- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334910730
感想・レビュー・書評
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犯罪傾向を持つ邪悪な人間を科学的に診断し隔離できるようになった世の中で、邪悪な人間=欠落者として隔離された、欠落者らしくない主人公が、奮闘する話。相手の動きを先読みできるのに腕力はさほどなく(?)、本物の凶悪者相手では読んでいるこちらが目をそらしたくなるほどの怪我を負い、まだ心の底に残しているかすかな希望を自虐や冗談で覆い隠しながら生きている主人公には、安らげる日が来てほしいと願わずにいられない。それにしても、現実世界で無差別殺人のニュースを見るたびに、犯罪を犯しそうな人が事前に分かればいいのにとは、誰しも一度は考えるのではないだろうか。その反面、中3で必ず邪悪かどうか検査を受けろと言われれば、普段巧妙にまたは無意識に抑えつけている嗜虐性が暴かれるかもしれず、それはそれで怖い。
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凄い。前作もそうだが、関俊介さんは認められない・もしくは悪い意味で認められてしまった存在、数として計上されない・価値を見出されない存在について、その感情をどうしてこんなに生々しく描けるのだろう。僕はこの人より描写が細かく美しい小説家を知っている。より躍動感ある小説家も思い浮かぶ。でも、この人ほど、認められない悲しさを書いてくれる人は知らない。読んでいて、胸が詰まった。また、主人公の状況が絶望的で、読むのを躊躇するほどひりひりする感覚は、この作家さんの得意技のようだ。是非おすすめします。おもしろいですよ。
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「犯罪性向を持つ邪悪な人間の科学的」な定義によるふるいによって振り分けられた異物たちを集めた人工島。
いやだなぁ、なんとも救いのない世界だな。
邪悪さを濃縮したような犯罪予備軍たちが一か所に集められて管理されてる。凶悪な事件が起こるたび、繰り返されるたび、たしかにそういう予防的なモノがもしもあればって思うこともないでもないけど。でも、電極埋め込んで…ってなぁ。
そういう邪悪な島で、BD(ブレインドレイン)の果たす役割。
あぁ、そうか。この何とも言えないいやぁな感じは、「正常」と言われているこちら側の人間たちが「邪悪」な隔離者たちを全くヒトとして扱ってない、その基本的思考のせいか。 -
検査で犯罪傾向の強い人間「欠落者」を選別できるようになった時代。「欠落者」として人口島に隔離されているセイが主人公の冒険活劇。3年2ヶ月ぶりの新作ですが前作に勝るとも劣らない傑作。しかし、こんなに寡作で喰っていけるんでしょうか(笑