潔白

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344031388

作品紹介・あらすじ

札幌地検に激震が走った。30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件に前代未聞の再審請求が起こされたのである。すでに執行済みの死刑が、もし誤判だったら、国家は無実の人間を殺めたことになってしまう。「何としても握り潰せ!」担当に指名されたのは、曰く付きの検事。司法の威信を賭けた攻防の行方は…。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭、通常より早いタイミングで死刑が執行される。死刑囚は終始無罪を主張し、再審を希望していた矢先に、すべてを断ち切るように強引に執行された。本当は無罪か、なぜ急ぐように執行されたのか、2つの謎が提起されている。
    死刑囚の妻はほどなく亡くなり、一人娘だけが残された。事件から30年たち、当時のDNA鑑定に疑義が生じる事態が発生し、無罪を信じる娘は真実を求めて再審請求を決断する。再審に向けて弁護士を中心とするチームが核心に迫っていくなか、冤罪死刑という前代未聞の不祥事を回避すべく、検察・裁判所は現判決に有利な裁判長に交代させたり、卑劣ともいう手段に訴えていく。
    司法制度を無条件に信じている前提に、さもありなんという警鐘が鳴らされている。正義は全うされるのか、結末まで一気に読みたくなる。

  • 凄かった!久しぶりに1日で読み切ってしまいました。(通勤と眼科の待ち時間とMOSバーガーで)
    FBの本のグループの方のご紹介で興味を持ち、図書館ですぐ見つかってラッキーでした。読んでよかった!圧倒されました!

    この世に不幸の形は様々あれど、『冤罪で死刑になる』というのは、とてつもない不幸なことだ。

    「日本の刑事裁判は有罪率99.9%!起訴されたら有罪に!」
    というのは有名なことではあるが、それを守りたいがため?保身のため?警察・検察・裁判所、それらの威信をかけた権力防衛?その為に、どんだけのことをするんだ?!というのが、もう読んでいて、腹立たしかった。
    個人個人は正義の気持ちからなった職業であろうに…組織の中で力を持ち、市民1人の命の重さなど考えられなくなるのか?
    そんなことをグルグルと考えながら、裁判というものの、途方もない長い長い戦いを、息を詰めるように夢中で読みました。
    MCT118、という名前も初めて知りました。

    ミステリーとしても面白く、ラスト近くはドキドキ…ひかり、よく頑張ったね。

    印象的だったところ、ネタバレしない程度に。
    ーーーーー
    つまり検察の描くストーリーに都合のよい証拠だけが法廷に出され、被告人にとって有利な証拠は人知れず眠り続けることになる。

    「検事さん、一言だけ言っておく。あんたら、あんまり人間を舐めん方がいいよ」

    「弁護士なんてファイトだ。それがなきゃ、刑事弁護なんてやってられない。諦めたら負けなんだ」
    ーーーーー
    それにしても、全然知らない作家さんでした。骨太だけど読みやすい!別の作品も手に取ってみたいな。

  • 本格的ミステリー。読みごたえ、読了感供に満足のいく秀作だ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    札幌地検に激震が走った。30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件に前代未聞の再審請求が起こされたのである。すでに執行済みの死刑が、もし誤判だったら、国家は無実の人間を殺めたことになってしまう。「何としても握り潰せ!」担当に指名されたのは、曰く付きの検事。司法の威信を賭けた攻防の行方は…。




    こういう内容のモノを読むと 誰のための裁判なんだろう?といつも思います。
    文中に『警察がすべての捜査情報を検察に報告するとは限らない。特に容疑者に有利な情報は伏せたがる。』とありますが この文章だけに限らず 人、1人の人生がかかっているのに警察も検事も手柄のためだけに働いているのか...

    清水潔さんの『殺人犯はそこにいる』『桶川ストーカー殺人事件―遺言―』を読みましたが そこで働いている人がすべてそうだとは思いませんが 事件に巻き込まれないように自衛するしかないのでしょうか...

    この本はフィクションなので 犯人が意外な人物でラストは驚きましたが 現実の世の中にも冤罪で罪を被らされている人もいるんだろうなぁと思っています。

  • 読み始めてすぐに、あー、これ前に読んだことあるなぁ〜と思ったけど、もう一度読んでみようと思いそのまま読み進めた。読んでよかった、やはりいい作品は何度読んでもいい。

  • 検察も裁判所も何がなんでも再審を受け入れない体制に絶望的になったけど、正しい気持ちが勝ってよかった。そして真犯人がこの人だなんて。

  • すでに死刑判決執行済みの事件に対して、再審請求起こされる。再審を防ぎたい地検は、あらゆる手段で棄却させようとするが…。
    再審を防ぐために文字通りあらゆる手段を使う地検の姿や、元の事件での有罪に持っていく流れも、ありそうで怖くなる。再審をめぐる攻防は、引き込まれて読んだ。
    ただ、真犯人探しのあたりなどは、余計な部分が出た感じもする。フィクションとして、話の盛り上がりのためとも思うが、死刑執行後の事件としたことで、冤罪事件とその再審をめぐる話だけにはできなくなったのもあるか。

  • こないだ読んだ「殺人犯はそこにいる」のスピンオフ的作品。
    フィクションノンフィクション半々のような。
    (なのでフィクションとしては最後の真犯人登場入れたんだろうけど、蛇足感は否めない)
    ていうか、今ドラマでやってるリーガルV楽しく見てるけど、あそこまで反証揃えてもなかなか判断覆せないってのがしみじみ怖い。
    しかしこの話の中では警察が保管していた証拠品が有力な決め手となるわけだけど、最近のニュース見ていたら公文書さえ改竄される現実なので、現実のがより悪いんでは…という暗澹たる気持ち(-_-;)
    とりあえず一連の清水潔さんの本やこれなどでジャーナリズムに興味が湧いてきました。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベースより)
    札幌地検に激震が走った。30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件に前代未聞の再審請求が起こされたのである。すでに執行済みの死刑が、もし誤判だったら、国家は無実の人間を殺めたことになってしまう。「何としても握り潰せ!」担当に指名されたのは、曰く付きの検事。司法の威信を賭けた攻防の行方は…。

    検察、裁判所の裏事情が分かり怖くなった。冤罪事件を取り扱った話は多く有るが、これは冤罪の被疑者が既に死刑執行されているという取り返しの付かない所から話が始まる。こんな事は絶対にあっちゃいかん。

  • 清水潔さんを知った流れから読んだ本。ノンフィクションかフィクションか知らずに読み始めたらとんでもない内容で「え、これノンフィクションだったっけ?こんな事件本当にあったらヤバくない?」とドキドキしながら読み進めて行った。結果、フィクションでホッとしたものの、話の元になった事件は実在するわけで、なんだか複雑な気分となる読後感。

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