エラリー・クイーン 推理の芸術

制作 : 飯城勇三 
  • 国書刊行会
4.00
  • (3)
  • (3)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 69
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (570ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336061027

作品紹介・あらすじ

1929年、『ローマ帽子の謎』でデビュー、「読者への挑戦」を掲げた本格ミステリ〈国名シリーズ〉で人気を博したエラリー・クイーンは、フレデリック・ダネイとマンフレッド・リーという従兄弟同士の合作作家だった。二人はバーナビー・ロスの別名義で『Xの悲劇』以下の四部作を発表、さらにミステリ専門誌《EQMM》を創刊、ラジオ・TVにも進出し、40年以上にわたって数々の名作を送り出し、「アメリカの探偵小説そのもの」と評された。
本書はクイーン研究の第一人者が資料や関係者証言を収集し、偉大なミステリ作家のデビューから晩年までの軌跡をたどったエラリー・クイーン伝の決定版である。前著『エラリイ・クイーンの世界』を大幅改訂増補、激しい応酬が展開された合作の内幕をはじめ、代作者問題、60年代に量産されたペイパーバック・オリジナル等、初めて明らかとなる新情報を盛り込んだファン必読の評伝。詳細な書誌・邦訳リストなど付録も充実。図版多数。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 三谷幸喜氏が絶賛してたので図書館で借りた。エラリー・クイーン作品読んだこともないし、プロットとライティングを分業して、エラリー氏とクイーン氏でも無いことも知らなかったけれど『手紙や電話で2人で喧嘩と言ってもいいようなやり取りで作品を作っていた』という部分が、人の争いごとが好きな私(悪趣味)は興味を惹かれなかなかのページ数だけど楽しく読めた。かなり辛辣な攻撃の合間に作品についての自分の意見を述べ、結びは互いの家族を思いやるというパターン。何となくリー氏の手紙の内容の方が理解できた。何か作品読んでみなきゃ。

  • 著者がエラリー・クイーンの評伝を書いたのは、これが初めてではない。
    『エラリー・クイーンの世界』
    この、40年ほど前に書かれた本を高校の図書室で見つけて読んだ経験があるので、ミステリ作家としての二人の業績については以前から知ってはいた。

    この度大きくページを割いたのは、ラジオドラマにおけるエラリー・クイーンの存在。
    映画の世界に関わって成功を得られなかったことは、作中のエラリーの肩書や、文庫本の解説などで知ってはいたが、長きにわたってラジオドラマの脚本を毎週作り続けていたとは知らなかった。

    それができたのは、マンフレッド・リーとフレデリック・ダネイという二人の従兄弟の合作であったから。
    そして後に、ミステリ作家として失速していくのもそのせいだったのだろう。

    クリスティ派かクイーン派かと言われたら、即答でクイーン派を名乗る。
    どちらも初めて読んだのが小学生の時だったからというのが大きいかもしれない。
    ミステリのルールなんてまだ知らなかった私には、『ABC殺人事件』も『アクロイド殺し』も「ふーん、そうなんだ」くらいの感想しかもたらさなかったけれど、クイーンの『靴に棲む老女』の表紙絵のインパクトは大だったし、何よりも『エジプト十字架の謎』が衝撃だった。

    死体の形状の衝撃よりも、「なぜそのような姿態にする必要があるのか」から推理を展開することに、つまり作中人物の行動には彼らなりの必然性があるということに、初めて気づかされたからだ。
    ストーリーの必要ではなく、作中のリアル。
    もちろん当時はそのようなことを言語化して感じていたわけではないが、読書をする時の、読み方が少し変わったとは思う。

    だから私にとってエラリーは、ちょっと鼻持ちならない天才肌の、カリスマだったのだ。
    そんなエラリーをダネイは「本当に、心底不愉快な人物です」と言い、リーが「地上最大の気取り屋」と笑いものにしていたとは知らなかったので、国名シリーズのあとの作品で、徐々にエラリーが地に足の着いた悩める若者になってしまって、実はちょっとがっかりしていた。
    私が好きなのは、カリスマの方だったから。

    ハヤカワミステリ文庫に手を出すと(最初は創元推理文庫から読んでいた)、もはや作品そのものにも精彩が失われているもの、エラリーが出てこないものなどがあって、読むたびにがっかりしていたのだ。

    従兄弟同士が組んで何十年も合作を続けていたのなら、さぞや二人は息の合ったコンビ妥当と思っていたが、実は二人の持ち味も趣味嗜好も全く違っていて、ダネイはトリックやプロットや基本的人物など骨組みをつくり、リーはそれに肉をつけ、文学作品へと仕上げる。
    この分業の仕方が、ラジオ番組に関わるうちに、変わってくる。

    最初のうちはダネイが作る梗概をもとにリーが脚本を書いたが、そのうちダネイ以外の人物たちがクイーンの作品をもとに梗概をつくり、リーが脚本を書くようになる。
    では、ダネイは何をしていたか。
    ミステリのアンソロジーを精力的に作っていた。

    それでも小説の仕事もそこそこあったので、今度はダネイの梗概を別の作家が作品化するようになる。

    ああ、本末転倒ではないか。

    最終的には、ラジオの仕事ですっかりすり減ったリーの精神は、小説を書くことができなくなってしまった。
    だが、彼には育てなければならない8人の子どもがいたのだ。
    生活するためにはお金を稼がねばならない。
    というので、全く二人が手掛けていない作品を「エラリー・クイーン作品」として売るという、名義貸しまでやったのだ。

    ここでようやく私は、アガサ・クリスティ―の偉大さを思い知る。
    彼女は一人でずっと一流の作品を生み出し続けていたのだから。
    ダネイとリーも、映画だラジオだテレビだと欲を書かないで、コツコツと年に数作のミステリの新作作りに専念していたら、もっとたくさんの名作をものにすることができたのではないかと残念でならない。

    付録込みで450ページの本文と76ページの書誌。
    この書誌が素晴らしいことはもちろん認めるけれど、できればダネイの編んだアンソロジーの収録作品も載せてほしかった。
    書誌づくりが大変な作業だということは重々わかっているけれど、誰か完全版の書誌を作ってくれないかな。

    だって、なんだかんだ言ってエラリー・クイーンは私の中での特別枠だから。

  • 2018/01/18読了

  • 新聞の書評で知って借用。しかし厚すぎて,通勤に持ち歩くと重いし,ほとんど読まずに返却。

    しかし,エラリー・クイーンってほとんど読んだことなかった。

全4件中 1 - 4件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×