日本はこの先どうなるのか

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029750

感想・レビュー・書評

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  • 日本のマスコミは日本社会は景気低迷が続き、財政破綻の危機に曝されているとか、中国政府の発表する事を鵜呑みにするような論調で日本が世界から取り残されているようなニュアンスを与えたり、いろいろと心配させるような言葉を新聞紙上に振りまいているが、そのような不安を一掃してくれる内容の本です。

    以下文中からのエッセンスです。
    ○金融市場の関係者も、株価や為替相場の短期的な動きだけで政策の効果を論ずることがしばしばある。彼らには本来、政策を語る資格はない。市場の短期的な動きで政策効果を考えることは基本的に間違っている。
    経済政策の効果はGDPや雇用統計などで計られるべきで、各種統計を、第2次安倍内閣の発足前と発足後を比較すると、日経平均は8000円が2倍以上。
    為替の年平均レートは2012年の1ドル=約80円から2015年は120円。
    完全失業率は4.3%から3.2%に低下。
    有効求人倍率は0.8倍から1.36倍に改善し、就業者数は100万人以上増加。
    2015年には大企業、中小企業ともに過去最高の利益を上げている。
    但し景気のスピードは落ちてきている。その原因は消費増税だ。

    そもそも消費税の増税は何かと言えば、税収を増やすことだ。しかしこれまでの歴史を振り返ってみると、増税は必ずしも税収アップに結びつかないことが分かる。税収の増減は、その時点の経済情況に大きく依存する。

    ○中国が発表する統計の中にも、一つだけ信頼できる統計データがある。それは「輸出入統計」だ。この数字だけはごまかすことができない。なぜなら輸出入には相手国が必ず存在するからだ・・・その数字を見ると、2015年の中国の輸入額は前年比14.1%減だ。これは衝撃的な数字である。輸入の伸び率とGDPの伸び率との間には、正の関係がある。この相関係数から推計すると中国のGDP成長率は「-3%」である。
    中国は「中所得国の罠」にはまりこんでいる。

    ○財務省が主張している約1000兆円の借金は「粗債務」と呼ばれるもので、バランスシートでいう資産を考慮していない。資産を粗債務から差し引いた数字を「純債務」という・・・2014年度末時点で、国の負債は1172兆円。このうち国の借金と呼ばれる「公債」と「政府短期証券」「借入金」の計は1013兆円。粗債務から資産を差し引いた純債務がいくらになるかと言えば「1172兆円-680兆円」で約492兆円だ。この数字をもとに、日本銀行も含めた連結ベースで国家財政を考えると、日本政府の純債務は約100兆円ということになる(2015年3月末)。GDP比で言えば20%程度で、財務省やマスコミが喧伝するほど日本の財政状態は悪くないのである。ちなみに中央銀行と連結した場合の純債務をGDP比で見ると、アメリカは65%、イギリスは60%程度である。「日本の財政は火の車で、今にも破綻する」という主張の滑稽さが分かるだろう。

    以上が本の中で気になった部分のエッセンスです。面白いと言えば面白いのですが、どうも著者の傲慢さがチラチラ見えるのが気になります。

  • 少し古い著書ですが、データに基づく高橋氏の主張は説得力があります!

  • 2017年時点での世界や日本の現状と問題点を解説してくれるという面で良い本だった。
    この人の本は古本を読むのではなく、現状理解の一環として今の本を読むべき人ではあるが、意見をうのみにするのではなく自身で検証するべきでもあると感じた

  • 日本はこの先どうなるのか?
    分かれやすくこの国の行き先を解説しています。

  • なんとかどうにかなってほしいとか
    そんなことをおもいつつも、つつも

    2016年を振り返ると、私自身は何であったのか。
    2年も3年もたつとわからなくなってしまうが、
    やはり反省しないといけない何事も。疑いを持って。

  • データに基づく分析を重視する著者が、日本で起きているさまざまな問題についてデータをもとに分析し、解説している本です。
    2016年8月刊行ですので、それ以前のデータに基づいての分析となります。

    マスコミや学者・識者が感情や印象で語っているため、一般人が世界や日本で本当に起こっていることを知る機会がない現状にあって、きちんとしたデータに基づいて解説している本書はとても参考になる良書だと思います。

    なお、本書は刊行から概ね2年経過していますが、経済政策についての分析・予測ははなかなか当を得たものだったと感じました。
    ただ、国際関係についての分析は納得できる部分も多いが、経済政策に比べると物足りず精度も低いような感じで残念である。

    2018/06/17 読了

  • 上念司さんとほぼ同意見なので読みやすい 歳入庁を作れって事と民主主義国家間が戦争する確率は非常に少ないって話はなるほどと思ったなあ

  • 経済から安全保障まで、日本の様々な問題が挙げられています。著者が以前に、出版している著書と内容が若干被る部分はありますが、全体的に分かり易く、政治経済の専門用語が全く分からない人でも読むことができるくらい、平易な文章で書いてあり、かつ分かり易いです。

  • こんなにわかりやすく社会をぶったぎる本があったのか

  • 2016年、58冊目です。

    日本は、深刻な財政状態ではないとの主張が基軸になっています。
    借金は、実質100兆円であり巷間言われている1100兆円ではないとも。
    日本は様々な資産を保有しており、なおかつ日本銀行は政府の銀行であり、
    会社で言えば子会社に相当するという考え方(国際的にはそう見られる)でバランスシートを作成するとそういう数字になるとのこと。著者は元財務官寮でであり、実際にそういった資料を作成していたと書かれています。
    しかしこのままでは日本の財政状況は悪化していくことは分かっている。
    それを回避するには、「増税を実施し、社会保障や地方交付税の大幅削減」しかないというのが財務省のシナリオだそうです。ビックリしたのは、財務省のウェブサイトに財政改革ゲームなるものがあり、財務大臣になって財政改革をします。しかし、このシュミレーションゲームは、増税と社会保障費の大幅削減をしなければクリアーできない。こうやって国民への刷り込みを進めているとのこと。
    滑稽な気もするが、ちょっと恐ろしい企みのような気もしますね。
    もう一つ面白かったのは、選挙がなく民主主義がない中国に、AKB48の選抜総選挙を広めて、選挙の価値を知らしめるというアイデイアです。そうか、かの国には、確かに選挙が無いんだな。AKB48はマスコミより平和へ貢献できる!ということです。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。数量政策学者。嘉悦大学大学院ビジネス創造研究科教授、株式会社政策工房代表取締役会長。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官。菅義偉内閣では内閣官房参与を務めた。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞を受賞。著書はほかに、『正しい「未来予測」のための武器になる数学アタマのつくり方』(マガジンハウス)、『高橋洋一式「デジタル仕事術」』(かや書房)、『国民のための経済と財政の基礎知識』(扶桑社)、『理系思考入門』(PHP研究所)、『国民はこうして騙される』『プーチンショック後の世界と日本』(徳間書店)など多数。YouTube「高橋洋一チャンネル」でも発信中。

「2023年 『日本の常識は、世界の非常識! これで景気回復、安全保障は取り戻せるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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