H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って

  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336061775

作品紹介・あらすじ

『服従』『素粒子』で知られる《世界一センセーショナルな作家》、ミシェル・ウエルベックの衝撃のデビュー作、ついに邦訳!
「クトゥルフ神話」の創造者として、今日の文化に多大な影響を与え続ける怪奇作家H・P・ラヴクラフトの生涯と作品を、熱烈な偏愛を込めて語り尽くす!
モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングによる序文「ラヴクラフトの枕」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 1890年ー1937年
    エドガー・アラン・ポーと並ぶ、アメリカ怪奇・幻想文学を代表する巨匠。
    「クトゥルフ神話」の創造者として現在に至るまで、小説・漫画・映像作品・ゲームなどの文化に、多大な影響を与え続けている。生前は文通を好み、仲間からは「HPL」と呼ばれていた。

    本書の帯に書かれている文章を転記しました。
    本書はH.P.ラブクラフトさんの生涯と彼の作品に関して愛情深く綴った本です。
    ミシェル・ウエルベックさんのデビュー作であることが帯にも記載されています。
    ミシェルさんの作品はまだ未読なので、いずれ読むことになるのだと思います。
    HPLさん(私も親しみを込めて彼の友人が使っていた呼び名を使わせていただきます)の作品は中学か高校生の時に創元推理文庫で発売されている全集を読んでいます。怪奇・幻想といった分野にハマっていた時期で、このころにエドガー・アラン・ポーの全集も創元推理文庫からの『ポオ小説全集』で体験していました。
    HPLさんの作品はどれも太古の地球でかつては繁栄していた人類とはまったく異なる種族が登場します。見たこともない生物なので、HPLさんが描写する活字から想像を膨らませて読んでいたことを思い出しました。久しぶりに読み返したいなぁと思ったのですが、実家にも残っていないかな?なので、国書刊行会が提供している『新編 真ク・リトル・リトル神話大系』全7巻を読むとするか、はたまた、青心社が提供している『クトゥルー (暗黒神話大系シリーズ)』全13巻を読むか、新潮社の『クトゥルー神話傑作選』3巻(まだ続くのですかね?)にするか、書店でラヴクラフト作品試読会が必要です。
    肝心の本書の感想ですが、再びHPLの作品を読み返したくなりますし、未読の方は読みたくなります。ところどころに作品の一部が引用され、その構成の妙だったり、的確な表現スタイルだという解説が心地よいのです。HPL本人の当時の生活環境が作品にどんな影響を与えたのかという考察も読むことができます。
    もう一つ嬉しかったのが、スティーブン・キングさんの序文が読めること。
    ラヴクラフトの世界が好きな人には、超おすすめです。

  • クトゥルフ神話の始祖、ラヴクラフトの評伝。序文をスティーブン・キングが書いている。自分の作品の評価とか全く気にしていなかったこと、世界に対して諦観していたことなどが綴られている。どちらにしても彼の恐怖の世界はとても惹かれる。

  •  ラヴクラフトの伝記。おそらく現代社会ではダメ人間認定されるタイプで、当然教科書で名前を覚えなければならないような偉大な人物ではないということになるのだが、ラヴクラフト文学と行っても過言ではない独特の世界を構築した。本書ではそんなラヴクラフトの人となりを書簡や小説とともに紹介されている。ウェルベックのラヴクラフトに対する愛情がひしひしと感じられる一冊。

  • ウエルベックのデビュー作。
    クトゥルーの門をくぐりあぐねてる自分には最適な評伝…だったろうか。ズブズブになるであろうしビビっておる。

  • ウエルベックの作品にみなぎる思想がすべて本書に凝縮されている。
    ラヴクラフトが性と金銭を排除した孤高の世界を作り上げたとするならば、ウエルベックは性と金銭の側から孤高へ向かった。啐啄の機とはこういうことを言うのかもしれない。
    つまり親鳥であるラヴクラフトが薄っぺらい卵の殻のような世界を外側から破壊し、ウエルヴェックという雛鳥は、内側から世界を打ち破ろうとした。

    とはいえ、本エッセイで初めてラヴクラフトの一端に触れた者として、ラヴクラフト作品を読みたいという気持ちにまったくならなかったところがすごい。褒め言葉になっているだろうか。
    やはり本作の魅力は、ラヴクラフトを語るウエルベックであり、本論よりも、各節を飾る「見出し」が何とも良い。
    本作がそれほど面白くないのは、ラヴクラフトと同様、ウエルベックは謙虚なことに、ラヴクラフトの系譜に自分がいる輝かしさを差し引いて論じているがためだと思う。

  • ラヴクラフトの人生とその内面にうまく切り込んだ良書でした。
    人種的恐怖と金銭的困難に陥った保守派の白人が作り上げた、宇宙規模の暗い神話群を再読したくなる。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000236859

  • お金や性などの俗物的なものに興味を持たずに全てを諦めていた人間の作品が神話化していく。ネガティブなもの、暗いものは多くの人を救うのだと再認識することができた

  • HPラヴクラフト読もうって思った

  • 正直こんなもんまで翻訳、出版されるのは余程作家に需要があるからなんでしょうなと思った

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著者プロフィール

1958年フランス生まれ。ヨーロッパを代表する作家。98年『素粒子』がベストセラー。2010年『地図と領土』でゴンクール賞。15年には『服従』が世界中で大きな話題を呼んだ。他に『ある島の可能性』など。

「2023年 『滅ぼす 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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