こころ傷んでたえがたき日に

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 129
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344033375

感想・レビュー・書評

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  • ■大丈夫、ひとりじゃない■

    つらい時、さみしい時、上原隆さんのノンフィクションコラムがときどき無性に恋しくなる。基本的には上原氏の他の著書と同じ構成、同じ雰囲気だ。ただ、本書はタイトルが大げさで初めての人はイメージした内容と違うかもしれない。

    登場するのは特別な人間ではない。駅前の交差点、公園のベンチやスーパーなど、日常目にする風景のどこにでもいそうな人間を直接取材し、彼らの生活の中に存在する孤独、悲しみ、苦悩、喜びを淡々と描く。その生活は今日もどこかで営まれているのだろう。

    そこにスリルや興奮はない。ストーリーが特に面白いわけでもドラマチックなわけでもない。あるのは時に冷酷な、時に温かい、どこにでもありそうな現実だけ。

    誰もがそれぞれ幸せや不幸を抱え、置かれた場所で生きている。僕もあなたも。言葉にするとそんな当たり前の事実。それ以上でもそれ以下でもないが、そんな当たり前の事実が冷え切った心を温めてくれたり、一人じゃないよって寄り添ってくれる。優しい歌声が疲れた心身を包み込んでくれるように。

    寝る前に一話か二話ずつ読みたい。

  • 題名から、どんな内容の本かと思ったら、ひとつ目の話があっという間に終わってびっくり。こういう形式の本なのね。
    後書きを読んで、また読み返したくなるような。

    作者が、取材相手から聞いた話を文字にして、まとめて、物語にしたもの。
    ということは、どれも実話なのだね。
    本当に世の中にはいろいろなことが起きていて、その立場によって思うことも違っていて、行動も違うんだなぁと。同じ人生なんてひとつもないんだね。

    私が作者に話したら、どんな物語になるのかなぁ。。

    Don’t think twice,it’s all right
    くよくよするなよ

  • ノンフィクション。様々な人の人生。
    誰しも自分について人に聞いてもらいたい欲求があるし、上原さんは聞き手としてとても誠実なんだろうなと思う。

  • なんだかしんみりしてしまう、ノンフィクションというか何というかの短編集。
    渋い。
    どちらかというと、普通から外れた人生、大変な人生が多く収録されていた。あと、大変だけど幸せじゃないわけじゃない人生。
    タイトルに惹かれて読みはじめて、あとがきで石川啄木の作品からとっていることを知った。パワーワードだ。

  • 予約

    インタビューして著者が新たに書き起こす。
    1番最初の話がきつかったな。
    妻のお腹には別の男の子がいる。
    それを知ってもなお、その子を実子として育てようとするも…

    私も書いて欲しいと思った。

  • この人の本は初めて読んだ。ひとつひとつのエピソードを、淡々とした語り口で紡いでいく。ただの不幸話の羅列ではない。
    100のエピソードからの抜粋らしいけど、全部読みたかったな。
    帯の、涙と感動の22篇、という煽り言葉はイマイチ。

  • 漢方薬のような本です。
    題名からはペニシリンのような即効性かなって思ってたんだけど。じわじわとからだの芯から薬が効いてくる感じです。

  • いろんな人生があるんだなぁと、しみじみ思いました。

  • 高いところから夜景を眺めていると、あの灯りひとつひとつにはどんな暮らしがあるんだろうと思うことがある。その答えが本書にあった。

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著者プロフィール

1949年、神奈川県横浜市生まれ。立命館大学文学部哲学科卒。エッセイスト、コラムニスト。記録映画制作会社勤務のかたわら、雑誌「思想の科学」の編集委員として執筆活動をはじめる。その後、市井の人々を丹念に取材し、生き方をつづったノンフィクション・コラム『友がみな我よりえらく見える日は』がベストセラーとなる。他の著書に思想エッセイ『「普通の人」の哲学』『上野千鶴子なんかこわくない』『君たちはどう生きるかの哲学』、ノンフィクション・コラム『喜びは悲しみのあとに』『雨にぬれても』『胸の中にて鳴る音あり』『にじんだ星をかぞえて』『こころが折れそうになったとき』『こころ傷んでたえがたき日に』などがある。

「2021年 『晴れた日にかなしみの一つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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