バブル

著者 :
  • 光文社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334951979

感想・レビュー・書評

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  • いわゆるロスジェネ世代の僕は、どうしてもバブル世代の「若い頃はハンパない仕事をこなした」言説を、冷めて聞いてしまう。
    だって、口だけなんだもん(笑)みたいな。
    長い話をする前に手を動かしませんか?みたいな。

    まあ、そう言ったことは置いておいて、この本はとても面白いです。
    バブル真っ只中、男女雇用機会均等法が施行された平成元年あたりに就職した女性たちの生きざまを描いたノンフィクション。

    特に著者の山口ミルコさんは、外資の損保会社、大手出版社を経て、幻冬舎の立ち上げに参画し敏腕編集者として活躍された。あのベストセラー「大河の一滴」(残念ながら未読…)の担当者だったとのこと。
    会社ラブで生きつつも、会社内の評価に納得できず退社。その後乳がんを発症。ガン・サバイバーとして現在に至る。

    前述のようにバブル・アレルギーを持つ僕だけど、ミルコさんのたくましさには胸を打たれた。
    カッコいい人はいつの時代に生きてもカッコいいんだという、当たり前のことを改めて認識。

    平成時代後半を描く次作にも期待。

  • 第1回「見本日」 | 本がすき。
    https://honsuki.jp/series/miruko/39358.html

    バブル 山口ミルコ | ノンフィクション、学芸 | 光文社
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334951979

  • 懐かしい話が満載でしたが、業界のことはよく分からない話ばかりでした。

  • 幻冬舎を創立当時から支えてきた元・敏腕編集者による、編集者時代の回顧録。

    『婦人公論』連載時のタイトルは、「バブル――ボスと彼女のものがたり」というものだったという。
    「ボス」とは、角川書店時代から著者の上司であった幻冬舎社長・見城徹のこと。
    本書には一度も名前が記されず、「ボス」とだけ表記される見城が、もう一人の主人公といえる。

    著者は幻冬舎で多くのベストセラーを生んだが、2009年に43歳で突然退社し、フリーランスとなる。そのことは業界でさまざまな憶測を生んだ。

    本書には退社の真相が明かされているが、ボカした書き方なのでイマイチよくわからない。
    仕事の中で見城と対立し、報復(としか思えない)として突然給与を下げられ、ショックを受けて退社を決意した……ということのようだ。

    とはいえ、古巣・幻冬舎への告発というトーンはごく薄い。むしろ著者は、カリスマ的ワンマン経営者・見城に畏怖を抱きつつ、一方では心酔しきっていたように見える。

    角川→幻冬舎時代の回想部分は、じつに面白い。
    ただ、本書は著者が「同時代を生きた異業種の女性たち」を取材したノンフィクションでもあり、彼女たちのエピソードと発言が随時織り込まれるのだが、そこが丸ごと不要だと感じた。

    そのような構成にしたのは『婦人公論』編集部の要請だったようだが、成功しているとは言い難い。
    紹介されている個々のエピソードは面白い。だが、本書の中で読まされると、「著者の編集者時代が知りたくて読んでいるのに、横道にそれてばかり」という印象を受けてしまうのだ。

    二兎を追って中途半端な本にするより、著者の編集者時代をもっと掘り下げるべきだったと思う。

    『バブル』というタイトルもわかりにくい。
    バブル期に学生時代を過ごし、編集者になってからも〝数年遅れで出版界に訪れたバブル〟を謳歌した……というニュアンスだと思うが、本書全体が日本のバブル期を扱っているわけではない。

  • 県立

  • バブル世代として、心惹かれるタイトルだったので手に取る。
    大前提として小説だと思っていたので、バブル期に就職した男女雇用機会均等法時代の女性たちに話を聞いたルポとは思わなかった。
    社会情勢や経済情勢を横軸に、自分の働いてきた歴史を縦軸に描いた、ということなんだろうが、それが成功しているとは思えなかった。そうしたいのならば、もう少しやりようがあるのでは?

    ただ、角川書店から独立して幻冬舎を立ち上げる見城氏について角川書店を辞め、仕事に邁進するあたりはおもしろかった。見城氏のそばにいた一人の人間として、そこだけを描くと、出版や編集の仕事に関係ない人にも興味深いのでは。

  • うーん。
    同時代を生きてきたけど。
    おもろなかった。

  • 1985年のプラザ合意から始まるバブルと言われる時代。その頃の高揚感は経済や政治が舞台というだけではなく、個人ひとりひとりの生活に沁み込んだ気分の総和だったりするような気がします。だから、あの頃生きていた日本人それそれにそれぞれのバブルの物語があるのだと思います。昭和の終わり、と記されているので1989年頃に社会に出た著者のバブルの物語は、イコール「働き方」の物語でした。リゲインが「24時間、戦えますか?」と冷静に考えたら絶対無理な進軍ラッパをCMで鳴らし続けていた時代です。それは同時に1986年の男女雇用機会均等法によって変わる女性と仕事を会社が扱いあぐねていた時代(しかも、今もそれは続いている…)でもありました。なので、著者自身のイケイケメモリーズを縦糸に、同時代の専業主婦を選ばなかった女性のインタビューを横糸に織り上げた「あの頃の会社と仕事と私の人生」という記録の書になっています。婦人公論という雑誌の連載ということで、そういう構成なのかもしれません。やはり自分事なのでタテの物語が濃厚です。それは仕事の中でも時代の風をもっとも受ける雑誌編集者という彼女の選んだ(いや、巡り会った)仕事がもっともバブルっぽかったからなのか…。1997年に発行部数のピークを迎える雑誌の世界は上り坂と下り坂の落差が顕著だからなぁ〜。しかも、彼女が人生を掛けて働いたのが月刊カドカワと幻燈社の見城徹ワールドだもんなぁ〜。それはそれは激しい物語です。でも、ポイントはその世界からいかに抜け出たか、が一番、今、共有しれもらう価値があるのかも。その後の身体の変調も含め、また今回、いまいち理解しきれなかった退社のいきさつも含め、本書の続編という「バブル、その後」に期待します。2020年、with coronaで向き合ったのは、働く、ということ。そういう意味では、「コロナ」と「バブル」は真逆の時代なのだと思います。本書を読みながら、「コロナ」はどんな「会社と仕事と私の人生」を生み出すのだろうと、考えました。

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著者プロフィール

1965年生まれ。出版社で20年にわたり活躍、さまざまな本をつくる。数々のベストセラーを世に送り出した末、2009年3月に退社。闘病を機に執筆をはじめる。著書に『毛のない生活』(ミシマ社)、『毛の力~ロシア・ファーロードをゆく』(小学館)がある。

「2017年 『似合わない服』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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