ドミソラ

著者 :
  • 幻冬舎
3.02
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本棚登録 : 146
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344025851

作品紹介・あらすじ

十六歳のときに美しい人生を穢され、心を閉ざした容姿端麗な女と、あらかじめ歪んだ人生の中で、すべてを手に入れようと藻掻く醜い女。過去の因縁に引き寄せられ再会したふたりの運命が、断末魔の叫びにも似た「不協和音」を奏ではじめる-。生きることは、こんなにも愚かしく美しい。話題の女性作家が描く、嘗てないほど愛おしい人間小説!

感想・レビュー・書評

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  • 誰もがうらやむ美貌の小学生・織江と、彼女に憧れる醜い同級生・由羽。前者には高校生のときに一生を左右してしまう事件が起き、数年ののちに2人は再会を果たす。
    事件を書き記すことで復讐を誓う織江、それをアシストする片眼の編集者・尾崎、そこに勝手な親近感で近づく由羽。3人が交互に主導権を握る形で歪んだ関係が続く。やがてスポットライトを浴びようとしていた織江に、再びの悲劇が忍び寄る……。
    人間が、とりわけ2人の女性が奥底に抱えている本音やドロドロした感情が余すところなく描かれていて、読みながら本当に背筋がゾクゾクした。人間の生きる理由とは何なのか、極限状態に置かれたときに行き着くところはどこなのか……。

  • 読み終わってからしばらく頭をクールダウンしなければ言葉をうまく紡げなかった。

    ここまで残酷に醜くオンナを描いた小説があっただろうか、と。

    これは、醜いほど無垢な嫉妬と、美しくゆがんだ憧憬が生んだ悲劇。
    美も醜も、ある程度の範囲を超えてしまうと、それだけで「普通に」生きていくことさえできないのか。

    目に入れても痛くない、とか、食べてしまいたいほどかわいい、とか、言うけれど、究極の愛というのは「殺したいほど憎まれたい」という欲望なのかもしれない。それが狂気という世界でのみ成り立つ一方的な関係であったとしても。

    読んだあと、きっと誰もが言うだろう。「全然共感できない」と。
    そう。「共感できない世界だ」、と自分で自分を守らなければ立っていられないほどの衝撃を与えられるから。
    「自分は彼らとは違う種類の人間なんだ」、と言い聞かせなければずるずると引きずる混まれてしまいそうになるから。
    純粋な愛ほど、恐ろしいものはない。

  • 16歳で穢され心を閉ざしてしまった容姿端麗な女・織江、彼女の唯一の理解者であると思い、彼女に執着する醜い女・由羽。そして、眼病を患いながら、織江に人生を捧げる男・尾崎。不協和音(ドミソラ)を奏でながら、話は展開していく。途中までは嫌な感じではあるけど、読ませる内容だったのに、終盤はもう一展開あってもよかったのになぁという感じで、ちょっと物足りなかった。

  • 誰もが振り返るほどの絶世の美人だが集団レイプの被害者となり人間不信で人前に出られない少女と、その美しい少女に異様なまでの憧れと執着をもつ醜い少女の二人の人生を描いた話。

    醜いがために歪んでいく少女が恐ろしい…美しく高慢な少女のボロボロになっていく様も。集団レイプの暴行の描写が凄くて気持ちが悪くなるくらい、対して後半は性描写が増えて「あれ?エンタメ小説だっけ?」という感じ。前半の感じまま最後までいって欲しかったかな。

  • みんな主人公で・・・
    前半は良くあるパターンかと・・・
    終わり方の半端なさ

  • 全体を通してかなり強い負の感情、偏執的な感情が描かれているので読み手を選ぶと思う。雰囲気的には白夜行に似ているかなと思ったけど、方向性は少し違った。

  • 表紙と題名に惹かれて手に取った。
    読後のどんよりしたこの救いのない感じ、ハンパない。。。

  • 歪んだ愛憎。
    いじめから逃れるために歪む。
    息子や妻の不幸から逃れるために歪む。
    自身の不幸から逃れるために歪む。
    3人の奇妙な共同生活。長くは続かなかった。
    相手が自分のものにならないならば、殺してしまうか。自分が死ぬか。後者を選んだあとの描写は気持ちが悪かった。残された彼女も正常ではなかった。
    不協和音というが、何も奏でていないように思う。

  • 中盤はなんだかダラダラして読むの辛かったし、序盤の織江に魅力を感じないぶん、由羽の気持ちにも賛同できなかった。
    でも最後の章は良かったです。

  • 裕福な家庭に育ち容姿端麗で人気者「織江」、肥満体質でいじめ対象だった「由羽」。織江は由羽を無視しようとするが、由羽は執拗に織江に接近してゆく。そんな中起こった織江のレイプ事件を期に物語は一気に狂気の世界に突き進んでゆきラストまで一気に読ませる。
    由羽と織江の立場と心理ががくるくると変化するのが面白い。
    官能小説作家は文章がうまいというのは本当だ。

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著者プロフィール

大阪生まれ。奈良に育つ。2011年『指づかい』(幻冬舎アウトロー文庫)でデビュー。2012年『蝮(まむし)の舌』(小学館クリエイティブ)で第2回団鬼六賞大賞受賞。近刊に『甘く薫る桜色のふくらみ』(幻冬舎アウトロー文庫)、『ドミソラ』(幻冬舎)、『贖罪(しょくざい)の聖女』(イースト・プレス)などがある。『姉の愉悦』(幻冬舎アウトロー文庫)は2016年『溺愛』と改題、映画化された。

「2016年 『永遠に、私を閉じこめて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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