録音された誘拐

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914790

感想・レビュー・書評

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  • 大野家で長女の早紀フィアンセの熊谷太一のお披露目パーティが開かれた日。
    長男で大野探偵事務所の所長である、大野糺(ただす)が何者かに誘拐されます。

    糺は自分が誘拐されたのは、15年前に隣の家の野田島家の長男と長女が自分たち兄妹と間違えて誘拐され、長女が死亡し長男が行方不明になった事件と関係していることに気がつきます。

    糺の探偵事務所には望田公彦と山口美々香という所員がいますが、美々香は耳が常人以上によくて、事件を解決するために美々香を呼ぶように請願します。

    糺の手指の爪は誘拐犯によって全部はがされて、手は血まみれになりながら、美々香と交信しあい推理をする糺。

    15年前と同じ身代金3千万円を要求されます。
    警察も介入してきますが、糺は美々香だけを頼りにしています。

    しかし用意した3千万円は全くのダミーでした。
    犯人の狙いは他にありました。


    この話すごくマニアックだと思いました。
    糺をさらった人物以外の操っている「X」という人物が誰か、登場人物表を見ても全くわかりませんでした。

    美々香の耳のよさというのは、脳の働きによるものだそうで、これからの美々香の活躍を期待します。
    最後の最後まで騙されて、楽しめるミステリーです。

  • ★5 巧妙なプロットと魅力的なキャラが圧巻! 新時代 誘拐ミステリーの傑作 #録音された誘拐

    ■レビュー
    面白い! もうこれ、そのまま映画でいいですよね。
    ミステリー作品としての深みが超絶えげつない。

    プロットが練りに練られてるんですよ。
    誘拐、過去の事件、耳の謎… 入り組んで展開されるストーリーが読者を引き付けまくり。是非読んでみて体験してください、めっちゃ上手いですよ、コレ。

    また登場人物がしっかりキャラクター付けがされていて、魅力たっぷりなの。
    全キャラクターにしっかり命を吹き込もうという意識が感じられます。

    推しはやっぱり美々香。手に汗を握りながら応援しちゃいましたよ。青依青さんの装画が可愛すぎてキュン死ねるし。
    刑事の川島と板尾のコンビも、やり取りが可愛らしくておすすめです。

    そして肝心なミステリーとしての出来なんですが、これもまた素晴らしい。まさに新時代の誘拐ミステリーで、二重三重にも組み込まれた謎解き要素。
    徐々に謎が見えてきて、終盤からの真相解明が綺麗すぎる。そしてなんと… もうすべてが完璧でしたね。

    本作ですがミステリーとして文句の付け所がないところが、文句の付け所かもしれませんね。ミステリーファンは大喜びですが、ライトユーザーはしっかり丁寧に読むことをおすすめします。
    装画の可愛さや魅力的なキャラにつられて気軽に読んでいくと、中身の重厚感に圧倒されちゃうかもしれません(そのくらいレベルが高いという意味です)。

    ■推しポイント
    まずひとつは、阿津川先生の意気込み。
    マジで命の削って書いてるんじゃないですか?と、心配になるくらい作品全体から情熱を感じる。緻密に緻密に作り上げたなという熱量がハンパないです。

    もうひとつは、やっぱり仲間たちへの情愛でしょうね。
    私も日々会社員をやっていますが、同僚たちの能力と勇気を信じて仕事に当たれているのか。仲間たちに貢献ができているのか、振り返られずにはいられませんでした。

  •  『透明人間は密室に潜む』に収められている「盗聴された殺人」の続編です。「盗聴された殺人」も面白く読めたけれど、この作品はなお面白かったです。ヒボさんのおすすめで、「透明人間は密室に潜む」から読んでたのもよかったです。ありがとうございました!!

     大野糺(ただす)が営む大野探偵事務所には、人並外れた聴力をかわれ助手となった美々香とソーシャルワーカーの勤務経験を持つ望田が在籍している。大野家で長女の早紀の誕生パーティーが開かれていたその日、美々香は大野家を訪ね、糺が誘拐されたことを知る…。折しも美々香の父の健康状態が不安定になっていた時期と重なり、美々香の父の対応は望田が、そして誘拐事件を美々香が対応していくことになる…。美々香の指摘により、大野家が隠していた15年前の過去があきらかになっていくが…糺の誘拐事件とのつながりは?そして犯人は誰か??

     スゴイですよねぇ…。ホント、こうではないか…いや、こうでした…実は、全く違ってました…みたいな(汗)。とにかく、読み手を飽きさせずにテンポよくストーリーが展開します。特に誘拐の手口…鮮やか~で、最後の最後に…びっくり!!感服しました。

    • かなさん
      ヒボさん、こんばんは!
      今日もお疲れ様でした♪
      そうなんですよね、結構50%のハードルが高くって(^-^;
      レビュー作成すると
      すぐ...
      ヒボさん、こんばんは!
      今日もお疲れ様でした♪
      そうなんですよね、結構50%のハードルが高くって(^-^;
      レビュー作成すると
      すぐに他にも読みたい作品が出てきちゃう…!!

      もっと、読書を思いっきりできる環境ならいいのにぃ…
      って、声を大にして叫びたい!!ですよね!
      2023/12/12
    • なおくんさん
      かなさん、こんばんは!
      いつも、ありがとうございます
      この本が気になったので本棚物色してたら結構購入してしまいました笑

      また購入の参考にさ...
      かなさん、こんばんは!
      いつも、ありがとうございます
      この本が気になったので本棚物色してたら結構購入してしまいました笑

      また購入の参考にさせて頂きますね
      よろしくお願いします♪

      2023/12/19
    • かなさん
      なおくんさん、こんばんは!
      こちらこそ、いつもありがとうございます(*^^*)
      アイコンとハンドルネームが変わったので
      あれぇ~??と...
      なおくんさん、こんばんは!
      こちらこそ、いつもありがとうございます(*^^*)
      アイコンとハンドルネームが変わったので
      あれぇ~??と思ってました!
      なんか、可愛くなりましたねっ♪

      この作品、面白かったですよ!
      ブクログの読書家さんのおすすめって
      ホント、期待を裏切らないんですよねぇ~
      とってもありがたいです!
      ぜひぜひ楽しんでくださいネ♡
      こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いします。
      2023/12/20
  • 阿津川作品2冊目の読了。

    辰海ぃ~そりゃないよ~

    「透明人間は密室に潜む」(短編集)で言ったじゃん!シリーズ化はしないって...
    なのに、なのに...
    やっちゃったね。
    「盗聴された殺人」のコンビ復活じゃん( ̄▽ ̄;)

    良くやった!!
    褒めて遣わす( ๑´•ω•)۶ヨシヨシ

    やっぱ辰海は化け物だよ。(←褒め言葉)ウンウン

    どんだけ伏線張り巡らせたら気がすむの???
    キャラもいい!!
    でも、やっぱりこれだけどんでん返しを詰め込まれると未熟な読者である私は完全に混乱させられるのである(▭-▭)

    それでも見えてくるんだよなぁ...

    辰海が読者に見せたかった景色。
    令和版日本三景か( `・д・)っ))ナンデヤネンッ

    ダメだ...

    まだ2作品しか読んでないけど、私は辰海の虜です。

    <あらすじ>
    誘拐されたのは探偵。家族の危機を救うのも探偵。謎めいた依頼を受けたのも探偵――誘拐犯に立ち向かうのも探偵。 大野探偵事務所の所長・大野糺が誘拐された⁉ 耳が良いのがとりえの助手・山口美々香は様々な手掛かりから、微妙な違和感を聞き逃さず真実に迫るが、その裏には15年前のある事件の影があった。 誘拐犯VS.探偵たちの息詰まる攻防、二転三転する真相の行方は……。 どんでん返しに次ぐ、どんでん返し!新世代本格の旗手が描く今年最大の逆転ミステリー開幕。 本当に騙されていたのは誰だ?
    この小説は、耳が聞こえることを利用したトリックや伏線、意外な展開や結末などが評価されており、著者自身もこの作品に3年分の心血を注いだと語っている力作です。



    彼女は誰より耳が良い。すべての音が手掛かりになる。
    ――この真相は、たぶん、あなたには聞こえない

    大野探偵事務所の所長・大野糺が誘拐された⁉ 耳が良いのがとりえの助手・山口美々香は様々な手掛かりから、微妙な違和感を聞き逃さず真実に迫るが、その裏には15年前のある事件の影があった。誘拐犯VS.探偵たちの息詰まる攻防、二転三転する真相の行方は……。新世代本格ミステリーの旗手が描く今年最大の逆転ミステリー開幕。 本当に騙されていたのは誰だ?

    • かなさん
      ヒボさん、こんばんは!
      私もこの作品、気にはなってました。
      でも読みたい本たくさんあるし…と思って
      読むのを躊躇してたんだけど、
      ヒ...
      ヒボさん、こんばんは!
      私もこの作品、気にはなってました。
      でも読みたい本たくさんあるし…と思って
      読むのを躊躇してたんだけど、
      ヒボさんの熱いレビューから
      もしかして読まなきゃイケナイ感じかなぁ…(^-^;)

      ちなみに阿津川辰海さんは
      「紅蓮館の殺人」と「蒼海館の殺人」は読んでますよ♪
      チーニャさんからのおすすめいただいて読んだんですけど、
      面白かったです!!
      2023/08/14
    • ヒボさん
      かなさん、こんばんは♪

      辰海の虜になったヒボです^^;
      蒼海館を入手してから読もうと思い、紅蓮館の殺人は絶賛長期積読中です(笑)

      辰海マ...
      かなさん、こんばんは♪

      辰海の虜になったヒボです^^;
      蒼海館を入手してから読もうと思い、紅蓮館の殺人は絶賛長期積読中です(笑)

      辰海マジスゴイです。

      でも本作読むなら先に「透明人間は密室に潜む」を読んだ方がいいかも。

      短編ってあまり好きではないんですが、別格です!!

      どんでん返しの連鎖が止まりませんo(ミ゚ロ゚ミo )( oミ゚ロ゚ミ)o

      こんなの書いてて混乱しないのかなぁ((。_。).。o?


      2023/08/14
  • 阿津川辰海さん初読です
    とんでもない本の虫でいろんなところに解説や書評を書いてらっしゃる方というのは耳にしておりました
    もう親近感しかないですよね
    もう仲間です身内です(勝手に言わせて下さいw)

    近年の科学捜査はもう一足飛びの進化を遂げていて、対峙する犯罪者と推理作家は日夜苦しい闘いを強いられている現代、「逃げ」というのも立派な選択肢のひとつだと思うんですよね
    (これほどまでに進化した)科学捜査のない時代、地域、環境を設定とする推理小説ですよね
    例えば昭和初期!とかメキシコ!(科学捜査はあるが実施する警察があてにならない)とか絶海の孤島!とかね
    「逃げ」と表現してしまいましたが、別に面白ければそれでいいんです
    立派な手法です

    しかしながら本作はそんな科学捜査に真っ向勝負を挑んでいます
    二重三重の目眩ましをかけながら
    しかもあえて科学捜査の進歩により成功が難しいとされる営利誘拐を題材に選びながら
    いや〜あっ晴れ!

    これは一読の価値ある「謎解き」であります
    しかし最近の日本人推理作家はすごいなぁ

  • 真実、犯人は音の中に?の一冊。

    大野探偵事務所のメンバーをたっぷり、がっつり読まされた誘拐ミステリ。

    音から手がかりを見つける能力に長けた山口美々香が、誘拐された大野糺所長をどう救うのか。

    そして並行するかのように浮上する美々香の実家問題と、もう、音から、誘拐の工程から、目はもちろん耳が離せない。

    この事件の裏側のドラマ、練りに練られた真相からのまさかの驚き、最高最強タッグには思わずブラボーの嵐。

    これは神経研ぎ澄まし、頭脳フル回転の賜物だ。

    みんな良い仕事をしたな、阿津川さん、巧く仕掛けてくれたなぁって…しみじみ。

  • 誘拐されたのが探偵事務所の所長である大野糺。
    そこから事件は始まるのだが、場面の変化に最初は戸惑う。
    展開が早くて自分の中で消化しきれなかったが、耳が良いとされる助手の山口美々香の頭のきれの良さや探偵気質が高いといったところが印象に残った。
    刑事たちの出番がないほど。
    まぁ、細かな解説要員⁇に終始したようである。

  • 大野探偵事務所の所長大野糺が突然誘拐され、特別耳が良い助手の山口美々香がその聴力を使って犯人に迫っていくが・・・
    最初は登場人物が多すぎて内容を整理するのに時間がかかってしまっておりましたが、中盤以降は問題なく読み進めることができました。
    何より読者をハラハラさせるような展開と、美々香の耳の秘密に迫る場面は先が気になりすぎてページを捲るのが止まりませんでした。
    犯人と大野、警察と美々香、望田(探偵事務所の仲間)と医師・・・
    タイミングよく場面が切り替わり長編にも関わず全く飽きずに最後まで読み進めることができました。
    読了後は思わず「面白かった・・・」と独り言ちていました。
    久々にミステリを読んで、やっぱりミステリが好きだと。と私自身が再認識できた作品でした。
    そして是非とも続編、シリーズ化を切望します!!

  • 短編集「透明人間は密室に潜む」に収録されている「盗聴された殺人」の続編となります。
    やけに濃いキャラばかりの短編だなぁと思いきや、ちゃんとシリーズ&長編となりました。
    大前提を覆され、作者の手のひらで踊らされた部分と、トリックを見抜けた部分のバランスが私にとっては絶妙で楽しめました。(このバランスも作者の意図かもしれませんが…。)

  • 短編「盗聴された殺人」に登場した探偵事務所の所長、大野糺が誘拐され、資産家の実家に身代金が要求された。実家に居合わせた大野の助手、山口美々香は何度も事件解決に貢献してきた耳の良さを武器に警察と協力して事件の解決に挑む。また監禁された状態の大野も誘拐の実行犯、カミムラとの丁々発止のやり取りの中で真犯人に迫る。15年前の誘拐事件、近所で起きた殺人事件も複雑に絡み合ってどう収めていくのかわくわくして読み進めていったら、きっちり締めてきて流石だなー、となってからの更なる怒涛の真相。張り巡らせ過ぎじゃないか。してやられたわ。誘拐実行犯、犯罪請負人のカミムラがいいキャラしてる。再登場あるかな?

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著者プロフィール

1994年東京都生まれ。東京大学卒。2017年、新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」により『名探偵は嘘をつかない』(光文社)でデビュー。以後、『星詠師の記憶』(光文社)、『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)、『透明人間は密室に潜む』(光文社)を刊行し、それぞれがミステリランキングの上位を席巻。’20年代の若手最注目ミステリ作家。

「2022年 『あなたへの挑戦状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿津川辰海の作品

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