怪異の表象空間: メディア・オカルト・サブカルチャー

著者 :
  • 国書刊行会
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336065773

作品紹介・あらすじ

日本の近現代は怪異とどう向き合ってきたのか。明治期の怪談の流行から1970年代のオカルトブーム、そして現代のポップカルチャーまで、21世紀になってもなおその領域を拡大し続ける「闇」の領域――怪異が紡いできた近現代日本の文化表象を多角的視座から探究した決定版。

[収録内容]
第1部 怪異の近代
  第1章 怪談の近代
  第2章 心霊としての「幽霊」――近代日本における「霊」言説の変容をめぐって
  第3章 怪談を束ねる――明治後期の新聞連載記事を中心に
  第4章 心霊データベースとしての『遠野物語』
  第5章 田中守平と渡辺藤交――大正期の霊術運動と「変態」
  第6章 霊界からの声――音声メディアと怪異
第2部 オカルトの時代と怪異
  第7章 心霊を教育する――つのだじろう「うしろの百太郎」の闘争
  第8章 オカルト・エンターテインメントの登場――つのだじろう「恐怖新聞」
  第9章 オカルトの時代と『ゴーストハント』シリーズ
  第10章 カリフォルニアから吹く風――オカルトから「精神世界」へ
  第11章 「学校の怪談」の近代と現代
  第12章 幽霊はタクシーに乗る――青山墓地の怪談を中心に
第3部 ポップカルチャーのなかの怪異
  第13章 薄明を歩む――熊倉隆敏『もっけ』
  第14章 ご近所の異界――柴村仁『我が家のお稲荷さま。』
  第15章 学校の異界/妖怪の学校――峰守ひろかず『ほうかご百物語』
  第16章 キャラクターとしての都市伝説――聴猫芝居『あなたの街の都市伝鬼!』
  第17章 境界者たちの行方――「もののけ姫」を読む

感想・レビュー・書評

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  • その時代に沿ったさまざまな「怪異」文化をたどる一冊。世間をにぎわせたオカルトブームやサブカルチャーとの繋がりなど、ホラー好きには興味深い内容です。
    特に個人的には、ゴーストハントの項が楽しくって。なるほど、なんとなく知ってはいたけれどそういう時代だったのね、というのがとてもよく分かりました。

  • 透視少年を雇うことで電報料を節約しようとした新聞社の話、大好き

  • 現代ではオカルトと呼ばれる領域がどのように成立してきたのかを前近代の怪異現象まで遡って整理し、近代化で一旦は怪異・幽霊というものはないとなりながらも、今度は敷衍した科学の力で怪異は解明できるとした「心霊術」の勃興が現代におけるオカルトのイメージの元になっていることがわかりましら。

    現代では胡散臭いものとして扱われるオカルトが当時は最先端の科学を標榜し、精神医学の始まりにも関係しているのは興味深かったです。

    ラジオという音声メディアと怪談の親和性についての章では、学生の頃ゼミで電話というメディアの不気味さについて論じたことを思い出し、あのときの話の終着点はここにあったか!と膝を叩いてしまいました。

    後半面白かったのは「幽霊はタクシーに乗る」という章で、幽霊ってわざわざタクシーに乗らなくても行きたい場所に現れればいいのでは?というそそられる問題提起から、幽霊がタクシーに乗る理由を東京の都市空間の変容から考察しています。

    青山墓地という街中の異界、前近代の移動手段である籠や人力車とタクシーを比較してその差異を明らかにする論説の流れは鮮やか!

    狐狸は籠や人力車には乗るけれどタクシーには乗らないなど怪異好きには堪らないお話が色々出てきます。

    読み応えがあるのでまずは興味がある章からでも楽しめると思います。

  • ムツカシイ本かと思いきや、つのだ先生とか「ゴーストハント」とか「もののけ姫」とか、大変親しみのある内容でした。ライトノベルについても興味深い。

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著者プロフィール

一柳廣孝(いちやなぎ ひろたか)
1959年生まれ。横浜国立大学教育学部教授。日本近現代文学・文化史。『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』(講談社)、『催眠術の日本近代』(青弓社)、『無意識という物語』(名古屋大学出版会)、『怪異の表象空間』(国書刊行会)。

「2022年 『「日本心霊学会」研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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