コロナと潜水服

著者 :
  • 光文社
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感想 : 285
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913779

感想・レビュー・書評

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  • レビューを拝見して読みたくなった本です。ありがとうございます。

    奥田英朗さんを読むのは『ナオミとカナコ』に続く二作目で、この作品は全く違うあたたかい作風で驚きました。

    短編が五編です。
    どの短編も、共通点は不思議な人(車)が出てくるところです。

    「海の家」には6、7歳の男の子の幽霊。その幽霊のおかげで、主人公は命拾いをします。お盆に読むのにぴったりなお話です。

    「ファイトクラブ」は早期退職者の勧告に抵抗した家電メーカーの社員らが追い出し部屋に追いやられた先でボクシングを始める話。どこからともなく現れたボクシングのコーチ。

    「占い師」はこの短編集唯一の女性が主人公です。ぴたりと当たる占い師ですが、現代的な女子アナが恋愛相談をします。

    「コロナと潜水服」は新型コロナに感染しそうになったり感染したことを察知する超能力がある5歳の男の子がでてきて愉快な話でした。

    「パンダに乗って」は55歳になる主人公が買った初代ファイアット・パンダ84年型の赤がそのパンダの元の持ち主にかかわる人々のところへ連れていくカーナビが活躍します。このお話もお盆に読むのにぴったりな泣ける物語です。

    お盆休みに読むのにぴったりな短編が2作入っていますので、お盆休みに読む本が決まっていらっしゃらない方は是非、選ばれてみてはいかかでしょうか。

    • HARUTOさん
      おはようございます
      本当に読後感がいい作品でした。
      10月に新作が出るんですね。それまでに伊坂さんの作品をもう少し読んでおきたいです。どの作...
      おはようございます
      本当に読後感がいい作品でした。
      10月に新作が出るんですね。それまでに伊坂さんの作品をもう少し読んでおきたいです。どの作品がいいですかね
      2021/08/15
    • まことさん
      HARUTOさん。おはようございます!

      HALUTOさんの本棚にある、本でいいと思います。
      「逆ソクラテス」「重力ピエロ」「ラッシュ...
      HARUTOさん。おはようございます!

      HALUTOさんの本棚にある、本でいいと思います。
      「逆ソクラテス」「重力ピエロ」「ラッシュライフ」「ホワイトラビット」などが特にお勧めです。
      他ではもし未読であれば「アヒルと鴨のコインロッカー」「死神の精度」「死神の浮力」。「アイネクライネナハトムジーク」「陽気なギャング」のシリーズもお勧めです。
      本棚の「仙台ぐらし」や「3652」などのエッセイも、伊坂さんのことを知れていいかと思います。
      2021/08/15
    • HARUTOさん
      おはようございます
      ありがとうございます、逆ソクラテスは評価も高くて新しいみたいなので読んでみますね。主人公が小学生っていうのも楽しみです。...
      おはようございます
      ありがとうございます、逆ソクラテスは評価も高くて新しいみたいなので読んでみますね。主人公が小学生っていうのも楽しみです。
      2021/08/16
  • 奥田さんのコメンテーターのレビューで
    この作品を勧めてる人をチラホラ見かけたので
    手に取った一冊です。


    ちょっと不思議な物語の短編集でした
    軽く読めるしちょっとした空き時間にオススメです


    どの作品の人たちも最後は前を向いてて
    読んでて元気が出ました


    でもやっぱり短編は物足りないーーー!笑
    なんか最近短編によく当たるような。。
    (前情報をほぼ入れずに読むから
    短編かもわからず読み始める私。笑)

    次はがっつり長編読もうと思いますー!

  • 19人ですよ、19人!
    本日の東京都の新型コロナ感染者数。すごい減った。信じられない数だ。
    ワクチンの効果と、おそらくウイルス自体にもなんらかの変化が起きているんだろう。東京都は「リバウンド防止措置」も終えて明日から「基本的対策徹底期間」となるとのこと。さあ、通常生活に戻っていこう。

    さて、この本は、日常の中のちょっと不思議な(オカルトチックな)出来事を綴った短編集。表題作を含め5編。怖くはないので手軽に楽しめる。

    表題作は新型コロナそのものが未知ではなくなりつつある今読むと、面白さが半減してるかな。
    僕が好きなのは「海の家」と「パンダに乗って」。少なくともおじさんは楽しめる短編ではないかと思う。

    巻末に作中の登場曲が楽しめるプレイリスト付き。こういうのって嬉しい。「パンダに乗って」に登場するワム!、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ポリスはあまりに直球80年代で…涙

  • 久しぶりの奥田作品。

    様々な作家さんがコロナを取り上げる中、奥田さんが描く表題作はコロナに侵される心のリアルと逆にとぼけたユーモアと家族の絆が表現されて楽しめた。
    新型コロナウイルスが騒がれ始めた頃の混乱振りと何としても家族を守らねばと奮闘する主人公と、不思議な能力を持つ幼い息子、そして何故か落ち着き払っている妻。
    わずか一年前のことなのに懐かしく思う部分もあり、奮闘のあまりに滑稽な方向に暴走しているのを笑えないように感じる部分もあり、そして性格も考え方も違う三人家族がとても良いトライアングルになっていてホッとする。

    他に
    妻の不貞に狼狽え怒り(短期間だが)別居しようと借りた海辺の家で少年と出会う作家の話
    リストラに応じない社員たちが集められる工場で始まったボクシング教室とボクシングコーチの話
    交際中のプロ野球選手の活躍に一喜一憂するあまり振り回されるフリーアナウンサーと怪しげな占い師の話
    念願だった初代フィアットパンダを入手しいざ帰ろうとするとナビに思わぬ寄り道ばかり案内される話
    の四話が収録されている。

    いわゆる怪異系の話なのだが怖さは全くない。むしろピンチや迷路に迷い込んでいる主人公たちを救ったり背中を押してくれたり、最終話のように不思議な相棒とのロードノベルのようになっていたり楽しく読める。
    逆に彼らもまた主人公たちに背中を押してもらって一歩踏み出したのかも知れない。それを成仏と呼んで良いのかは分からないけれど。

    短編集でテンポ良くあっという間に読めたが、中身は結構詰まっている。日本だけでなく世界中がギスギスしている中、ホッと出来るひとときを過ごせた。

  • 不思議×温もり=最高の癒しの一冊。

    不思議×温もりの絶妙なブレンドの五編がもたらした答え、それは自分にとって最高の癒しだった。

    "不思議"がもたらすメッセージに心が温かくなり、自分なりにそれを咀嚼していく主人公達の姿に思わず頬が緩む。

    表題作は笑いもありながら家族の絆、温もりを味わえたのが良かった。

    「パンダに乗って」はラストにふさわしい読後感。

    まるで優しさと温もりを再確認して心のアルバムにしっかり貼り直されたかのような思い出たち。
    それは永遠の思い出たち。

    本で癒される、その感覚をめいっぱい楽しんだ。

  • 読み終えてホッコリとした気持ちにさせてくれる1冊。面白いのはコロナと潜水艦。
    なんぼなんでも潜水服を仕入れてくるかね、奥さん。
    そんなツッコミも一瞬で笑い流せるコミカルタッチなストーリーは、最後まで一気に読了できた。

  • 【第136回】第五波の中で再び最新の「コロナ小説」を読む|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま
    http://www.webchikuma.jp/articles/-/2504

  • 海の家
    めっちゃ良かった!
    主人公の内面がスルッと描写されてるのがすごく読みやすく、タケシくんとの関わり方もあっさりとしていて好感を持てる。妻の不貞への対応や娘による評価も、こういう感じって納得!あるある!って感じで。
    ただクライマックスが、私としては残念で、妻に言われるがまま東京に戻らず、タケシくんの家に戻って欲しかった…でも主人公としては、従わざるを得ないんかなぁ、とかね。

    ファイトクラブ
    これも良いね!中年リストラ直前のオッサン達が、還暦過ぎのジイサンからボクシングのコーチを受けるという、もう面白すぎ!
    「明日が待ち遠しいなんて、ずいぶん久しぶりのことだと、邦彦は感慨に耽った。人には日課が必要なのである。」
    ここ、なんか好き。
    そして鍛えた?ボクシングの技で窃盗団に立ち向かう所も最高よね!ボクシングについてもいっぱい取材したんやろうなぁー!すごいわあ
    そして、オチも好きでした。「海の家」からの繋がりで、そんな感じもしてたけどさ。しみじみ。

    占い師
    奥田さんは女性の心理描写もすごく上手い。
    「自分とあの女子アナの差は、バッグで言えばサマンサタバサとエルメスくらいのちがいがある。」上手いよねー!笑
    これも「海の家」からの繋がりがあるし、「鏡子」なんて名前がいかにもではあるけど、声に出してスッキリ、ていうのはやっぱりあるよね。
    「男と違って、女の人生は何通りもある。だから、どれを選んでも別の人生があったのではと思えてくる。もう一人の自分が、どこかにいるんじゃないかと思えてくる。」
    それでも懲りない麻衣子が、好意的に感じられる。

    コロナと潜水服
    時代に応じた作品て、やっぱり面白い。
    防護服でも雨合羽でも何でも良いから買ってきて!に応じて見つけてきたのが、潜水服!あるかよそんなもん笑
    「足ヒレは?」「それがあるとコーディネイト完成でしょう」
    ウケるよねー!笑
    と思っていたら、最後は感涙。
    いいなぁー。
    「あなたも妊娠すればわかる」
    「人類の鎖が、またひとつつながる。そう思ったら、胸の中が、しあわせな気持ちでいっぱいになった。」

    パンダに乗って
    これも良かったなぁ。
    結局一冊まるまる、そういうファンタジーというかオカルトというかフィクションというか、そういう系だったけど、とにかく心温まる。
    読めて良かった。

    私はあんまり音楽に詳しくないから残念だけど、作中に登場する曲を知ってたら、もっと楽しめただろうなぁ。だからこそのプレイリスト付きなんだろうけど。いや、素敵でした。ホントに

    • しずくさん
      イイネをありがとうございました。
      後から皆さんの感想で、最後の短編になる「パンダに乗って」が好評だったので、読まなかったのが悔やまれます。...
      イイネをありがとうございました。
      後から皆さんの感想で、最後の短編になる「パンダに乗って」が好評だったので、読まなかったのが悔やまれます。図書館への返却日が迫っていて残念でした。またいつか再読しようと思っています。
      2021/06/27
    • なおこさん
      こちらこそありがとうございます!
      パンダ、良かったですよー!☆
      ぜひ、また借りてみてください♡
      私も音楽聴きながらもう一度読んでみたいと思い...
      こちらこそありがとうございます!
      パンダ、良かったですよー!☆
      ぜひ、また借りてみてください♡
      私も音楽聴きながらもう一度読んでみたいと思います。
      2021/06/27
  • 「ナオミとカナコ」を読了後にこちらの短編を。
    これまで奥田作品を数冊読んだけど、毎回タイプの違う作品でほぼはずれなし。
    不思議な力に引き寄せられる登場人物たち。
    読み終えてあたたかな気持ちになった。

    特に最後のフィアットパンダの話はちょっと泣けた。
    時代も自分が若かった頃とぴったりはまり、
    作品の中で流れる曲も懐かしくて。。

    車や自分の持ち物などに愛着を感じ、相棒のように思える時代があったなぁ。

    うん、良い話だった。

  • 死者や不思議な力を取り入れた短編集。

    ホラーかと思いきや、恨みや呪いなどはなく、明るい作品。

    家族と離れひとり暮らす、古家屋での不思議なできごとをえがく「海の家」。
    追い出し部屋の中年男性たちをえがいた「ファイトクラブ」。

    どちらも、不思議なできごとをからめながら、前向きな変化で、読後感があたたかく、よかった。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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