パラダイス・ガーデンの喪失

著者 :
  • 光文社
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914196

感想・レビュー・書評

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  • 久々の葉崎市もの。今回は二村警部補の骨太ながら情も頭脳もある活躍ぶりに感心。いつもながらいろんな群像劇からの大団円そして最後の最後にもう一捻りと楽しめたが、殺人事件とは別の諸問題がまだ未解決のような。それは次作に期待という事かな?

  • 葉崎市シリーズ8の一冊。

    今作はコロナ禍真っ只中、素敵な庭園にいきなり登場した死体からスタート。
    そこから老人ホーム詐欺事件だの、誘拐だの、何がどうなってどう繋がる?をどんどん掻き立てられ、パッチワークのように色とりどりの布、いや、人物がユーモアとビターで交錯していく過程はややこしながらも止まらない。

    そして最後はどんな大きな緻密に創作されたであろうパッチワークが出来上がるのかワクワク感が止まらない。

    チクチクパタパタ全てのパーツが繋がる終盤、そして…げっ!見事に真っ黒なほくそ笑みがここに。

    これぞ人が持つ強毒。

  • コロナ禍での葉崎市、山の中腹にある個人庭園「パラダイス·ガーデン」で身元不明の老女の自殺体が発見された。身元を特定する役目を押し付けられた二村警部補が捜査を進める過程に絡むように、葉崎市住民が入れ替わり立ち替わり登場してそれぞれの黒い胸のうちを晒していく。コロナ禍なのもあって住民のイライラ度高し。登場人物が多くて皆自分勝手に動くので立ち位置把握が大変。でも群像劇が好みなので面倒くさいのも楽しい。そして一見別々に起こっている詐欺や殺人事件がパッチワークの様に次々繋がっていき、全ての真相が明らかになった瞬間は唸った。小さなネタまできちんと組み込んでいるし、ラストそこから持ってきたか!黒いな!と膝打ち。葉崎市シリーズはこうでないと。

  • 本格探偵推理小説ですね。
    若竹さんの作品を久しぶりに読みました。葉崎市シリーズの最新版ですが、今回は殺人事件が主題。探偵も二村警部補ですが例によってドタバタの内に真相究明に近くブラックユーモア絡みでした。
    若竹さんにしてはかなり書き込みが多い作品に成っています。キャラクターが盛りだくさんでそれぞれの物語が複雑に交差してオールスター総出演のバラエティーエンターテイメントサスペンスミステリーに成っています。
    高老者が大活躍の物語で人間模様もかなり込み合っていて、頭の中で整理しながら物語を楽しみながら読み進めました。
    まだまだ元気に活躍してもらいたいですね。

  • 30年かけ、母娘が作った個人庭園で、見知らぬ女性が死んでいた。
    二村貴美子警部補は、その身元確認と、西峰地区の調査を押しつけられ……。

    葉崎市を舞台にしたシリーズ。
    葉崎市にもコロナはやってきたのだなぁと、しみじみ。

    警察の空回りぶりに、他人の不幸に首を突っ込む下世話さ。
    どたばたしつつ、シュールでブラックな世界観は変わらず。

    登場人物が多く、トラブルがてんこ盛り。
    なかなか複雑で、まさにパッチワークのようなストーリー。

    読後感はビター。

  • 登場人物が多くて混乱する。これはじっくり確認しながら読んだほうがいいだろうと思い、いつもよりゆっくり読む。最初はバラバラだった、そのたくさんのピースが最後の章でピッタリハマってくる。なかなか気持ちいい。

  • 面白いに違いないから、大事にじっくり読んだけど、やっぱりビターで面白い!ブラックではないところが好ましい。
    葉崎シリーズは人間の嫌らしさが生々しく迫ってきて、いらっともやっとさせる、人物描写に優れている。今回はコロナ騒動と絡めて、老年よりの中年から老人が大暴れ(?)して、元気で頼もしい。
    作者お得意の、バラバラパーツが集まって、壮大な絵を描く手腕も見事で、一見関係なさそうな描写があとからつながって、さながら今回のテーマのキルトのパーツ名からのパッチワークがノンストレスで紡がれる。膨大な登場人物の絡みや関わりは、恩田陸のドミノを彷彿。
    女警官、二村さんもステキ。美貌の…ではなく、フッツーのおばさんが元気に頑張ってくれると、もうそれだけで明るい未来が見えてくる。
    ちょっと人物多過ぎて、その後の道程がわからぬまま、匂わせフェードアウトな人もいるのでそこは残念。もっと知りたい!コスモくんとかね。
    ラストは…しっかりモヤルけど、勧善懲悪にならないところがまた、若竹節のスパイス効いてて痺れる!

  • この題名を喪失しそうでした。

    キルトに支配されて、多すぎる登場人物が
    クレイジー・キルトのピースのようで。
    何人死んだ?何人殺された?
    クスッて笑っている間に事件が起こって。
    二村さんが出てきてからは、ラストまで一気読みでした。



    二村貴美子さん!追いかけて~!ひつこく!ひつこく追いかけて、ご主人の仇をとって!

  • 「葉崎市シリーズ」は初読み。コージーミステリと言いながらなかなかの読み応え。

    作品の中にキルト作家が登場するが、この作品自体がまさにキルト、それも細かい柄からなる巨大なキルト。そしてその色調は若竹七海だけあってかなりどす黒い。
    まるでパッチワークを形成するハギレのように登場する個性豊かな登場人物。複雑に絡み合い、一筋縄ではいかない人間関係。次々と起こる一見関係なさそうな事件が、一本の糸で見事につなぎ合わされていく過程にワクワクしっぱなし。

    メモをとりながら読んでも終いには書ききれないほどの情報量の多さと、仕掛けの複雑さにもはやついていくのがやっと。
    それでも、全ての伏線が見事に繋がり、一人の女性の人生の悲哀まで描かれた日にはもう完敗。
    参りました。これだから若竹七海はやめられない。

  • いろんな話が折り重なっているんですね。
    複雑に感じました。
    自分にはもう少しシンプルな方がいいです。
    ラストはびっくりしました。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

若竹七海の作品

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