- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334926830
感想・レビュー・書評
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弥勒シリーズ 3
北定町廻り同心、木暮信次郎は、何を考えているのやら、いささかも掴めないと、上役、同輩の評判は、すこぶる悪い。
しかも、他人を信じず、愛着も持たず、言動は他者を容赦なく傷つけ、震え上がらせる。
しかし、相手を傷つけ、その傷をさらに嬲りながらも、たいていの事件を、見事に決着させてしまう。
岡っ引きの伊佐治は、その手並みを目にするにつけ、人間的には、好きにはなれないが目が離せなく、離れられないでいる。
そんな二人が、有る事件で知り合った、過去を持つ、遠野屋清之介に拘泥する。
明かりといえば、月のみ。
肌を刺す、冷たい風。
音ひとつない、静寂。
静かに時が流れる、暗い江戸の町。
この作品を読んでいると、そんな風景が目に浮かぶ。
でも、そんな風景は、実は、嫌いではない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
木練柿って言葉は知らなかったけど、木に実ったまま熟れきった熟柿を地元では単に「じゅく」と言い、好みは分かれるが私は大好きですわ。柿畑で収穫する農家のおじさんから昨年も頂戴した。さて、今回の弥勒シリーズは伊佐治一家「梅屋」におけいが嫁入りし、あるいは遠野屋に清之介が婿入りする経緯が知れる。おけいも清之介も戸惑いつつ、覚悟を決めて婚家に入れば、見事馴染んで信頼を得る。遠野屋おりんは不幸だったけれど。ところで信次郎ときたら、仕事はますます冴えるものの、もはやあの嫌味は重篤なり。敢えて嫌われることが、人びとの怒りや悲しみを緩衝してるとは思うけど、程がありますでしょ。いや、あれが魅力か。いや、やはり。
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小暮さんの扱いに慣れてきた感があります。
どうしても呼び寄せるでしょうから、身の回りで色んな事件は起こるでしょうが、致命的なことは何とか避けながら平和に暮らせたらいいんですけどね。 -
やっと読み終わった…私にしてはとんでもない遅さだった。
遠野屋さん、信次郎、伊佐治らの生き方の違いや思いの在り様がいつもはっきり書き分けられていて、よくここまでキャラ付けできるなあ…なんて感心しながら読んだ。
お気に入りは表題作の「木練柿」。大切なものができてゆらぐようになった遠野屋さんがステキ。
それにしても、弥勒の月シリーズは一人ひとりの姿がくっきり浮かび上がるという点では、短編集が似合っているのかも。しゃばけシリーズのようなイメージで。
それでもやっぱり本編が気になってしまう。彼らの揺らがない生き様を、もう少し見てみたい。 -
2022.03.06
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おこまを得て父となり、初めて母に叱られ、打たれた清之介。おしのがおりんに望んだようにゆるりと微笑み穏やかな日々を送ってくれるといいのですが…
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遠野屋の周りに4つの事件が起きる。
信次郎と伊佐治のコンビは謎を解いていく。 -
短編集のような感じ。重みが少なくて、ちと物足りない。
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過去のある小間物問屋遠野屋の主、清之介。酷薄な同心木暮信次郎、情に厚い岡っ引きの伊佐治。三人の男が事件を追いながら、深く関わっていく。シリーズ第三弾みたいで、この作品から読み始めたから、わからないところもあったけど、クールで面白かった。
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【弥勒シリーズ3作目】今回は短編が4つ。どの話もうまく纏まっていたし、遠野屋とおりんの過去もわかってなるほどなと納得。いつもの長編もなかなかのものだけど、短編でとても読みやすくて面白かった。