蒼き山嶺 (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334791223

感想・レビュー・書評

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  • 蒼き山嶺 馳星周さん

    1.購読動機
    山を見たかったからです。
    身体の都合もあり、久しく山から遠ざかっています。
    そこで、山を舞台にする小説に出会いたく、手にとりました。

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    2.馳星周さん
    初めましてです。
    2021年に出会えてよかった作家さんのお一人となりました。

    登場人物が少ないこと。だから、ストーリーに入りやすいです。

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    3.「蒼き山嶺」
    山岳の描写が力強く、美しいです。

    光が差し込む。
    吹ぶく。
    雪解けの音が聞こえる。

    五感に訴求してくる文体の臨場感。
    巻末に、馳さんご自身が軽井沢に転居してから、登山に魅了されたとの談話があります。

    2021年。
    名刺代わりの小説10選にノミネートです。

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    #馳星周 さん好きな人とつながりたい

  • 久々に面白い山岳小説を読んだ。
    物語は序盤で本題に入りスリリングな展開をしていくが、その中で過去の記憶、出会い、思惑、矜持。。。そんなものが混ざりあって読んでいて全く飽きなかったし、山や自然が見せる様々な表情の描写がとても綺麗で、まるでそこに自分がいるかのような気分だ。
    その後を書いた続編を読みたいので、作者さんぜひ!

  • 馳星周『蒼き山嶺』光文社文庫。

    山岳冒険小説。リアルな山岳縦走の描写と理由も解らないままに正体不明の何者かに狙われるというサスペンス。ひたすら山岳縦走が描かれるというストーリーで、途中で謎が明かされてしまうと、それ以上の大きな展開も無く、呆気なく結末を迎えてしまう。もう一捻りが欲しかった。

    警察を辞め、山岳ガイドに転進した得丸志郎は冬の終わりの白馬岳で大学の山岳部時代の同期・池谷博史と再開する。大学卒業後に山を諦め、警視庁の公安刑事となった池谷は得丸に山頂までのガイドを依頼する。しかし、突然豹変した池谷は得丸に銃口を向け、白馬岳を越えて日本海を目指す。

    何故か仲間内の公安から捜索され、何者かに狙われる池谷の目的は……

    本体価格780円
    ★★★★

  • 北アルプスで山岳ガイドをしている得丸は、体力技術不足の登山者と出会う。
    それは得丸の大学時代の山岳部同期、池谷だった。
    卒業後、公安の刑事となった池谷は山から離れていたため、すっかり鈍っており、得丸にガイドを依頼する。

    山岳小説であり、公安がらみの事件に巻き込まれる男っぽい作品で、非常に面白かった。
    今作では雪の白馬岳がとてもハードなのだが、大学時代の記憶パートがまた良い。
    池谷の背景を知った上で読む、山岳部での描写に特に胸打たれました。

  • 同作者の『神奈備』という山岳小説を読み、本作へ高い期待を持ち読み始めた!

    読んで正解の一冊となる!


    山岳ガイドの得丸は、雪山で大学時代の山岳部で同期の池谷と再開する。
    池谷はかつて徳丸と並ぶ程の山屋であったが久々の山登りに四苦八苦・・・
    どうしても山を登りたい池谷は得丸をガイドとして雇うのだが・・・

    山での出会い、池谷の焦燥、不穏な影と大自然の優雅さ、そして失われた学生時代の青春と亡くした友!?
    色んなものが絡み合ってるけど何故かスッキリ?

    湊かなえの山岳小説は山に登りたくなるが、馳星周の山岳小説は生半可な体力と気持ちで山に登ってはいけないと思わせる!

  • 山岳小説が好きだ。
    どうしてそんな辛い思いまでして
    山へと向かってしまうんだろう、と
    毎回思うのだけれど
    登場人物と共に汗をかいて息を切らしながら
    読んでしまう。

    この作品は山から離れてしまった男、
    現在も山と離れられずに居る男、
    山と共になってしまった男、
    3人の山屋の物語。

    山とは何とも不思議だ。

  • 冬山縦走がこれほどリアルに、臨場感溢れる描写に圧倒されてしまう。圧倒的な自然の中で晒す人間の悲哀の対比が物語の明瞭なコントラストを生み出す。限界を何度も超えて、理性も吹きとび、人の素直な感情だけが残ったラスト、シンプルだけど色んな意味を考えさせてくれて涙。。

  • 続きが気になり一気に読んでしまった。

    続編出ないかなー!

  • 山登ってる人なら絶対面白い


  • 元長野県警の山岳遭難救助隊員だった得丸は現在は山岳ガイドとして白馬村観光課に勤めている
    ある日、残雪の状況を確認していた得丸は無謀な登山者に出会う
    それは、大学時代の山岳部の同期池谷だった
    池谷もまた警視庁公安部に所属する警察官だった
    卒業後二十年全く山から離れていた池谷の身体はすっかりなまっていた
    そんな池谷に白馬岳までのガイドを引き受けた得丸だったが…

    二十年も山から離れていた池谷が何故急に山に戻ってきたのか
    何故友人である得丸を脅してまで登り続けなければならなかったのか
    その理由はあまりにも衝撃的で思わずえっ!?と声が出てしまうほどでした

    登山をする人ならもっと臨場感が伝わり楽しめたのだろうな、と思います
    何せ、専門用語とか道具の名前とかよく分からなかったので…
    そこを差し引いても充分楽しめるスケールの大きな物語でした

    二人の大学時代が織り交ぜながら語られていますが、二人の同期でありライバルであり目指すべき存在であった天才登山家若林は8000メートル級のK2で命を落とし、遺体は発見されていない
    得丸が若林の遺体を発見するため、K2に挑む…という続編に期待したいです

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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