章に心が震えるようになった。
探検家にとって、自分の足で未開の地を歩き、挑戦することが生きがいだったはずで、それこそが達成感を得られることであり、生きる意味だったと思う。
だけど、それらを味わってきた探検家・角幡唯介が登ってきたどの山よりも、「娘と一緒に登った平凡な天狗岳ほど感動した山はない」と書かれている。
自分の達成感を得ることは貴重な体験だが、大切な人の達成感を得ることに立ち会えることは更に貴重なのかもしれない。
誰かのために生きることについて、考えた一冊。 -
このヒトの文章が大好きで ほぼ全作品読んでます。
勿論、ヒリヒリするような探検行が
真骨頂なのだが、
何気ない日常を考察した数々のエッセイたちが個人的には好き。
中でも本作品での『おちん◯ん』と
『娘にかわいくなってもらいたい父親の心理』は傑作!
思わず声に出して笑ってしまった箇所も。
捉えようによっては変態の領域スレスレ、
いや、踏み込んでるかもしれませんが笑 -
自分に子供がいないからいい歳して娘視点で読んじゃったんだけど、めっちゃキモいな。
うっかり作家の娘になるとこんなに詳細に観察されて本にされるんだな。 -
探検家37歳、娘誕生。この子が可愛くて仕方がない。4歳になるまでを、リアルにそして哲学的に表現したエッセイ。
べらぼーに面白かった。
「胎児がお腹のなかにいる感覚って、どんなんなの?でっかいウンコがある感じ?」すると妻は思いもよらない答えを口にした。「うーん、そんな感じかな」私は愕然とした。え、そんなもんなの?だとしたら、だとしたら、オレ、けっこう毎朝そんな感じなんだけど・・・
胎児=ウンコ?マジですか?妊娠したことないけど、ひどい便秘ならあるぞ。
「オトウチャン、おちんちん、小さいね」いったい誰のと比べて?それとも相対的にではなく、もう絶対的に小さいわけ?
みたいな話があちこちにあり、海外に長期いる時に娘とスカイプして、通信費に20万円も使ってしまったとか。娘に可愛くいて欲しいと思う父親の心理には何があるのかとか、父親になったことで人生のver1.0からver2.0人変わったとか、硬軟取り混ぜた話がある。
男親はこんな風に親バカであると、小説家や脚本家がフィクションとして描いているのは多数目にした。リアルな友達の男親が語るのは、「可愛いとか、面倒くさい」とか「奥さんとばかり仲良くする」程度のどうでもいい話ばかりだった。
もっと深く普遍的な考察をかます、実はありそうでなかった凄い本だった。