男の作法

著者 :
  • ごま書房新社
3.57
  • (10)
  • (14)
  • (16)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 148
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784341019020

作品紹介・あらすじ

粋の本質を知る、男をみがく。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 劇作家の池波正太郎さんがインタビューを通して語った男の生き方について読みやすくまとめた本。
    池波正太郎さんは大正生まれの古い人なので、時代にそぐわない部分が多少あることは無視できないが概ね現代でも通ずると思う。
    ただ私としては情報量が少ないと感じたので★3つ。

  •  粋な振る舞い、というのは、粋な人に教えてもらうしかありません。

     例えば寿司屋で「しゃり」だの「がり」だのと言う人がいますが、こういう符丁は店の者が使うものであり、客が粋がって使うのは粋の対極、野暮の極みだったりします。当人は大将の使う符丁を一緒になって使い、なじみヅラしてるんでしょうが、これは閉店になった後のスナックのカウンターに入り込み、嬉々としてコップを洗ったりして常連面する変ななじみ客とその精神は一緒です。

     本書を読んでいくとわかるのですが、実は著者は別に「粋」を語っているわけではありません。むしろ、その場に合わせた常識的な振る舞いについて語っているだけです。
     だけど、そこに著者の生き方や美学が反映されています。寿司屋でもう一つ言うと、著者はやたらトロを食う奴に眉をしかめてます。「金があるからとバクバク食うもんじゃない、他の客が食えなくなるから一つ二つ食ったらおしまいにするべきだ」と店や他の客のことを考えて振る舞えと説くわけですが、そういうところに本当の美学が宿っているように思います。
     男の美学、そして人間的な余裕、そういうものがダンディズムの重要な構成要素なんでしょうね。僕に足りないものばっかりです…

     ただ、読み進めると「アレ?」と思うような記述に出合ったりもします。

     74頁以下では「浮気」という項目で、浮気について語っていたりします。うん、ここはさすがに作法もクソもないですよね(笑)

     天ぷらの項では、「天ぷらは揚げたてが美味いのだから、親の敵に会ったようにかぶりつけ」とあり、店の親父だって一番美味しい時を狙って出してんだから…と料理人に敬意を払う話に納得します。「腹を空かせて行くのが料理屋に対する礼儀なんだよ」というのは、仰るとおりです。続いて、料亭でも出されたものはすぐ食べろ、そういうタイミングで向こうは出してんだ、という話に。
     ここまではわかるのですが、雲行きが怪しくなるのは、その料亭の名前が「吉兆」だということ。

    《どうしても腹がすかせないで、おつき合いで行って食べられそうもないという場合は、むしろ手を付けないほうがいいんだよ。
     仲居に、
    「あと、何が出るの?」
     と、聞いてもいいんだな。で、仲居が何と何ですと教えてくれるから、
    「それならぼくは、あとのそれを食べるから、いまちょっとおなかいっぱいだからこれは結構です」
     と言って、手をつけずに最後きれいなまま下げてもらう。そうしたら、せっかくのものが無駄にならないでしょう。だれが食べたっていいわけだから。》(83頁)

     い、池波先生…実はそれで「船場吉兆」という料亭がつぶれるくらいの大問題になったんです…


     ま、そういうのもありますが(笑)、飯の食い方、酒の飲み方、着るものに人生諸事全般について粋とは何かを教えてくれる人が身近に居ない方は、是非本書をひもといて下さい。池波正太郎大先生が粋な口調で教えてくれます。

  • 全てが肯定では無いけど貫いててかっこいい。

  • わたしにはハマらなかったが、粋な男の生き方
    なんだろう

  • 池波正太郎の教え、ちょっと古いので時代に合わない点も散見されるけど。

  • 昭和57年に書かれた本。現代との差を感じながら楽しくよめた。心意気とか考え方に触れることができる。折に触れ再読したいと思う。

  • 男としての日々の作法について学んだ。例えば食事では、それぞれの最高の食べ方・飲み方があるため学んでおく。身なりにも神経を使い、特に上等な万年筆を持つ事と、靴にまで気を配らせておく。
    また、健康には気を配りながら常に「死」を意識しておく。それができないと、何事も逆算して真剣に取り組むことができない。
    時代は移り変わっていくが、日本古来の知恵や文化を軽視してはいけない。

  • ズボンの手入れは自分でする、アイロンも
    服装、どういう形の主張をしたいかまず考える

    ネクタイ、身だしなみ、ととのえるとは鏡で、観察して、みる。
    その客観視のため、映画、小説等で感性みがく

    本はあらゆる本を読む
    斜めにずうっと読んでる、熟読する本もある
    本をたくさん読んでくうちに、おのずと読み方を会得できる
    大切なところと斜め読みで構わないところが分かるようになる。

    若いとき金の使い方は、残そうと思ったらダメ
    男の小遣い、世の中を潤す
    日本の文化の感じをつかむ

    男をみがく。は、自分も世の中にできる限り、むくいなくてはならないということ。

    そのために小遣いが必要
    自由にできる金が必要。

    最近の人はみんな同じ顔。

    一つのことをやりながら、つねに他のことにも気を配る
    洗濯しながら火加減みる
    両方やる
    同じ時間に二つのことやる

    若いとき、お金貯めて、たとえ半年後とでもいい店にいく。

    信長、秀吉、家康、戦国の豪傑は、みんな神経が細かい。細かいばかりじゃなく、別の神経も持っている
    若い頃に色々なことに首つっこむ

    人間の一生は幼児体験で決まる

    死ぬところに向かって生きている

  • タクシーのチップは交通安全にもつながる。
    気分転換の趣味。好奇心。
    死ぬことを考えながら生きる。
    自分の周りのすべては、自分を磨くための磨き砂。
    身銭をきること。

  • 時代も違い、
    当てはまらないことが多いし、
    偏見も強い。
    ただ上の世代の方々が
    何を良しと思うか、何を粋と思うか
    知っていると違ってくるだろう。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×