鉄幹と文壇照魔鏡事件

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  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336060259

作品紹介・あらすじ

明治34年(1901)春、文壇の寵児・与謝野鉄幹を、女性・金銭関係から激しく非難する『文壇照魔鏡』が刊行された。明らかにプロの筆だが、著者・発行所などすべて偽名とすぐ判明。だが、多くのメディアが同調的立場から一斉に鉄幹批判を展開した。明治文壇史上の著名な怪事件となる。一年前、鉄幹が始めた「明星」は、アールヌーボー調の装丁に晶子・山川登美子らの恋歌を前面にヒットし、先行の文芸紙・誌を凌ぐ急伸を見せた。その絡みから犯人捜しとして語られ、複数人の名が取りざたされてきた。
本書は跡付け、動機も解明ーー 一個人の情念が一つの時代相さえ容易に作り出す、新たな社会的道具が力を見せつけた。意外にも事後に心の傷を引きずるような行為者と、早い死の床に迫りくる魔的なものを聞きながら作歌し続けた、知られざる真の被害者の姿が・・・・・・。メディア時代の幕開けに生じた一件が現在に示唆を与える。明星史の再検討でもある。

著者プロフィール

木村勲(きむら・いさお)
近代文芸研究者。1943年、静岡県沼津市生出身。一橋大学社会学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。朝日新聞学芸部記者を経て神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。著書に『鉄幹と文壇照魔鏡事件――山川登美子及び「明星」異史』(国書刊行会)、『「坂の上の雲」の幻影――“天才”秋山は存在しなかった』(論創社)、『日本海海戦とメディア――秋山真之神話批判』(講談社選書メチエ)、『風景ゆめうつつ――人々の都市物語』(文芸社)。共著に『100人の20世紀』(朝日文庫)、編著に『中世の光景』(朝日選書)、『古代史を語る』(同=新聞連載時の原題は「古代漂流」)など。

「2023年 『鷗外を考える 幸徳事件と文豪の実像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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