海は見えるか

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 238
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028944

作品紹介・あらすじ

東日本大震災から一年以上経過しても、復興は遅々として進まず、被災者は厳しい現実に直面し続けている。それでも、阪神・淡路大震災で妻子を失った教師がいる小学校では、明日への希望が芽生えはじめていた-。『そして、星の輝く夜がくる』に連なる、二年目を迎えた被災地、奇蹟の祈り。生き抜く勇気に出会う珠玉の連作短編!

感想・レビュー・書評

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  • 小野寺先生が被災地の遠間市で奮闘するシリーズ第2弾。
    続けて第3弾を読みます。

  • 私などには想像も及ばないほど、多くの方々に辛く悲しいことがあったと思います。いや、まだ続いていることでしょう。今年もあの日が近づいて参りました。まだまだ忘れてはいけませんね。

  • 前作「そして、星の輝く夜が来る」は大阪弁丸出しの小野寺先生の奮闘が清々しく、次第に自分ものめり込んで応援して、感動と震災以降の教育現場について興味を持つ切っ掛けになりました。
    その続編、再び小野寺先生が帰ってきました。
    ふたたびあの大泉洋を彷彿とさせる姿が(文章ですが)帰ってくるとワクワクしました。

    震災から2年が経ち、最初の衝撃から時間が経過し停滞した空気が蔓延し始めた現場で、むなしく空回りする「まいど!」の声。生徒たちも教師も地域も、行政や権益の思惑に振り回されて次第に分断されていく。
    子どもたちに必要なのは時間とは分かっているけれど、自分に何もできない事を痛感する小野寺先生の葛藤が非常に痛々しいです。
    もう一作読みたいなあ。小野寺先生がどんなふうに自分の内面を立て直すのか興味が有ります。

  • まいど先生の震災2年目のお話。フィクションだけど、ここに書かれた事は被災地に実際にある話なのだろうと思いながら読みました。防潮堤の話は実際に地元の人に聞いた事があります。震災関連の本を読む事は辛い。しかし、大した被害を受けなかった地域に住む私にも読む意味はあるのだろう。自然災害はいつどこにやってくるのかわからないのだから。

  • やっぱりだめでした。レビューを見る限りではそれほど深刻でもない内容かと思いチャレンジしました。あの震災を経験した立場から読む義務があるかと思って。なのにプロローグの章ですでに限界でした。それから冷却期間を1週間。再度手に取り、あとは一気に。他の方の感想にある通り、確かに中途半端な感はあります。ですが私にはそれで十分。この本をフィクションとして受け止められないから、決着は自分でつけるしかありません。きっかけを与えてくれるだけで十分です。あれから5年が過ぎても未だに復旧すらしない街。仮設住宅には未だにたくさんの人が居住を続け、お年寄りが死んでいっています。

  • ふつうの生活がしたいんです。
    東日本大震災の1年後からを描いた7つの連作短編集。

    阪神・淡路大震災で妻と娘を失った教師の小野寺徹平。
    神戸から応援教師として遠間第一小学校にやって来て一年。
    一年で神戸に帰るはずだったが、元の学校の校長と喧嘩して戻る先を失った事と、
    遠間の人々の要望もあって、さらに一年間被災地の小学校で6年生の担任となった。
    同じ教員の三木まどかや「地元の御用聞き」というボランティア団体の代表
    〝あんちゃん〟こと中井俊。元校長の浜登…。
    地元の彼らや担任してる子供達の姿を小野寺が見つめる二年目を迎えた被災地の現実。

    家族全員を津波で亡くし、避難所がなくなり居場所がなくなった大樹。
    自分だけ逃げた事に苦悩し、PTSDを発症する…。
    自衛隊のお兄さんタッちゃんとメールのやり取りをしていたみなみ。
    連絡が途絶えた事を心配していた。
    タッちやんは、発災直後から人命救助や瓦礫の撤去およびご遺体の搬送と洗浄をしていた。
    彼は、自ら命を絶っていた…。
    仮設住宅で暮らす被災者数が横ばいなのは、
    地縁が強いコミュニティ単位での移住が行われているから。
    引っ越すのが難しい…新天地での再出発をする人をお前は故郷を捨てるのかと罵る人も居る。
    防潮堤建設問題と元の松原の再現を望む人との葛藤。
    被災地を世界の遺伝子研究の先進地にしようとする「東北バイオ・スーパーバンク」構想。
    500億円の復興予算が充てられている。
    深刻な医師不足の被災地の被災者という弱者に対して医療従事者派遣という
    交換条件でDNA採取を半ば強制している…。

    大切な肉親を失った人は、必ず生き残った己を責める。
    楽しい事や少し忘れていた瞬間があった事すら自分を責めてる。
    若き自衛隊員の自死も凄く、ショックでした。
    一番頑張ってくれた人の命まで奪う。
    震災の及ぼす被害の大きさを痛感しました。

    震災から5年経った今も、沢山の問題が山積している。
    復興は遅々として進まず、被災者は厳しい現実に直面し続けている。
    ノンフィクションを読んでいるようで、読んでる間中ずっと苦しかった。
    途中で読むのを止めたくなった…でも、読んで良かったって思いました。
    決して忘れちゃいけないって強く思った。

  • 「そして、星の輝く夜がくる」の続編。
    まいど先生のその後。
    震災から時間が経過しているというのもあって、前作よりは小説として、すんなり読めたかな。
    「ふつうの生活」を営めることが、どれだけ大変で幸せで奇跡的なことなのか、改めて感じることができた。

  • 「そして、星の輝く夜がくる」続編。

    前作よりも、重いテーマが書かれていた気がする。
    実際の被災地での年月と同じ速度で進む苦悩、葛藤のような。
    被災して1年間の苦悩、葛藤と、2年目の苦悩、葛藤は、中身が違うと思うから。

    その苦悩、葛藤は、他所者が感じるものとは、違うもの。
    それを思うと、東北の当事者ではない、都内に住む他所者の自分が感じた苦悩、葛藤は、やはり、他所者の考えなのだと思いつつ、それがまた苦しくなる。
    でも、じゃあ、だからといって、読むのをやめた方が良いのか?は違っていて、他所者だからこそ、読む必要もあるのだと思う。

    『人はなんでこんなに面倒なんやろうか。
     ごちやごちゃ言わんときのむくままに生きればええのに。なんやかんやと理屈や事情が、しがらみつきまとう。
     けど、それでも生きている。』(196頁)
    まさにこれなんだろうな。。

    人は、忘れる生き物だと思う。
    忘れる生き物だからこそ、生きていられる面もあると思う。
    でも、忘れてしまって、せっかくのいろいろな教訓を無駄にするのは、その時に亡くなった方にも、生き延びた方にも失礼な気がした。
    語り継ぐこと。
    それって、すごい大事なことだよな。。と、読み終わって改めて思う。

  • 被災地での人間模様を描いた短編集。
    それぞれの人物の立場になれば理解もできるが、全体最適を考えた場合には矛盾が生じる。正解が無いため、答えを出しづらい重いテーマ。

  • 自衛隊隊員の自殺、重たい。全体的に重たい、希望?必要無いかもしれないが明るさが無い。テーマゆえ仕方ない。読み応えあり、楽しむ本では無いけど、充実した読書時間を、過ごす事ができた。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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