最後のヴァイキング――ローアル・アムンセンの生涯

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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336061515

作品紹介・あらすじ

人類初、南極点へ到達した男。20世紀初頭、不可能と思える行動力と強靱な精神力で、最後の秘境に挑み続けた探検家がいた。そして借金地獄、悲恋、失踪・・・。これほど比類なき、力強い人間が存在したことを読者は知る!
19世紀末から20世紀初頭にかけての約30年間に世界初の北西航路横断航海、犬ゾリとスキーを使っての南極点到達、そして北極横断飛行などの快挙を遂げた不世出の探検家アムンセン。その偉業と失敗、交友関係、世間の誤解と汚名、借金、そして成就しない恋愛など影の部分にも光をあてて人物像を浮き彫りにする。南極点到達のプロセスにおいては、当時、彼以外には誰も不可能だったと思えるほどの冷静で緻密な判断と準備を整え、それを怠りなく実行に移すひとりの人間の力強さが描かれる。著者スティーブン・バウンは、アムンセンの名誉回復とともに、大がかりな地理的探検がもはや昔話になった現代の読者に彼の業績を紹介したいという思いがあり、それに成功している。バウンが描くアムンセンは複雑で引き込まれるほど魅力的だ。死の危険の中で仲間を導き、その後、熱狂的な聴衆に向かって自嘲気味に語りかける。バウンは『ニューヨークタイムズ』に数えきれないほど掲載されたアムンセン関連記事を見直し、また多くの研究資料、本人や仲間たちの日記や掲載雑誌などを材料に、複雑で、時に気難しく、それでいて輝かしい、いまだ知られざる素顔を見事に描き切った。

感想・レビュー・書評

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  • アムンセンの生涯を書き切った大作。読み応えばっちり。
    リーダーとして探検を成功させるための準備と対策、そして現場の改良・改善、間違えたら即死という中での判断と決断・実行。
    重要なのは、必ず予想外のトラブルが起こると思って、計画を立てること。
    南極点到達以外の業績や当時のマスコミ対応なども書かれていて、面白かったです。
    長いけど。

  • 人類で地球の両極に立ったのはアムンセンだけだ。彼の探検の成功の要因に、犬ぞりの使用、壊血病を予防するため生肉を食したり、アザラシの毛皮を纏ったりと、極地の住民の習慣や技法を活用したことが挙げられよう。十分すぎるほどの準備に余念がなかったのである。それと、シャクルトンが 述べたように、アムンセンは私ではなく、私たちという言葉を繰り返した講演で分かるように、隊員とともに働いたことも成功に導いた秘訣と言えよう。人生の最期は彼らしい幕の引き方だった。

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著者プロフィール

カナダのオタワ生まれ。大学で歴史学を専攻後、メディア界に身を置く。科学や航海の歴史に変革をもたらした事件や人物、冒険と交易の接点などに強い関心を示す数々の作品を発表し続けている。多様な事実の累積から思わず引き込まれる興味深い物語を紡ぎ出す才能は「カナダのサイモン・ウィンチェスター」と呼ばれている。弊社刊で『壊血病: 医学の謎に挑んだ男たち』(2014年)、『最後のヴァイキング』(2017年)がある。カナディアンロッキーの中心地、バンフの近くに在住。

「2020年 『青狐の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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