煙突の上にハイヒール

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 368
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926731

作品紹介・あらすじ

背負って使用する、個人用ヘリコプター。ネコの首輪につけられるような、超軽量の車載カメラ。介護用のロボットも、ホームヘルパー用のロボットも、少し先の時代には当たり前になっているのかも。あなたなら、楽しい使い方を思いつけますか?テクノロジーと人間の調和を、優しくも理知的に紡ぎ上げた、注目の俊英による最新傑作集。

感想・レビュー・書評

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  • 前回読んだ小川さんの本より随分読みやすく、内容も面白かった。少し近未来の様々な愛のお話。
    表題作は結婚詐欺に合いそうになった主人公が、相手に渡すはずだった大金で一人用ヘリコプターを購入する話。検索してみたら、一人用ヘリコプターって本当にあるんだね。乗ってみたい!他にもロボットが出てくる話が2話、猫にカメラを付けて行動を探る話、鳥インフルエンザで壊滅的な都市の話…有りそうでなさそうな、起こり得るような話だが、実際将来進化したコンピューターシステムや未知の病原体との共存が叫ばれる世の中になるだろうなとは思う。

  • 「カムキャット・アドベンチャー」が猫好きには堪らない…!「イブのオープン・カフェ」はどこか神秘的なところがお気に入り。裕也みたいな男は大嫌い。タスクの健気さが好き。「おれたちのピュグマリオン」はなんか…気持ち悪い…。理解できないよ!ロボットとか…。貴志祐介の『硝子のハンマー』の介護ロボットを思い出した。中村佑介さんの装丁イラストが可愛くて好き。2011/297

  • 人類が経験しうる様々な「if」を描いた短編集。と言っても、ほっこりしたものからやたらと重たいものまでバランス良くチョイスがなされている。テンポも良く、サクサク読める。

  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイはSF描写がかなり濃く、慣れていない身として当初は世界観を掴むのに苦労したけれど、そのへんの匙加減が自由自在なのはさすが大御所というべきでしょうか。思いの外読みやすく、それでいて最初から最後まで面白さが一級品で本当にすごい。「白鳥熱の朝に」はタイムリーで辛かったけど、今の時代にこそ読めて良かった。小川一水氏の作品は、変化していく時代に合わせてジェンダー感覚をアップデートしようという強い意志が感じられるのも非常に素晴らしいと思う。他の作品もぜひ読んでみたいです。

  • 読みやすく、ちょっとわくわくする近未来テクノロジーが出てくる。でも基本的に人々の生活が変わるわけではなく愛憎があり、人間模様や人の付き合い方が描かれている。
    個人的には白鳥熱の朝には鬱々とした雰囲気だったけれど前を向いてこれから歩き出すところが印象的だった。
    好きなのは……甲乙つけがたい。どれも面白かった

  • 51:いますぐにでも手が届きそうな、ほんのわずかな未来を思わせる舞台で描かれる、人と人とのつながり。Mewをはじめ、魅力的なデバイスがたくさん登場するけれど、物語の中心はやはり、機械でなく感情なのだと思います。タスクくんの健気さに、涙が……!
    小川さんはハードなSFも書かれますが、こういったソフトタッチの短編もすごくお上手なので感服。物語世界に生きてる登場人物たちの体温にすごく安心するのです。

  • 【あらすじ】
    恋人にだまされた織香は、大きな衝動買いをした。一人乗りのヘリコプターMewだ。心躍る飛行体験が、彼女の前に新しい世界を拓いてゆく(表題作)。猫の首輪に付けた超軽量カメラ。猫目線の隠し撮り映像には、思いもかけないものが映っていて…(「カムキャット・アドベンチャー」)。人とテクノロジーの関わりを、温くも理知的な眼差しで描く、ちょっぴり未来の5つの物語。

    【感想】

  • 背負って使用する個人用ヘリコプター。
    猫の首輪につけられるような、超軽量の車載カメラ。
    介護用ロボット。
    ちょっと未来の、ハイテク製品が日常に溶け込んでいるけれど、人間そうそう変わりません……というお話。

    装幀 / 坂野 公一(welle design)
    装画 / 中村 佑介
    初出 / 『小説宝石』2007年5月号、2008年3・9・11月号、2009年1月号。

  • SF。短編集。
    はじめ2作品は日常もの。
    最後のパンデミックものは苦手なようだ。
    好きなのはロボットに関する話。
    特に、「おれたちのピュグマリオン」はロボットに関して、興味深いテーマを取り扱っている印象。
    できないことを「できない」と言うことが機械には難しい。うーん、リアルだ。

  • 今よりも少しだけテクノロジーの発達した世界を舞台にした短編集。
    背負って使用する個人用ヘリコプター、猫の首輪に付けられるような超軽量車載カメラ、介護用人型ロボットなど、今でもありそうな、手が届きそうなテクノロジーが描かれています。そしてそれらを使う人たちの心の動きが主眼となります。
    一番印象的だったのは、ホームヘルパー用人型ロボットを扱った「おれたちのピュグマリオン」です。ロボットおたくの青年が造り出した美少女メイドロボットを元に造り出されたホームヘルパーロボットが、人とロボットの関係を親密なものに変えていく。そこで彼が本当に望んだこととは? この真相を突きつけられた時は、そういう考え方があるのかと驚きました。しかし驚きましたが、納得しました。小川一水作品はどれも基本的にハッピーエンドの印象があります。しかし幸せというのは、人それぞれ形が違うのかも。そういうことにも気付かされます。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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