- Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784335551727
作品紹介・あらすじ
●知の世界に屹立する大澤社会学――その思考の原点と骨格を開示する
「大澤社会学」はいかにして形成されたのか? 若き日の大澤真幸が一篇一篇、全力投球で書き上げた力作論考。「第三者の審級」「求心化作用/遠心化作用」などが生み出された記念碑的な論考群。
ルーマン、フーコーを継ぐ大澤真幸という思想家が、ゼロから構築してきた思考の軌跡、知のバックグラウンドを示す。
感想・レビュー・書評
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大澤真幸さんの初期に属する論文集である。最近読んできた著書よりも歯ごたえがあり、ほどよい難解さが実に快い。
大澤さんがいわゆる現代思想を含む哲学、現代物理学、現代数学、人類学、認知心理学、文学といった多様な要素を駆使して「社会」そのものを問い直し、そこから「社会による自己記述としての社会学」を独創的につくりなおそうと必死の思考をめぐらす様が、ほんとうにスリリングである。
特に複雑系の理論に沿いながら「社会」という自己組織化のシステムを解析する箇所が圧巻だった。
大澤さんが拠って立つ上述の諸分野は、私の興味関心のターゲットととてもよく似ている。というか、この辺りが時代の思考の潮流なのであって、その点、私も時代の申し子以外のものではない。大澤真幸さんはもちろん、より知的に精緻なのだが。
といっても、やはりここでも、私の考えと大澤さんの考えは必ずしも合致するわけではない。しかしだからこそ、この「他者の思考」は刺激に満ちあふれているのである。
それにしてもほとんどの論文は「現代思想」のような雑誌に投稿されたものであり、普通の「社会学」のテリトリーからは逸脱している。
それはそれでいいのだと思う。私たちが渇望しているのは横断的な知であり、それも、安易さのない、精緻な思考の道程なのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示