- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334929312
感想・レビュー・書評
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弥勒シリーズ 5
江戸の町で、武士と遊女の無理心中事件が起きた。
同心・木暮信次郎は、その事件から、何年も前に起きた馴染みのの「上総屋」の女将お仙の旦那の事件との共通点を見つける。
何にも、どの様にも関わろうとはしない信次郎だが、ただ一人「遠野屋」の清之介には、興を抱き、拘り続けている。
一線を越えて引き摺り出そうとする信次郎。
抗いながらも、逆に信次郎の内を掴みだそうとする清之介との“丁々発止”が面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
深い闇を抱える遠野屋の主人清之介と、心に虚空を抱える同心木暮信次郎、それに岡っ引きの伊佐治とが織りなす『弥勒』シリーズ、ますます目が離せない。
今回は、心中事件の裏に隠された闇の謎を解明すべく、信次郎が大車輪。
遠野屋清之介もも、今回に限っては恰も端役のごとくである。
しかし、このシリーズの見どころは、それぞれの事件の謎及びその解決というより、主役3人の関係というか、それぞれが絡む丁々発止に魅力がある。
なかでも、今回は132頁。
信次郎の煽り立てに、清之介が応じてしまい、危機感を抱いた伊佐治が、二人に熱い茶をぶちまける。
3人様の最大の見どころと言っていいか。
商人としての清之介の足元を掬いかねない信次郎の言動に、清之介が破たんするのではと、ハラハラしながらこのシリーズを読み進めてきたが、最近は清之介の態度にも自信と安定が見えてきた。
繰り返すが、ますます目が離せない『弥勒』シリーズ。 -
弥勒シリーズ五作目。
今回木暮同心の愛人お仙さんの過去の事件から。お仙さんは実は武家の嫁だったのですが、夫は遊女と無理心中に見せかけて殺されていたのでした。とは言うものの、当時は心中事件としてお家取り潰し。お仙さんも流れ流れて今や品川の旅籠の女将。
ところが同じような事件が勃発。真面目一筋だった同心の部下が無理心中したと。
そこで十年以上も前の事件と結び付けて考えるのが木暮同心。今や商人の清之介を用心棒としてこき使うし、伊佐治親分との喧嘩手前のやり取りに、相変わらずのSっぷりな態度。底の知れぬ闇を抱えているかと思うと実はいい人?と思わせるところがたまりません。こんな人に惚れたら大変だろうなと思います。 -
大和言葉は本当に美しい。それを堪能させてくれる弥勒シリーズ。男の業女の情念 人として生きるという事..それを謎解きに絡めて物語る。同じ人の業について時代物を通して書く高田郁さんは とことん男と女の性を突き放して書かれるが あさのさんは真逆で 妖艶で濃く情念を突き詰めて書かれる。私は あさのさんの青春物はあまり読まない。この方の真骨頂は この弥勒シリーズにこそあると思う。
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「親分、心など捨てちまいな、邪魔なだけだぜ」たった独りで、人の世を生きる男には、支えも、温もりも、励ましも無用だ。武士と遊女の心中は、恋の縺れか、謀か。己に抗う男と情念に生きる女、死と生の狭間で織りなす人模様。
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遠野屋さんが、カッコいい。
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弥勒の月、第五弾です。
「バッテリー」なんかの青春もので人気のあさのあつこ氏の、推理時代モノ。
青春ものもいいけど、私はこのシリーズが一番好きです。
人物の魅力さ、話運びのウマさ、ほんと一気に読める面白さ。
読みながらやっぱり読み進めるのがおしい。続きが気になる一冊です。 -
弥勒シリーズ最新版。今作の中心は清之介というより、定町廻り同心の木暮信次郎を中心に話が動いていく。
同僚の心中事件から、自分の馴染みの旅籠の女将の夫が、かつて同様の手口で亡くなっていることにつながりを感じ、調べ始める。事件性を見事に見抜き、鋭い観察力で皆が気付かない部分も疑問を持つ信次郎。そして真実へとたどり着く。清之介ではないけど、信次郎の頭の中を覗いてみたいと思いながら読みました。