心音

著者 :
  • 光文社
3.51
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912758

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    城石明音は先天性の心疾患を患っていた。
    8歳の時に病状が悪化し、両親は渡米しての心臓移植手術を決断する。
    しかし、そのためには1億5千万円という莫大な費用が必要だった。
    懸命の募金活動の末、募金額は目標額を超え、明音はチャーター機でアメリカに渡った。
    幸いドナーも見つかり、手術も無事に成功し、明音は一命を取り留めた。
    誰もが明音の生を祝福しているかのようだった。
    このときまでは―。


    募金活動と心臓移植手術によって命を救われた少女・城石明音の半生を、
    教師、同級生、夫など周囲の人間の目を通して描いた、
    人間ドラマでした。
    助かる為には、心臓移植しか方法がなく、
    1億5千万円の寄付金により海外で移植を受け救われた明音。
    明音の、心臓移植を受けた人のその後の人生が垣間見れました。

    テレビで何度か見掛けていました。
    心臓移植の為の募金を募るお話。
    渡米したお話。成功し帰国した映像…等々。
    私は深く考える事無く、良かったねって思っていた。
    でも、この物語に描かれているように、こんなことが現実に起きてるんだろうか…。
    起こっているのだとしたら余りにも酷い。
    本人は幼い頃から病で苦しい思いをし続けていて、
    何が悪い訳でもないのに、成功すると誹謗・中傷・虐めの嵐。
    どうしてそうなっちゃうの?
    ここに描かれている明音が素直で優しい女の子だから、いじらしい女の子だから
    余計に感じるのかもしれないですが、
    確かに身近に同じ境遇の子供が居て酷い生活態度や人柄だったら
    残念に感じてしまうのかもしれないなぁって思ってしまいました。
    母親の言葉は正論です。
    でも、そこまで厳しく戒めて生きていく事を強要するなんて…。

    明音には幸せになって欲しかったです。
    幸せになったかと嬉しく感じたけど…凄く大変な状況に置かれる。
    こんなにもこんなにも辛い人生を歩ませなくてもいいじゃないって言いたい位でした。

    レビューを書いていても全く纏まりません。
    読んで下さっている方ごめんなさい。
    色んな事を知る事が出来て良かったとは思いました。
    読んでて切なくて辛いお話でした。
    救いのないお話でした。

  • 今まで深く考えたこともなかった世界に焦点を充ててくれた作品。

    募金、移植で救われたその後…考えたこともなかっただけにこれはずっしりと響いてきた。
    善意の裏に潜む悪意。
    どこまでが真実なのかはわからないけれどネット社会の今だからこそ、付いて回る、溢れる悪意があるのかもしれない。
    笑顔でいることの意味深さ、大切さ。命をいただいて良かった、と自然に生きられない、生きなければいけないつらさには言葉が出ない、涙しか出ない。

    心の中だけでつらい音を奏でている、奏でるしかできない人がいる。
    こうやって小説という形で伝えてもらって良かった。

    少しでも寄り添う人が増えるといい。
    この小説がそんな世の中へのきっかけになればいいな。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      先週から娘のところに行っていたよ。
      行くまでの準備、帰ってきてからの片付け…
      ふぅ、読書が全然進まなかっ...
      こんばんは(^-^)/

      先週から娘のところに行っていたよ。
      行くまでの準備、帰ってきてからの片付け…
      ふぅ、読書が全然進まなかったね(笑)

      でも、いっぱい食べて遊んで楽しい数日間でしたヾ(≧∪≦*)ノ〃
      映画も2本観たしね、なんと言っても豆柴カフェ、これが可愛くて幸せな時間でした(⁎˃ᴗ˂⁎)

      乾ルカさん、未読だわ。
      というか、私ずっと乾くるみさんと間違っていた(笑)
      イニシエーションラブの映画がイマイチであんまり好きになれなくて…
      全然関係ない乾ルカさんまで遠ざけていたよ。
      どんな作品を書く人だろう?
      心音、重い感じかな?
      2019/05/26
    • くるたんさん
      そうだったのね♪♪
      いいね、いいね、楽しい時間( ˃̵͈ ˂̵͈ )♡

      娘ちゃん、バリバリがんばってるかな?体調もバッチリ⁇

      うちは主人...
      そうだったのね♪♪
      いいね、いいね、楽しい時間( ˃̵͈ ˂̵͈ )♡

      娘ちゃん、バリバリがんばってるかな?体調もバッチリ⁇

      うちは主人が今年度から休日出勤で、さらに読書が進むわぁ。なんか複雑。

      私もイニシエーションはダメだったー、だから他作品は読んでないよ(๑•﹏•๑*)

      ルカさんは温かい作品が多いから好きなんだ♪

      「てふてふ荘へようこそ」が有名みたいだね。読んでないけど。

      こちらは重いけど読んで良かった作品よ♡

      ちょっと母親の言動が気になるからかわいそうだったけど。
      2019/05/26

  • 心音
    多額の募金を集めてアメリカで心臓移植を
    受け生きることができた少女 明音。

    彼女がその後、どんな風に考え、
    どんな環境で生きたか、
    どう生きなければならないと
    その背中に枷を負って生きたのか。

    心臓移植を受けたことによって得た命。
    それは生き延びた命であり、生かされた命。
    多くの善意によって生かされた命は、
    どんな苦痛に侵されても逃げ出すことを許されず。
    誰かの代わりに生きているといえる事実は、
    常に感謝の気持ちをもち、正しく、慎ましく
    生きることを求められる。

    こんな風に考えたことがなかったので、
    とても胸に沁みました。
    無知な自分を恥じました。
    そして、小説というカタチで教え気づかせて
    もらえた事に感謝してます。


    一つの事象は見る人にとって一面しかないが、
    別の人が見ると又違う考え方がある。

    自分とは違う境遇の人が、同じ一つの事について
    どう感じるのか、想像するのはとても難しいこと
    だと教えられました。 


    〜本文より〜
    意味のない人生はない、人には必ず役目がある。


    与えられた役目を考えずにはいられません。

  • 多額の募金を集めて渡米し、心臓移植手術をうけて生きられることになった少女のお話。

    読み始めて驚愕!思ってた話と全然違う!私は少女が優しい気持ちに包まれながら、まわりに助けられながら成長していく優しいお話を想像していたのに。え…こんなことあるの?ってくらい酷い、心が痛くなる。

  • 恐ろしすぎる。
    小説ならではの誇張があるにせよ、
    現実に何もなければ、
    こんな話が作られるはずない。


  • 心臓移植を巡る物語。

    命を助けるためには渡米して
    ドナーから心臓移植を受けなくてはならない
    そのためには大金が必要

    このお金を募金で得なければならなかったのが
    悲劇の始まりなのだろうと思う
    しかしそれ以外の手だてはないのだ

    一億五千万円…

    この金額が多くの人を苦しめる

    同時期に同じ境遇だった少女は
    寄付が集まらず助からなかった
    あっちは助かってこっちは死んだ
    運で片付けるにはあまりに悲しい

    そして助かった方の少女も
    そのことで表でも裏でもいじめを受ける
    人は勝手なことを想像して勝手なこと言うからね

    これまで目にしてきた
    このような子どもたちはどう生きていってるのだろう
    この物語はフィクションだから
    現実はこうじゃないと信じたい
    いろんな考えはあるだろうけど
    命は素晴らしいものなのだから
    みんなで大事にしていかなければ
    どの人の命だって

  • とっても辛い話。

    この歳にして恥ずかしながら、
    こういう世界を私は知らなかった。
    けどたくさんいるんだろうな。

    無知って暴力にもなり得るから
    いろんなこと知っておきたいと思う。

  • 読んでいる間、ずっとシンドかった。

    自分でもニュースなどで見た時には色々と感じるところがある話題。
    …立場の違いかな…

  • 城石明音は1億5千万円の募金を集めアメリカで心臓移植し成功する。私なら良かったなあと単純に思うのだが、学校で陰湿な、いじめにあう。1億5千万で命が買えるのだとか、まだ生きているのかなど、次々にメールなどで同級生が攻撃。手を出していないからいじめじゃないとうそぶく女の子。学校で唯一の見方は音楽教師の美智子。音楽準備室でバイオリンを弾かせて、楽器と親友になれと諭す。高校では知った子がいかないような所を選ぶが、一人いた。知られないように明るく過ごすが、そのこのためばれ、またいじめが始まる。やがて就職し、結婚するが、継子を残して旦那が急死。継子が自転車で女の人にぶつかり、寝たきりにしてしまう。その人が死にたいといったので明音は機械のスイッチを切るが補助機械が作動失敗する。

  • 乾作品は、いつもそうだが、描いて良い範疇を超えている、と一瞬感じる。しかし、描いている内容は、決して虚偽ではなく、真実なのだ。この作品も臓器移植を扱った極めて表現の難しいものだが、一歩踏み込んで心理描写しており、結果、迫力が増している。凄い。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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