エヴリデイ (Sunnyside Books)

  • 小峰書店
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338287166

作品紹介・あらすじ

目覚めたら、すぐに「自分がだれか」を把握しなければならない。なぜなら、Aは毎朝、違う人物のからだの中で目覚めるから。共通点は、からだを借りる相手はかならず16才だということ。16才なら、男でも女でもあり得る。住んでいる場所がメリーランド州の一定範囲内であること。からだを借りるのは、一日だけであること。そして、二度と同じ人物にはならないこと。肉体も名前も持たない彼/彼女は、自分のことを「A」とだけ、呼んでいる。

感想・レビュー・書評

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  • 毎日違う誰かのからだを借りて生きるA 。
    宿主にはL G B Tの子ども、薬物中毒、自殺願望の女の子など様々な家庭環境の様々な悩みを持った16歳が登場する。
    A の心は変わらないのに、自分のからだに裏切られるのは、たまらなく辛いという。心とからだの関係についても考える。
    たった1日の人との関係にしがみつかないように生きてきたA だったが、リアノンに出会い恋をして変わっていく。身を切るような辛さを感じることになる。
    リアノンもA を理解しようするが、毎日変わる目の前の姿に気持ちが揺れる。当然だ。
    リアノンは迷いながらも、見えないA の心だけを愛そうとした。
    人を好きになるとき、どこに惹かれるのだろう。人格、思想、心。どれも目に見えない。容姿、ファッションセンス、見た目は影響ないと言い切れるか?
    Aとリアノンの愛はそんなことも考えさせる。
    二人の愛が切なくて、切なくて。けれど二人の関係はどう考えても未来がない。
    この話は何処へ向かって進んでいくのか、どう締めくくるのか読む目が止まらない、最後…ああ、それを選択したのか…つらいです。

  • 究極のラブストーリー
    帯の通り、究極のラブストーリーだった。
    こんなラブストーリーを読んだのは久々な気がする。

    元々、深く考えず、ジャケ買いに近い感じで、Diveristyの観点とかが入ってるのかな?と購入。
    読み進めるにつ入れて、軽い恋愛話じゃなく、深い愛の話だと感じ、どんどん心が魅了されていった。

    Aとリアノンの距離感、進展の仕方、言葉にすると陳腐になるけど、とても切なく、愛おしい感覚。

    最後の展開は、腑に落ちるような落ちないような、、、そう締めくくるのか~と妙に自分を納得させるような。

    全体を通して不思議な感覚が残る一方で、リアルに響く感覚もある。いい1冊だった♡

  • 毎朝目覚めると違う人間の身体。1日だけ、その人の人生を代わりに生きる。精神だけではなく、明日も同じように続くと予測できる「一貫した身体や周囲の人との関係」もあって初めて自分は存在する。結末は衝撃的で涙が出るけれど、ちょっとした哲学本よりも、自分とはなにか、幸福とはなにかを考えさせてくれる素敵な物語。

  • 朝起きる度に違う人間になっているA。
    どうして生まれたのか、どういう存在なのかも不明なまま16年間毎朝違う人間としての一日を送っています。
    宿主の一日が破綻が無いように、慎重に毎日を過ごすAの前に運命の人「リアノン」が現れる。ひたすら毎日をつつがなく終わらせる事に腐心してきたAに、何よりも大事な存在が現れた時、彼にどんな変化か訪れるのか・・・。

    目が覚める度に違う人間として一日を過ごすというのは、実際に自分がなったとしたらとてもではないけれどハードで耐えられないだろうと思います。無数に人がいるのに自分を認識してくれる人間は居ない。その日一日を心安らかに生きたとしても、次の日はとても不愉快な人物として生きなければいけないかもしれない。
    どんなにそこに留まりたくとも強制的に別の場所で目が覚める訳で、何も積み重ねる事は出来ないのでひたすら自分の中に蓄積していくしかない。そう思うと何をしても不毛と感じてしまうでしょう。
    そこで、初めて自分を体は持たないけれど、一人の人間として認めてくれる存在が現れたら、何としても一緒に居たいと思うでしょう。
    Aが出す結論は納得ながらも、少々強引ではないかと思いつつも作品としてはかなりお気に入りとなりました。

  • 面白かった!基本ロマンティックなラブストーリーなのに、こんなに盛り込めるんだってくらいシビアな問題にも巧みに目配りされていて、なおかつ物語そのものが面白くてぐいぐい読ませる。やっぱり海外のYAはレベル高いな。最後切なさMAXになったところでぶった切るように終わっているのは、続編があるってことなのかな。なきゃないでめちゃくちゃかっこいい終わり方だけど(というか、なんで訳者あとがきないの!!)。主人公は性別を超越した存在であるため、主人公の語りには一切主語がない。つまり原作のみならず翻訳も超絶技法なのだ。新年早々いいものを読みました。

  • 固有の体を持たない「A」。
    毎日違う16歳の体で目覚め、1日その体を借り、翌日にはまた別の体で目覚める。
    波風立てないよう、体の持ち主が送りそうな1日を過ごすように努めてきたAは、ある日、自分が目覚めた体の持ち主の恋人を好きになってしまう、という新鮮な物語。
    設定はとても斬新に感じたのだけど、読んでいるとタイムスリップやタイムリープものの肌触りに似ていて、それも好みだった。
    真っ直ぐなラブストーリーの中に、様々な16歳の問題が織り込まれるところも良い。
    「自分」とは体なのか、記憶なのか、現在の感情なのか、その全てなのなら、それぞれどれくらいの割合なのか。
    立ち止まって自分の内側を覗き込まずにはいられない作品だった。

  • 毎朝違う人物の身体で目覚める・・・切なくて苦しくて、でも一気に読んだ。ラブストーリーであり、生きる事を正面から考えさせられる。

  • とてもとても素敵な話でした。
    「ソフィーの世界」を読んだ中学生時代、「あなたは誰?」という問いについて読書感想文を書いた。その究極系のようなお話でした。

    器と中身、どちらが人間を形成するのかという疑問。
    そして器と中身、どちらも伴わなければ愛を育てることはとても困難であるというようなテーマを、これ以上ないくらいわかりやすく表現されていると思います。
    個人的には、6030日目のザラとアメリアのカップルの会話で、初めて涙が出ました。

    42人(+A)の登場人物(中にはほとんど描かれなかった人物もいますが)、それは小さな街の中で交差したり1度も目にしなかったりしながら、皆それぞれが懸命に毎日を生きている。
    生き続けること、誰かと関わること、未来を想像すること、これらの大切さを改めて感じられる物語でした。

  • 1日ごとに16歳の誰かの体に入らざるを得ない主人公Aと、ある時であったリアノンの物語。Aに感情移入してたから、この後がどうなったか気になる。装丁も素敵。翻訳大賞候補作品。

  • 一日ずつ、自分と同じ年齢の人生を生きる物語。主人公Aは、冷静に宿主に影響を与えないようにする毎日から、愛する人との出会いをきっかけに、自分の気持ちを優先する毎日になる。
    自分を生きるとは何か、愛する人を大切にすること、容姿や性別や中身と外見、恋愛の悩みや人生の迷いが丁寧に描かれます。突飛な設定のようで、思春期の揺れるアイデンティティが宿主という形で表現されているようにも感じ、中高生が読むとどの宿主にもどこか共感できるのではと思う。二人の関係の行方、宿主を渡り歩く生活に終わりがあるのかなどが気になって、途中からは一気読みでした。
    結末は、若者らしいまっすぐさが清々しい感じがしつつも、悲しく切なくて辛かったです。

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