NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334962210

感想・レビュー・書評

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  • 硬直化した現代日本の人事諸制度に、疑問を投げかけ、人が働くためには何が本当に必要なのかを問いかける書です。
    事業環境の急激な変化に柔軟に対応できる、ハイパフォーマンス文化を育むための方法を、あらゆるレベルのチームリーダ向けに説明する本である。
    ハイパフォーマーだけで固められたチームをすぐに作りだすこと。そのために不適な従業員については、正直に事情をはなして退場してもらう。といっています。

    ・ネットフリックス文化の柱は、「徹底的に正直であれ」

    ・20世紀に開発された複雑で面倒な人材管理手法では、21世紀の企業が直面する課題に立ち向かえるはずがない。

    ・インセンティブをベースとする、ベストプラクティスはかえってやる気と力をそぐ結果になっている。
     人がどうやって、なぜ仕事に打ち込むか に関する一般通念からは、仕事へのやる気を駆り立てる原動力の理解が抜け落ちている。

    ・優れたチームをつくるのは、インセンティブや管理手法や従業員特典ではない。必要なのは一人前の大人として挑戦に立ち向かうことを切望する有能な人材を採用し、その挑戦が何なのかを、彼らにはっきり継続的に伝えることだ。

    ・できる限り無駄のないプロセスと規律正しい文化をもつ企業の方が、はるかに優れた成果をだせる。それは迅速に動けるからにほかならない。

    ・経営陣が従業員のためにできる最善のことは、一緒に働く同僚にハイパフォーマーだけを採用することだ。

    ・ネットフリックスは、ハイパフォーマーを採用するために、ヘッドハンティング会社から人材を引き抜いて、能力を自前で構築した。

    ・ネットフリックスではさまざまなプロセスを実験的に廃止しつつ、会社の方向性やめざしている目標、従業員の仕事ぶりについてコミュニケーションをとる方法についても試行錯誤を重ねた。

    ・敬意と誠意をもって正直な話をするのは残酷なことではない
    ・問題が起こったら当事者同士でオープンに話しあうこと
    ・社内政治というものが嫌いだ。陰険だし、非効率きわまりない。
    ・信頼を成り立たせるのは誠実なコミュニケーションだ
    ・透明性の高い文化では、起こったことの責任はチーム全体で分かち合う
    ・相手に対する敬意があるからこそ、必ず意見に賛成できなくても、なぜそう考えるのかを理解したい。
    ・データに基づいて意思決定を行うではなく、あくまで参考するにとどめる。
    ・難しい問題は多面的に考える必要がある
    ・将来こうあってほしいと思うチームをつくる人材を、今から採用しましょう。
    ・チームづくりで犯しがちなまちがいが、今の人材が成長して将来必要な業務を担えるようになると思い込むことだ。

    ・従業員を登用できそうなポストに空きが出た時でも、その職務ですでに優れた実績を積んでいる人材を外から迎える方がずっとよいと判断することが多かった。

    ・働く人たちへの最良のアドバイスは、つねに柔軟性を保ち、新しいスキルを学び、新しい機会を検討し、折あるごとに新しい課題に挑戦して新鮮な気持ちで自分を伸ばしながら働けるようにしようです。

    ・ネットフリックスにおける人材管理に関する3つの基本方針
     ①優れた人材の採用と従業員の解雇は主にマネージャーの責任である
     ②すべての職務にまずまずの人材でなく、最適な人材を採用するよう努めること
     ③どんなに優れた人材でも、会社が必要とする職務にスキルがあってないと判断すれば進んで解雇すること

    ・人事管理において、会社はスポーツチームと同じだ。「優れた成績をあげていないプレイヤーを交代させないと、チームやファンをがっかりさせる」から。
    ・新しく採用した人材が職務に適していないことが判明した場合、問題があるのはその人ではなく、採用プロセスだ。その人の責任ではない。自分に非があると思わせてはいけない。
    ・ある企業でうまくいかなかった人が、別の企業にとって宝になるかもしれない。
    ・従業員は自分の将来性について本当のことを、リアルタイムで知る権利がある。ありのままを率直に伝え、新しい機会を探す手助けをするのが一番だ。退場する従業員のために、別の企業へ推薦をおこなっていてアフタフォローを行っています。

    結論は、こうです。
    従業員が力をもっていることを忘れてはいけない。あなたの仕事は、彼らに力を与えることではない。彼らの力を認め、時代遅れの方針、手続き、制度を廃止して、力を解放することだ。それさえ行えば、彼らはパワフルになるです。

    目次は以下です。

    序章 新しい働き方
    第1章 成功に貢献することが最大のモチベーション
    第2章 従業員一人ひとりが事業を理解する
    第3章 人はうそやごまかしを嫌う
    第4章 議論を活発にする
    第5章 未来の理想の会社を今からつくり始める
    第6章 どの仕事にも優秀な人材を配置する
    第7章 会社にもたらす価値をもとに報酬を決める
    第8章 円満な解雇の方法
    結論

  • この4月からの「働き方改革」は「働かせ方改革」でしかなくて、チャップリンのモダンタイムスみたいな十年一日、いや百年一日な時間管理の話しかしていないような焦燥感を感じています。一方、リンダ・グラットン「LIFE SHIFT」で指摘されているように人生の幸せと「働く」ってことの関係性はますます高くなっているのが今、なんだと思います。そんな中、本書にたどり着きました。原題は「Powerful: Building a Culture of Freedom and Responsibility」というらしく表紙でもPOWERFULの文字がドーンと鎮座していましたが、日本語版の「最強」は小っちゃく「人事戦略」の文字の前にレイアウトされているだけなのでまあ、フツーの人事本?みたいな感じでページを開いたのですが、いやホント、シンプルでパワフルな本でした。基本思想はスーパー性善説に彩られているような気がして、だけど「さよならだけが人生だ」的なべたつきのない爽やかさも感じました。この本を読んだ後では自分の組織の人事制度が「上から目線」の「性悪説」で構成されている様な気になってしまいました。確かに「家族」アナロジーではなく「スポーツチーム」アナロジーが「最強」の源なのかな。NETFLIXがエンターティメントという領域でスペシャルを志向していることも仕事を「人間中心主義」にしているのかもしれませんね。この本で言及されているカルチャーデックをネットで探しました。その五原則を備忘としてメモしておきます。
    1、従業員による独立した意思決定を奨励している
    2、率直に、広範囲に、かつ慎重に情報を共有している
    3、お互いが並外れて公平である
    4、非常に効果的な人員のみを雇用し続けている
    5、規則を避ける

  • 『NETFLIXの最強人事戦略』
    著者 1998~2012年 人事責任者。
    これがこの書籍の意義。

    自由と責任の文化を維持する。

    役員、マネージャーそしてメンバーが
    1.戦略
    同じ順位、言葉で語る水準

    2.チームづくり
    ①継続的対話
    ②事実ベース
    ③批判歓迎、受入
    ④スキルジャッジ
    チームとは戦略実現の手段。

    メンバーの力がチーム目標に足りているか?
    足りていなければ、自覚させる。
    そして、習得させる。
    それができないならば、通告する。

    NETFLIXがスピードをもって市場を押さえたわけは、
    優秀なマネージャーとメンバー。
    彼らは、会社の戦略の変化を理解し、行動した。

    3.最後に
    ビジョナリーカンパニー2.
    誰をバスに載せるか?
    それを戦略ベースで見直し続けた組織の一例。

  • 面白かったです。
    面白かったですが、終始、圧倒されました。苦笑
    私は絶対NETFLIXに採用されない。苦笑
    ハイパーミラクルで採用されても、
    すぐにファイアされる。苦笑

    文体もあると思いますが、
    著者の語ることの圧倒的、合理的な考え方とスタンスに、
    読み進めることに興奮してました。苦笑
    変態ですね、
    自身の職業的にも刺さるんです、この本。苦笑

    会社は成長、利益を出すことが目標、
    その目標を達成するための人材を活かした考え方です。
    複雑な評価制度なんてムダ!と一刀両断。笑

    著者は、一対一の小さな対人関係から、
    会社としての行動指針まで、
    とても広い視野や考えを持っていて、
    さらに、芯がブレないから説得力があります。

    会社は個人の集合体だからこそ、
    ガチガチに固めてもだめだし、緩すぎも良くない。

    NETFLIXは健全なフィードバックを行ってて、
    きっと意識も高いと思う。
    他社から入ってきた人は、攻撃された、批判されたと思って、感情的になる場面がありました。
    そういう人多いんじゃないかと思います。
    私も含め、私が働いてきた会社でも、たぶん。
    文化は人が作り、それに見合った人たちが集まる。
    他の本でもそんなこと書いてあった気がするけど、
    本書もそれを体現していると思う。

    終始一貫していて、
    最後は著者も会社を去る日が来るのですが…
    その潔さというか、ブレない感じがさらに恰好良いです。

    ただ、この急上昇した後は、
    なだらかな坂になったり、
    競争激化でレッドオーシャン、飽和状態、
    NETFLIXも現在はどうなんだろう。
    ディズニープラスとか、プライムもだけど。

    この本ができた当時と、
    今の状況(業界、業績)は変わっていると思うので、
    今も変わらないスタンスなのか、
    それとも新しいやり方を開拓しているのか、
    とても気になります。

  • 優秀な同僚と働けるという環境は、何にも変えがたい労働条件

    社外のために手間をかけて作った資料を、社内では一切使わない会社は多い

    データは重要だが、多くの人はこれを信用しすぎている。なぜなら、失敗したときの責任転嫁ができるから。

    売り上げの8割は2割の人や部門が生み出している。故に、成功の鍵はスター人材をコア事業に集中できるか。スター人材の職務範囲は不平等に広くすべき。

  • 購入本。最高人事責任者を14年間担当した著者。ここまで躍進したのは、型破りな人事戦略が大きかったと納得
    DVDの郵送レンタル業から、ガリバー企業を倒しストリーミング配信、コンテンツ制作に軸足を移していく。
    ・業界最高水準の人材を最高の給料でハンテイング(GOOGLE と競合)
    ・採用面接は、担当マネージャーが最も権限を持つ どんな会議より優先される。面接者を感動させる目標を持つ
    ・将来の業務に適さない人は、人員整理 1/3カットした
     ネガテイブなフィールドバックも隠さず伝える
     各人が相手の始めて欲しい事、止めて欲しい事、続けて欲しい事を提示する 1回/年(全てをオープンに)
     会社への貢献度を本人が客観的に理解するメリットも有り
    ・有給休暇は無制限
    ・経費規定、旅費規程も撤廃 無制限
    ・人事考課制度は時間と労力の無駄
    ・ボーナスは、ストックオプション制度
    ・会社としてキャリア開発(研修等)は提供しない。従業員が自分で開発するべきもの。
    ・他社の面接を積極的に受ける事を推奨:自分の評価を理解出来る。

  • これまで人事戦略という分野には注目したことがなかったが、チームをつくり、組織マネジメントしていく上では欠かせない。むしろ企業が成長させていくには、こういった採用・組織マネジメントは一番重要なんじゃないかと思うくらい。普段立つことのない視点だったが故に新しい発見が山のようにあった。

    採用側の視点を理解することができれば、今後就活やキャリア選択の際に大きく役立ちそうなので、関連書も読んでみたいと思った。

    またアメリカの大企業は日系企業のカルチャーとはだいぶ違った印象を受ける。特にコミュニケーションの取り方とか。批判を恐れず誰もが臆することなく意見を言える風潮があり、1人1人が明確な目的やビジョンを持っている。世渡り上手のような人は生き残れない。

    • ともひでさん
      仕事に熱狂!みたいな宗教じみたベンチャー(元インターン先然り)があったりするけど、あれって組織マネジメントの観点でみるとめちゃくちゃ理に適っ...
      仕事に熱狂!みたいな宗教じみたベンチャー(元インターン先然り)があったりするけど、あれって組織マネジメントの観点でみるとめちゃくちゃ理に適ってるんだよな。

      元インターン先。当時は変な人たちが集まっているなぁと思っていたけど、いま思い返せば緻密に仕組まれた組織戦略の表れと言えますな。
      2021/03/18
  • NETFLIX創業時メンバーであり、元NETFLIX最高人事責任者の著書。
    巨大企業著伝あるあるの「それ弊社では無理」な内容は少なく、学びが多い。また書き手の実力がたかく、最後まで読みやすいのも特徴。
    日本においてはリストラに対しての制約が非常に厳しいが、それ以外は会社に落とし込める記述である。

    〇優秀人材にとっての最高の報酬はなにか
    ・他のハイパフォーマーとチームを組んで学び合えることが、最も強力な決め手となる。
    ・ハイパフォーマーを採用することは優れた従業員特典である。
    ・ハイパフォーマーを採用するには、ボーナスやストックオプション、高額な給与、昇進の確約でさえ、決め手にならない。
    ・ハイパフォーマーに絞ることで離職率も低減する。
    ・ハイパフォーマーにとってのモチベーションは人材濃度と魅力的な課題
    ・優秀な同僚と達成すべき成果の周知徹底、この組み合わせが、パワフルな組織の秘訣である。
    ・エンパワーメントやエンゲージメント、ベストプラクティスなんて効果が薄い。
    ・ハイパフォーマーな同僚と難題に挑戦できる環境は、ハイパフォーマーにとって最も重要な要素。
    →人事制度で管理したり、やる気を引き出す施策は意味がない。

    〇従業員に学習させるべきこと
    ・属する事業のしくみを正しく理解することが何よりも大切な学習。
    →どんな従業員の能力開発研修よりもためになる。
    ・フィードバックは頻繁に行う。

    〇事業推進および会社成長のポイント
    ・マネージャーは成功しているスポーツチームを参考にすべき。優れたスポーツチームは絶えず新しい人材をスカウトして布陣を入れ替える
    →マネージャーの仕事は強いチームを作ることであって家族を養うことではない。
    ・重要でない評価指標に固執しない。絶えず見直して良い。
    ・今のチームがこの先必要なチームになる事を期待してはいけない。
    ・6ヶ月後に必要な人材を今雇う
    ・従業員に一貫してとってほしい行動をとなえつづけ、それを実行させるための規律を定着させる。
    ・パフォーマンスの高い企業は意図的に不平等主義である。業績にインパクトを与えられる部署に重点的にスター人材を配置すべき。
    ・従業員の才能と情熱が、会社の目指す将来に合っているかを見極め、他社の方があってれば積極的に解雇する。
    ・ビジネスリーダーの役割は、すばらしい仕事を期限内にやり遂げる、優れたチームをつくること。これが経営陣のやるべきことだ。
    ・優れたチームとは、これからどこに向かおうとしているかをメンバー全員が知っていて、どんなことをしてでもそこに到達しようとするチームのことだ。

  • 従業員一人ひとりが自分の能力開発に責任を持つのが理想的。ここは会社の仕事ではなく、製品と市場の開発が会社の仕事

    従業員一人ひとりが事業の仕組みを理解する。
    カスタマーサービスの事業に与える影響を説明できるか。
    重要でない評価指標に固執しない。絶えず見直す。
    今のチームがこの先必要なチームになる事を期待してはいけない。

    従業員定着率はチームの良し悪しを測る指標には適さない。

    会社にもたらす価値をもとに報酬をきめる。
    パフォーマンスの高い企業は意図的に不平等主義をとっており、業績にインパクトを与えられる部署に重点的にスター人材を配置している。

    フィードバックは頻繁に行う。
    従業員の才能と情熱が、会社の目指す将来に合っているかを見極め、他社の方があってれば積極的に支援、解雇する。

  • ビジネスリーダーの役割は素晴らしい仕事を期限内にやり遂げる優れたチームを作ること

    言語化することの大切さ

    従業員に一貫して取ってほしい行動を打ち出し、続いてそれを実行するための規律を定着させる

    徹底的に正直になる

    顧客と会社を第一に

    ハイパフォーマーを採用することは優れた従業員特典
    →人数を絞るなどすれば人は残る

    新卒を取る旨味?

    今当然にある慣習をやめる、それでどうする?をおのおのに考えさせる

    自由と責任の文化

    無駄なものを洗い出すために、今ある制度を1つずつ挙げていく

    事業を理解する

    カスタマーサービスはとても大切

    人は学ぶことが大スク

    伝える内容によってミーティングの方法を変える

    本人に直接伝える、何を改善できるか?を明確に

    データへの責任転嫁をやめ、データー中心から参考にするようにする

    物事が決まりそうな時はその反対意見を考える。そうして主観をなくしていく。

    6ヶ月後に必要な人材を今雇う

    モチベーション→人材濃度と魅力的な課題

    他社の面接を定期的に受けてもらうことを推奨している

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