想像力欠如社会

  • 弘文堂
4.22
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本棚登録 : 81
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335950391

作品紹介・あらすじ

世の中はしんどい。でも、生きる。

いつからか、人とすれ違うときに道を譲らなくなった。
いつからか、人の弱さを無意識にたたくようになった。
いつからか、人に悩みごとをたやすく言えなくなった。
いつからか、日常が息苦しいと思うようになっていた。

日々を暮らす人と向き合った、大学生が描く人生物語。


【目次】
第1章 道を誤ってしまった君へ?元非行少年の願い?
第2章 特別なんかじゃないんだよ?全盲ママの子育て?
第3章 路上生活の“おっちゃん”たちからの贈り物
第4章 ありのままで生きていく?脱毛症への偏見と闘って?
第5章 弱みを強みに変える人生
第6章 ある いじめの記憶のあとさき
第7章 河川敷のいのちたち
第8章 妻として、犯罪被害者として?今日もあなたと生きていく?
第9章 3・12?忘れられた震災?
第10章 ふるさと?6年目の決断?

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだときの衝撃忘れられない。わたしもがんばろー

  • 「自分は他人になれないし、他人も自分になれない。だからこそ想像力を働かせる必要がある」

  • 「神は細部に宿る」。
    英語ではDevils in detail と言う。
    何れにしても、全体を俯瞰していて解像度が低いレベルでばかり社会を見ていると見落としてしまいがちな、砕け散った瓦礫をじっくり正確に眺める時こそ、真実が見えるのかもしれない。

    この本は、大学のゼミ生がドキュメンタリー制作のために、丹念に取材し、そこで理解出来た物事を深く掘り下げようとしている努力の結晶のようだった。
    社会問題、と一言では片付けられない「我々」の社会の中で起きている様々な問題をクローズアップさせ、そこに生きるリアルさを伝えていた。

    非行少年のカムバックの話や、福島へ当然のように帰る話まで、なるほど、確かに映画や物語のようにそんなにすんなりいかないよなぁ、と思わされる。
    お墓の話なんて、そんな活動をしているお墓が埼玉にあることすら知らなかった。 ホームレスの実態も、これを読めば印象が変わると思う。
    いろんな境遇の人がいるんだと、それをきっちり見聞きして、想像していけることが大切なんだと。

    中身は、大学生らしい文章というか、しっかり書けてるけど若い人が書いた文章ということが分かるようで、逆にそれが新鮮でよかった。


    全ての物事は政治性を帯びているという前提からすれば、マスコミの形骸化というか(政治的)無力化は益々加速化している。 
    その中で、ネットに適応したドキュメンタリーやジャーナリズムの発展が期待される。

    関心を持ち、共感し、理解し合う。
    そんな本当に当たり前のことが、個人のレベルでもメディアでも、どんどん損なわれているのは確か。大切なことだけど。
    一方でメディアの作り手は、特に下請けは、日々の仕事に忙殺され、ここまで考える余裕すら無いとは思う。
    なので、想像力を働かせるために様々なものに触れる必要があるのはわかるが、せっかくここまで良い題材に焦点を当てたものがたくさん出来るのだから、是非現在のスポンサー主義の放送の中でどう巻き返していけるか、劣悪な環境にあるメディア状況下でどうしていけばこう言う番組づくりも出来るのか、もしくは例えばこのドキュメンタリーをネット空間に載せるとすればどうすれば共感が広がって行くかなど、これからの時代に想像力を広げるためのヒントがもう少しあれば面白いのにな、とも思った。

  • ばらつきはあるが、学生がここまで書けるのがすごい。取材力はもちろん。社会の視点とマイノリティの視点とのギャップに、より一層目が向いた。

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