恋愛未満

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913427

感想・レビュー・書評

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  • 日常のあらゆる所に存在し、恋愛に至るようで至らない、男女の微妙な繋がりを巧みに描く。

  • 篠田さんはいつも誰かの苦しみを教えてくれる。でも苦しいだけじゃなくて最後は確かに救いがあって、あたたかい光を掴ませてくれる。現実もそうであればいいのになって思う

    ◯恋愛未満の感情って人を前向きに強くさせる。これから恋愛に変わっていくんだろうなっていう2人もいたし、そうじゃない2人もいた。恋愛になっていないからこそ甘くてどきどきすることって沢山あるんだなと。

    ◯最初は地域の吹奏楽団員の恋愛事情を描いたものだと思ってたけど、最初の2作だけだったのに最後に気付いたo(^_^)o時間が大学生で止まったままの津田?が2回りほど下の女の子の家に行くところはグロすぎて最高でした。「アリス」のタイトル秀逸すぎる!!センス!!

    ◯最後の作品は感情移入しすぎて苦しかった。愛する人の死が救済って残酷だけど、娘の人生には母の死が確かに必要だったと思う。母と娘ってほんとにむずかしーね

  • タイトル通り、恋愛まで行かない、思いを寄せた男への人間関係を描いた短編作。
    男はどの作品も騎士のような優しさと謙虚さをもった人間だが、少し普通の人とは違う人達。

    女性は行き遅れた中年女性とか世間知らずの妻、
    篠田節子らしい物語が進む。

  • 恋愛を外からみるような感じのお話

  • 「アリス」「説教師」「マドンナのテーブル 」「六時間四十六分」「夜の森の騎士」
    5話収録の短編集で1話&2話は連作。

    『アリス』で微妙な立ち位置だった津田の存在が2話の『説教師』で私の目にはヒーローの様に映る。
    人間、一部分だけで判断してはいけないと実感する。

    ガラリと趣が変わる『マドンナのテーブル 』は女同士のマウンティングと、分かり合えない夫婦の心理描写が秀逸。

    前半と後半でイメージが変化する『六時間四十六分』は清々しいラストとタイトルが絶妙。

    『夜の森の騎士』は重苦しさの中に僅かな救いを感じる。

    粒揃いの恋愛集。

  • 恋愛未満。大人の関係。人物が丁寧に描かれていて面白かった。

  • 友人、夫婦、母娘などにまつわる短編5話入。
    読み終わって本のタイトルを恋愛未満にした妙を思う。

    人の感情の細かな機微を描くのが篠田さんはとてもうまく、でもそれをサラリと読ませる腕前に一番好きな作家は篠田節子さんという自分の答えを確固たるものにしてくれる。

    本の内容は、ダメ夫やキモ男が周りに多くても、騎士的な存在に見える人が現れてほしいという女性側の心境を描いているのかなという感想。それが妄想や勘違いであっても。

  • 恋愛にまつわる5話からなる短編集。

    「アリス」
    50代という歳以外は全て好条件の男性が恋をした。
    相手は子供の頃から知っている10代の少女。
    その様子を周りで見ている市民バンドのメンバー女性の視点から描いた話。

     これを読んで、ちゃんとしたタイトルを忘れたけど、「男はみんな女が嫌い」のようなタイトルの本を思い出した。その本に書かれていた歳の差があるカップルはうまくいかない、何故なら一方は変わらず、一方は変化するから、という文だけずっと覚えていてそれを思い出した。恋愛をした事のない初老男性は純朴で恋愛下手で相手の気持ちが分からない。一方、女性の方はどんどん少女から大人の女性へと変化していくー。

    「説教師」
    1話目の登場人物たちが登場。
    市民バンドの中に、若くて可愛いが説教くさい女性がいる。その女性が救助のために山に入り遭難してしまう。
    その時に1話目で話の中心になった初老男性のとった行動はー。

    「マドンナのテーブル」
    中年の夫には学生の頃からの仲の良いグループがある。
    定期的にそのグループで会食をするが、その中に一人女性がいて、主人公である妻はやきもきする。

     見た目ただのオバさんで女性的魅力のないマドンナと夫との関係にイライラする主人公の気持ちが理解できた。ラスト、さりげない。

    「六時間四十八分」
    海外に住む娘のもとを訪れた主人公の女性。
    しかし、娘はいなくて列車の待合室で何時間も待つことに。
    そこで一人の男性と出会ってー。

    「夜の霧の騎士」
    認知症の母親と二人暮らしの女性。
    彼女は自分の半生を思い起こしながら気難しい母親と暮らしている。
    そんな中母親が手術をする事となり、病院のスタッフの男性と出会う。

    最初、タイトルに「恋愛」とついてるだけでちょっと尻込みした。
    恋愛小説は私には退屈で面白くない。
    だけど、この本は恋愛小説というよりは人間ドラマを見せてくれる本だった。
    主人公がどの話もある程度の歳だから共感もできた。
    とても繊細でしっかりした文章で書かれていて安心して読めたし、その中にちょっとだけ恋愛感を感じられた。

    最初の話、2話目と同じ登場人物だったので、他のもそうかと思ってたらそうでなく、肩すかしにあった気になった。
    最初の2話と後半3話では少し話の雰囲気が変わったように思う。

  •  篠田節子の短編集、五題。恋愛に至らない男と女の物語。

    アリス ボーイミーツガール1
    説教師 ボーイミーツガール2
    マドンナのテーブル
    六時間四十六分
    夜の森の騎士


     若い娘に恋するアラフィフ男の振られ、そして若い娘の恋愛の始まり

     可愛らしい顔立ちでよく気もきくのに、上から目線でしか人と接することしかできないために男性に逃げられてばかりいる女子の恋の始まり

     夫と学生時代の「マドンナ」との浮気を疑う妻と、その疑惑の氷解のお話

     友人が同行してくれたアメリカ旅行が実は不倫旅行のダシにされていた。それに怒り、ひとり旅を始めた女性。その女性がアメリカの片田舎の駅で出会った日系男子との恋愛に至るかもしれない温かいお話

     認知症の母の病院での看護のなかで出会った「ナイト」放射線技師との恋愛に至るかもしれない話


     それぞれの短編がドロドロの恋愛模様とはかけ離れた、まさに「恋愛未満」小説。

     日常の喜怒哀楽の心理描写のなかで、恋人でも友達でもない男女の心の機微を描写する。ストンと心にはまります。

  • なんだかゾワッとする。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

篠田節子の作品

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