- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334928162
作品紹介・あらすじ
若美谷中学1年5組の塚原マチは、自分の意見を主張できない、頼み事を断れない、そんな性格を直したいと思っている。ある日、図書室で本をめくっていると、一枚の紙が滑り落ちた。そこには、丁寧な文字で『サクラチル』と書かれていた。貸出票には1年5組と書いて、消された跡がある。書いたのは、クラスメイト?その後も何度か同じようなメッセージを見つけたマチは、勇気を振り絞って、返事を書いた。困っているはずの誰かのために-(「サクラ咲く」他2編収録)。中高生が抱える胸の痛み、素直な想いを、みずみずしく描いた傑作。中学生から。
感想・レビュー・書評
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『辻村深月さんコンプリート大作戦#6』残り3作品です
もうあれですよ
いい歳したおっさんがYAコーナーでこの表紙の本を借りてる時点で、相当難易度の高いミッションだと思いません?
イーサン・ハントも真っ青ですよ!
そもそもさ、YAって言葉昔はなかったよね〜?
ちょっと調べてみたら日本では13歳から19歳を対象とした文学作品のことで、その年代の人物を主人公に据えることが多いとのこと
ふ〜ん
でも考えてみたら自分YA期ってなかったかも(なんだYA期って)小学校4年生くらいでもう横溝正史とか江戸川乱歩(陰獣とかのほう)とか読み漁ってたかんなー
その前はちゃんと児童文学とか伝記とか読んでたからね
とくに伝記は学校にあったやつは全部読んだと思うんだよね
なのでYA期がもうすっぽり抜けてるんよ
で今回表紙にしっかりと「中学生から」と書かれた紛うことなきYAを読んでみたわけですが
面白かったです!
単に辻村深月さんだったからなだけかもしれんが、今後も恥ずかしがらずにYA読んでみようと思ったね
取り戻せYA期!
(ライトノベルはまた別の話)
ってだからなんなのYA期って! -
●『約束の場所約束の時間』
転校生の菊池悠
現在は無い新しい病気の療養の為、100年後からタイムスリップして来たと言う。
悠と関わっている内に変わって行く朋彦
病気の無い未来へと変える!…。
●『サクラ咲く』
塚原マチ子は自分の意見がはっきり主張出来ない事
誰かから頼まれ事をすると、なかなか断る事が出来ない
そんな性格を直したいと思っていた。
図書室で借りた本からヒラリと落ちた紙「サクラチル」誰が…?
それをきっかけに始まった図書室の文通
顔の見えない相手…二人の距離は近付いて行った…。
●『世界で一番美しい宝石』
武宮一平と生田リュウと平野拓史
三人は映画同好会のメンバー
一平は映画のヒロインにぴったりの図書館の君を見付ける…。
『約束の場所約束の時間』を読み始めた時、中学生の物語…。タイムスリップって…。
なんて、思いながら読み始めましたが、悠と朋彦と美晴の友情に胸が暖かくなった。
『サクラ咲く』では、マチ子の成長がとっても嬉しく、特に高坂紙音の心の叫びはこちらの心が痛かった。
辻村さんの作品らしく、3つのお話は繋がっている事に気付きました。
3作目の海野司書が誰か、一平の両親が誰なのか気付いた時には、感動!
お父さん間に合ってよかったね
約束守れたね
泣きそうになりました(*T^T)
青春の中での悩みや妬み・葛藤がヒシヒシと伝わって来ます。
心の琴線に触れる言葉が一杯
温かい気持ちになれます。
優しく純粋なお話でした(❁´ `❁) ♡ -
学校は、俺たちみんなのものだ。
華々しく壮行会で送り出される運動部のエースでもなく
大勢の友人に囲まれ、スクールカーストのてっぺんに君臨する人気者でもなく
たった3人の映画同好会の一員という、学校の主役ではない自分を奮い立たせながら
自分のような生徒の居場所を作るため、幻の本を探して
地を這うような努力を続けた一平の言葉が、キラキラと眩しい。
人間の心に沈殿するエゴやトラウマや葛藤を容赦なく描き出すこともできる辻村さんが
これから中学校生活を送るこどもたちに向けてのエールとなるよう
共感、友情、ほのかな恋や憧れ、信頼。。。と、濁りのない部分だけを
両手いっぱいにそっと掬い取って、差し出してくれているような短編集です。
若美谷中学を舞台とした最初の2篇は、まさかのタイムスリップが友情を育んだり
図書室の本に挟まれた謎のメッセージがヒロインの心を揺り動かしたりと
進研ゼミ中学講座という掲載誌にぴったりの、初々しい物語に
う~ん、かわいい♪ これは中学校入学を控えた小学生にもぜひ読んでほしいなぁ
と思っていたのだけれど。。。
若美谷高校を舞台とした、最後の『世界で一番美しい宝石』。
辻村さんならではのトリックで、物語は最初の2篇と魔法のようにつながって
遠い未来のために交わされた約束や、心に芽生えた希望が
ひたむきな努力を経て、信頼できる素敵な大人という目にみえるかたちで
結実していることに、爽やかな感動がこみ上げます。
本を読み始めようとするこどもたちが、『ぼくのメジャースプーン』、『凍りのくじら』と
読み進めていくための、辻村さんワールド入門編として
手に取ってくれるといいなぁと思う1冊です。 -
さすがに辻村深月、単なるジュブナイル小説ではなかった──
一作目の「約束の場所、約束の時間」を読み始めたときは、“わあ、やはりラノベだな、こりゃあ……”とあまり気が進まず、読後感も今ひとつ。
そこで『進研ゼミ』連載の中学生をターゲットにした小説は、きついものがあると思い、二作目の「サクラ咲く」を飛ばし、『小説宝石』に掲載された「世界で一番美しい宝石」を先に読むことにした。
こちらの主人公は高校二年の男子、武宮一平。
映画同好会に所属する3人の男子が映画製作のために主演女優を探そうとする。
そこで目に留まったのが、いつも図書室の窓辺で本を読んでいる『図書室の君』と噂される美しい先輩、立花亜麻里。
出演を懇願する武宮たちに、あまり気乗りしない立花先輩は一つだけ条件を出す。
自分が昔読んだ本を探し出してくれたら出演してもいい、と。
それが『世界で一番美しい宝石』にまつわる話という設定。
この程度になると、少しミステリー的要素も加わり「ふむふむ、なかなか面白い」
そして、最後に表題作「サクラ咲く」を読んだのだが……。
時系列的には、「サクラ咲く」が二作目で、ターゲットは最も低い中学1年生になっているが、表現もストーリーも、こちらのほうがすんなり入っていけたし、感情移入もしやすかった。
初めての挑戦ともいうべき「約束の場所、約束の時間」では表現を敢えて抑え、中2レベルに合わせようとし過ぎたため、ややぎくしゃくしたような感がする。
作者自身も「約束の場所、約束の時間」より、表現手法に少し慣れたのではないか、と思う。
引っ込み思案な主人公マチと、ある出来事が原因で不登校になってしまった紙音の成長物語。
その二人とも、優しい友たち、友情のおかげで暗闇から光待つ場所へ吸い上げられる。
救われる物語だ。
この展開は彼女の名作「名前探しの放課後」を彷彿させ、「名前探し」で号泣した私は、ここでも最後の『遠い日のうた』(この歌、実際にあるんですね。YOUTUBEで調べたら分かった。クラシックの名曲“カノン”の旋律を基歌にしたやつで、思わずじっくり聴いてしまった)合唱シーンには感動し、かなりうるっと来た。
なんとも涙もろい私です、はい。
「オーダーメイド殺人事件」「水底フェスタ」の二作には、やや失望感があり、少し心配した辻村さんでしたが、これを読んでホッとした。
これで、来週発売になる次作「鍵のない夢を見る」は、文藝春秋社発行という一抹の不安はあるにせよ、期待していいかもしれない。
辻村さんは、ホントに子どもの頃から本や図書室、図書館が大好きだったんだな、と思う。
一作目は別にしても、他の二作とも、本に対する作者の愛情が感じられるからだ。
“スポーツで汗をかくのも気持ち良いけれど、本を読んで心の汗をかくのも素敵なんだよ”とでもいうような。
それにしてもこの三作品、一見全く別々の物語だが彼女独特のスターシステムは健在で、見事に三作とも登場人物の細かいリンクが設定されている。
よくぞ毎回こんなことができるものだ。感心せざるを得ない。
朋彦と見晴が両親とは……。凝り性なんでしょうか、辻村深月さんは。
中身を詳しく書くとネタばれになってしまうので、引用だけ載せておきます。
(追記の雑学)
“サクラサク”は本文にあるように、受験時の合格電報のメッセージに使われ、大学では早稲田が最初に使ったというのが定説になっています。
ちなみに早稲田不合格の場合は、当初“サクラチル”のようでしたが、後には“イナホチル”(稲穂散る)がメインになりました(同じサクラだと間違う怖れもあったからでしょうか)
今はどうか知りませんが、この合格(不合格)電報の通知、私が受験した頃は大学によってその土地柄の特色を出しており、それぞれ味がある表現なので、少し紹介しておきます。
受験生同士のカップルで、会話中『天使が通り過ぎる時』が訪れそうになったら、雑談代わりに使って頂ければ本望です(笑)
北海道大学=不合格“ツガルカイキョウナミタカシ”(津軽海峡波高し)
東北大学=不合格“ミチノクノユキフカシ”(みちのくの雪深し)
奈良教育大学=不合格“ダイブツノメニナミダ”(大仏の目に涙)
高知大学=合格“クジラガツレタ”(鯨が釣れた)
長崎大学=合格“マリアホホエム”(マリア微笑む)
鹿児島大学=不合格“サクラジマフンカセズ”(桜島噴火せず)
等々。
でも最初にこれを考えた人はセンスありますね。 -
辻村先生の書く学園モノや中高生は、純粋で一生懸命で青春キラキラしてて、何だか胸があつくなっちゃいます。
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三つの話で構成された短編集。随分かわいいイラストの表紙には「中学生から」の文字。
物足りないかも?と思ったが、ちゃんと面白かった^^
自分では気づけなかったけど、皆さんの感想からところどころ登場人物がリンクしてて、あの時のあの子か!って鳥肌。話の内容は、どれも学校が舞台なので自分が学生時代の頃を思い出し、懐かしく感じた。
辻村深月さんは学生がメインの小説も多く書いているけど、子どもの考え方とか観点をこんなに分かっているのがすごい。大人になったらだいたいみんな忘れてしまうような感覚を、思い出させてくれる。
何かのインタビューで「大人になったからこそ、大人も子どもも平等な観点で書けるようになった。子どもの頃に思っていた大人とは違って、大人だって悩みがあって子どもの自分の延長線だと分かった」というような話をされていた(私の記憶が正しければ。。汗)
たしかに、自分に置き換えてもそうだなあ。たぶん私がおばあちゃんになっても、20代の今の私の延長線なんだろうなあ。
本の感想なのに随分脱線しましたが、要するに「面白かった、辻村深月さんすごい!」ということです笑 -
涙が溢れて止まらない。
個人的に不遇な中学時代、光の当たらない高校時代を送ったから、登場人物たちが輝いて見えて仕方がない。
中編3編なのだが、つながりもあり、内容がとにかく温かい。居場所のない人々に是非、届いて欲しい物語だ。 -
『約束の場所、約束の時間』、『サクラ咲く』は中学生、『世界で一番美しい宝石』は高校生が主人公。
初めの2篇の主人公たちが、最後の『世界で〜』にも少し登場していて、素敵な大人に成長しているのが嬉しかった。
登場人物が作品間でリンクしているのが辻村作品の醍醐味だけど、この一冊だけで、その「アハ体験」が楽しめる!
┐(´д`)┌ヤレヤレ
┐(´д`)┌ヤレヤレ
爆笑エピソード楽しみにしとくわ
信長なんなん?に関してはタイムマシンに期待しよう!
っ...
爆笑エピソード楽しみにしとくわ
信長なんなん?に関してはタイムマシンに期待しよう!
ってほら!ほらほら!一Qさんほら!繋がったやん!
実は『サクラ咲く』はタイムマシンが出てくるお話なのですw