それゆけ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336046772

作品紹介・あらすじ

笑いの古典、巨匠と認められたコミックの天才との賛辞を賜る大ウッドハウスのおマヌケ千万なおバカ者列伝。

感想・レビュー・書評

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  • 国書刊行会から出ているジーヴス•シリーズ。沢山あるのは承知していたけど、とりあえず図書館で開架棚にあったこの本から読んだ。お気楽で、のんびりと読むには最高。
    ウケたのは第8話。「フレディーの仲直り大作戦」(以下引用)

    マーヴィス•ベイをご存知だろうか?そいつはドーセットシャーにある。おそろしくエキサイティングな場所というようなところではないが、美点はいくつもある。そこでは海水浴をしたり砂の上に座ったりして日がな一日を過ごすのだ。夜になればヤブ蚊たちといっしょに海辺を散歩できる。九時になったら虫さされに軟膏をすり込んで就寝だ。質朴で、健康的な暮らしである。それでこいつは哀れなフレディーの奴に絶対的にぴったりだったようだった。月が昇って木々の間をそよ風のため息が吹き渡り始めると、浜辺から奴を連れ戻すにはロープで引っぱってこないといけないくらいだった。奴はヤブ蚊連中の間で大人気を博するようになった。

  • 短編10編、いずれもにやにや笑いが止まらなくって困りました。
    バーティもよくぞこうも次から次へとトラブルに巻き込まれるものよのう…と思いつつも、彼のおかげでたっぷり笑わせてもらっているので実際は「いいぞもっとやれ」が本音。
    そして窮地に立たされた彼を救うのはいつだって、彼の超有能なる執事・ジーヴスなのだ。

    いつもは物語の語り手はバーティだけれど、本書には1編だけジーヴスが語り手の作品があって、これがまたよいのです。
    彼はおバカな雇用主のことをどう思っているのだろう…と常々思っていたのですが、その疑問に答えてくれました。
    ううむ、この力関係、好きだなぁ。

    訳者である森村たまき氏のあとがきがこれまた奮っています。
    本書を評して曰く「贅を尽くしたおバカの宝石箱」。
    「玲瓏たる玉のおバカが完璧にカットされ、研磨されて、燦然と輝きを放っているのだ。そこにはバカでない人はいない。ひとりひとりがそれぞれに完全にバカだ」…ここまで笑わせてくる訳者あとがきにもなかなか出会えないなぁ、とにたりと笑いながら読了。

  • 時系列(原著刊行順)に読みたいので、シリーズ2冊目はこちらに。正確には冒頭話「ジーヴス登場」~5話までが「比類なき・・」の前だけど。金のハートの持ち主バーティは、ニューヨークだってロンドンだって、どこだろうと厄介な人たちと事件に巻き込まれたり飛び込んだり。だけど何といってもこの巻は、シリーズ唯一のジーヴス視点の「バーティー考えを改める」がいっとう楽しい。コミック版のジーヴスのあのドS全開のお顔を思い出し、くすくすプププにやにやが止まらない(笑)雇用主とは馬のごときもので調教が必要だそうで……おおぅ、ジーヴス恐るべし。

  • 相も変わらずお馬鹿さんたちの宝石箱。マトモな登場人物、ひとりもいません。

  • ちょくちょく読んでいるウッドハウス・コレクションの3冊目。異色のジーヴス一人称ナレーション一編を含む短篇集。森村たまきの訳も少しこなれてきたか、読み易いが、ジーヴスはやっぱり長編の方が面白い印象。

  • ウッドハウスのジーヴスものの第一巻。ジーヴスが初登場する作品はもちろんのこと、主人公バーティの平穏な生活を常に引っ掻き回す旧友ビンゴも、この巻ですでに登場している。

    訳者あとがきにも出てくるのだが、ジーヴスものは落語でいうところの『粗忽長屋』である。登場人物たちは、ジーヴスを除いておおよそ全員がそそっかしく、世の中を浮草のように揺蕩う愛すべきおバカであり、粗忽者である。
    ただ、主人公バーティは自分自身も奔放な生活を楽しみつつ、決して頭が悪いわけではない。随所にシェークスピアや欧米圏における古典のセリフを出したりしていて、いわゆる「教養」は持っている。知性を兼ね備えたおバカなのである。
    そのうえで、自分と周囲の友人たちのバカな行動に振り回され、窮地に陥り(ジーヴスものでは頻繁に「僕は首までスープに浸かっている」という表現でピンチを表している)、そのたびにジーヴスに救われる。

    水戸黄門にも似た、「最終的にはハッピーエンド」という造りの物語ばかりなのだが、毎度毎度、よくもまぁここまで違うタイプのトラブルやピンチに巻き込まれるものだ、と感心するしかない。そのあたりは著者の力量が並外れているということだろう。

    作品ひとつあたり30ページぐらいしかないので、ノンビリ読んでも1時間あれば1本、読み終えられる。1時間のショートコントを堪能できると思えば、これほど贅沢な話もない。

  • お気楽な貴族バーティーと執事ジーヴスのシリーズ。もうバーティーがかわいすぎる。女子校で講演させられてアワアワしてるバーティーを見て(読んで)、私もジーヴスと一緒にニヤニヤしちゃった。それにしてもバーティーはいい人だなあ。友達が困ってるとほっとけないんだもん。それで窮地に陥っちゃうっていうね。んでもってジーヴスに泣きついちゃうと。ジーヴスがバーティー好きなの、超わかる。バーティーかわいいー!

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90188664

    ~ウッドハウス・コレクションへようこそ~
     これはもはや英国の古典落語と言うべきか、日本ではあまり知られていなかったユーモア小説の巨匠、P.G.ウッドハウスのウフフな小説が勢揃い。お気楽な若旦那の遭遇するおかしな事件を解決するために、天才執事ジーヴスが立ち上がる、いつもクールに、時にはちょっぴり強引に。次々と現れる奇人変人たちとの珍妙無類のやりとりに笑い転げたあとで、ちょっと英語の原作をのぞいてみてはいかがでしょう。“in the soup”状態の若旦那の気持ちがわかるかも。

    (推薦者:行政政策学類 久我 和巳先生)

  • 怜悧な頭脳を持つ従僕ジーヴスと、
    愛すべきおバカなご主人バーティのコメディ。
    こちらは短編集の形式。
    一話一話スットコドッコイな事件がその都度持ち上がり、
    ジーヴスの機転によってなんとかなるといった次第。
    バカなセリフ、バカな振る舞い、バカな展開。
    そして、皮肉とあてこすりがぎっしりのイギリスユーモア。
    そして短編集なので、バーティのやらかしファッションの開示が多く、参考?になる。
    やっぱりこの巻のハイライトは、
    ジーヴスが語り手の最終章「バーティ考えを改める」なのでは。
    ああー、そういう風に思ってるのね…と忌憚のないご意見が読めてとても嬉しいのです。

  • 短編集。『バーティー、考えを改める』がジーヴスの目線と語りで、ご主人様をどう思っているのかが知れて面白かった。お金持ちの悩みは凡人よりも深い、とは言うけれど、生活ができる分生きがいを探すのが大変な感じが伝わってきた。次の作品も楽しみ♪♪

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