虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)

制作 : 横山茂雄  若島正 
  • 国書刊行会
3.72
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336060570

作品紹介・あらすじ

唖然とする展開、開いた口がふさがらなくなるラスト……早すぎたジャンルミックス作家L・P・デイヴィスによるストーリー紹介厳禁のサプライズ連打小説! 本邦初訳。

時は1966年、イングランドの閑静な小村で小説家アラン・フレイザーが50年後(2016年!)を舞台にしたSF小説の執筆にいそしんでいるところから物語は始まる。気さくな隣人、人懐っこい村の人々はみな彼の友だちだ。やがて一人の謎の女と出会い、アランの人生は次第に混沌と謎の渦巻く虚構の世界に入り込んでいく――国際サスペンスノベルか、SFか? 知る人ぞ知る英国ミステリ作家L・P・デイヴィスが放つ、どんでん返しに次ぐどんでん返しのエンターテインメントにして、すれっからしの読者をも驚かせる正真正銘の問題作!(1965年作)

〈読者を幻惑させ、唖然とさせる力は、ミステリー、ホラー、SFというジャンルの境界線を大胆にまたぐところから生まれている。かつては熱狂的な固定読者層がつかずに、とらえどころのない作家としてL・P・デイヴィスを忘却の淵に追いやる原因となった持ち味こそ、彼の小説を読む最大のおもしろさであることを、現在の読者なら充分に理解できるのではないか。その意味で、L・P・デイヴィスは早すぎた作家であり、未来になって再評価されることが作品中に予言として書き込まれていたようにも思える〉(若島正:本書解説より)

感想・レビュー・書評

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  • 今年の春先にこの〈ドーキー・アーカイヴ〉の刊行記念イベントにふらふらと行ってしまい、その得体の知れぬヤバさに魅力を感じながら、「でもこのシリーズ、売れるのかなあ…」と一抹の不安を感じて(読み手の私がそこまで背負って感じることもないといえばないんだけど)、ちょっと遠巻きにしていたんだけど、ついに手に取ってしもうた。

    なんだか「ストーリー紹介厳禁」というタグがこの作品には設定されているらしいので、設定したユーザーさんへの配慮を若干行って感想を書くけれど、創刊当時に感じた「謎の電波が行間から放射されるような、素っ頓狂な展開と趣向の本すぎてヤバいんじゃないか、それはそれで面白いけども」という先入観はまったくもって当たらない。むしろものすごく理知的なSFサスペンス作品だと感じる。フィリップ・K・ディック『トータル・リコール』を外から眺めた感じの物語といおうか。まあ、大友克洋『AKIRA』もちょっと入っているかな。ジェシー・ケラーマン『駄作』ほどはぶっ飛んでないけど、展開の切り替えはよく似ているだろう。

    最後がちょっと急ぎ気味に風呂敷を畳みにかかっている印象がぬぐえないけれど、わりとスパッときれいにまとまって「ああ、読んだな」と思える作品でした。なるほど、「フェア・プレイ」だ。

  • イギリスの田舎村ビューデイに住む作家アラン・フレイザー。

    1966年ののどかな朝から始まる。

    家政婦のミセス・ロウ、隣家のリー・クレイグ、アランの持病を診に来るドクター・クラウザー...


    物語に引き込まれる。
    また読みたい。

  • 2020/2/8購入

  • あーおもすろかった。本業のタバコ屋のレジの横で、作家というしがらみに囚われずに、好きだから書いたんですという、伸び伸びした創作。出版社側はどのジャンルにも当てはまらないから紹介が遅れたなどと記載してあるがの。レコード屋のあの棚のジャンル分け、ほんとに良くないよね。今は一曲単位で選べる時代だからいいね。内容はSFスパイ物。60年代位にジャンポールベルモンドが無理してやってたスパイ映画みたいな雰囲気で楽しめました。

  • 結局どういう話なのだろうと思いながら読む不思議な感覚。

  • SFサスペンスって感じ。面白かった。発表後すぐに映画化されているようだけど、さもありなん。

  • 軽やかで、上手くて、さくさく読めて、ラストはWowなのだけど律儀に地に足が着いたままでもあり。手堅いディストピア小説にして堅実にヘンな良書。

  • 2016年神保町ブックフェスティバルで購入。
    ドーキー・アーカイヴはスルー予定だったのだが、うっかり買ってしまったが、買って良かった……というか、もっと早くに買っていれば良かった。
    冒頭〜序盤にかけてはホラー的な雰囲気もありながら、途中からSF方向に振れる。描かれる世界は流石に古臭さを感じる部分があるものの、ツイストの効いたプロットが読者を飽きさせない。とてもサービス精神が旺盛だ。
    他の邦訳作品に『忌まわしき絆』(論創海外ミステリ)があるようなので、こちらも買ってみよう。

  • 噂に違わず変な本だった。イギリスの小さな村で暮らす作家アラン。親切で人懐っこい隣人と数人の村人とのんびり暮らしているのかと思いきや・・。陰謀につぐ陰謀で話は二転三転していく。しかも思ってもみない方向へ。ラストも単純なカタルシスを感じられるようにはいかない。話がどこにいくのかさっぱり分からない読書は楽しいな。

  • CL 2016.8.1-2016.8.6

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