猫の傀儡(くぐつ) (光文社文庫 さ 27-5 光文社時代小説文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334790288

感想・レビュー・書評

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    なぜこの著者を読み落としていたのか不思議
    とっても面白かった
    ありえない設定なのにすっと引き込まれた
    何といっても猫がかっこいいではありませんか!
    イヤー!胸のすく活躍です
    天敵のカラス夫婦もかっこいいではありませんか
    猫目線の下に置かれた人間たちもきめ細やかに描かれている
    繋がる7話の話はどれもなかなか、うんうん
    またいろんな作品読んでみます

    ≪ 吾知らず 猫のあやつり ふと気づく ≫

  • 面白かった!江戸の猫町で起きる事件を解決する、傀儡子のミスジ、めちゃめちゃかっこいい。そして、傀儡の阿次郎がとってもいいキャラで、非常に違和感なくするりと物語に入り込める。西條本はあまり読んでないが、上手いねぇ。いくつかの事件や出来事がうまく絡んで、しかも、ちょい役のカラスの三日月や医犬のタロ先生がとても良い。子猫もたんまり、猫雑学も存分にナチュラルに盛り込まれてて、なんといっても悪役が猫嫌いで、良い人は全員猫好きってところが猫好きすぎてしんどい感じ。牢に近づいても、張り番が猫でご機嫌になってお咎めなしとか、おもろすぎる。
    順松のバトルシーンには号泣した。

  • 西條奈加さん、初読でしたが頭にすっと入ってくる文章で凄く好きになりました。
    猫の物語としては可愛いだけではなく、キリッとした所も有って、主人公のミスジが傀儡師としての矜持を持っていく様が読んでいて心地良かったです。
    百獣の王につながる科としての獰猛さや、しなやかさ、人間や烏との関わり方など、猫は好きだけど飼った事が無い私にはとても新鮮な発見でした。

  • 猫が人間を操って謎解き&事件解決するちょっと変わり種のお江戸ミステリー。

    どの猫でもなれるわけではない「傀儡師」という、猫のなかでも修行をつんだ選ばれた猫だけ。そして操られる人間の方も選ばれし(4か条に当てはまる)者だけ、なのだが、あくまでも猫基準なところが面白い。

    7篇の連作短編集。切ない身分違いの恋物語があったり、天敵の烏との闘い&一時休戦のお話があったり、騙され無実の罪で捕まった心優しい男と老猫のお話もあり、後半は先代傀儡師の順松(よりまつ)兄の失踪に関しての続きもの。引き込まれた。

  • これは猫好きにはたまらない小説でしょうぬ。

    猫には傀儡師なる役を持つものがいて、傀儡になる人がいる。

    猫達に困った事があったら、傀儡師が傀儡を使って解決しなければならない。

    これは大役ですね。
    ですが、主人公のミスジは賢くて、大店の息子なのに、家を飛び出して狂言作者をしている、売れてないけど、阿次郎と見えないバディを組んで解決していく。

    色々な事件を解決し、最期に待っているのはミスジの前の傀儡師、順松の傀儡だった雨月と、事件の中で出会い阿次郎の飼い猫になったユキの元飼い主を探っていくのは、流石、ミステリも書かれる西條奈加さんならではですね。

    面白かった‼️

  • 粋でいなせな江戸っ子オス猫「ミスジ」と、「壱、とにかく暇で、弐、察しがよく、参、何にでも興を示し、肆、猫が好き」な「人としちゃ、しょうもない」(ともにp65)探偵役の「阿次郎」がバディを組み、下町を舞台に巻き起こる謎を明かしていくエンタメ時代小説。

    全7話収録。

    『三毛猫ホームズ』の時代小説版、という感じだろうか。本作ではミスジが「人を遣い、人を操り、猫のために働かせる」(p8)役目、すなわち「傀儡師」を拝命し、’人を操るプロフェッショナル’という職能的設定として描かれているのが特徴的。

    〈猫の傀儡〉設定披露・顔見せ的なプロローグシークエンス。稀少な花の鉢植えを割ったのは誰だ、といういかにもイタズラ猫の仕業をイメージさせる内容。「順松」という先代猫の行方、という縦軸も示される。

    〈白黒仔猫〉妹分・ユキの登場と因縁の相手・三日月傷の烏が登場。

    〈十市と赤〉寺で起こった傷害事件と謎の手紙。老猫の夕べ。

    〈三日月の仇〉猟奇殺猫事件の発生と猫と烏の共闘。大立ち回りが痛快だが胸くそも悪い。

    〈ふたり順松〉ここから三部作。ひょんなことから「順松」の手がかりを掴んだミスジ。

    〈三年宵待ち〉捜査編。男の腕に残る四つの点と猫盗人の記憶。

    〈猫町大捕物〉解決大団円編。基本的には綺麗に収まるのだがp281に唐突に出てきた名前に困惑。阿次郎はどこからこの名を聞いたのか?読み飛ばしたのだろうか…?


    ちょこちょこ挟まる’猫たとえ’にも思わずクスリとくる良作だと思いました。



    6刷
    2022.12.8

  • 「オレはミスジ。二歳のオス猫だ。
    人を遣い、人を操り、猫のために働かせる。それが傀儡師だ。
    オレは今日から、この猫町の傀儡師となった。」

    江戸の町で、傀儡師となったミスジが、傀儡に選ばれた阿次郎を遣って猫町の困りごとを解決していくのだが、猫の習性や好みがうまく散りばめられていて、猫が好きな人は、特にたまらないだろう。

    傀儡に選ばれる条件の傀儡四箇条や、ミスジと烏の三日月の因縁もとても面白く、引き込まれて大満足の一冊だった。

  • 装丁に惹かれて購入。
    はじめての西條作品。

    ほっこり系の時代小説。読みやすくすいすい読めるが装丁ほど印象に残るお話ではないかも。
    ただ最後の最後にこの先に大きな展開があるかも?な、思わせぶりな終わり方。

  • 祝・直木賞ノミネート!

    猫飼いさん(猫好きさん)はもれなく、自分のことを猫の下僕だと思ってると思うんだけど。
    この作品は、そう思ってる人にピッタリのお話!
    猫に操られる「猫の傀儡」。
    私たちはやっぱり猫に操られていたんだと、納得した 笑

    猫好きさんは是非読んでみて〜!
    他の動物も出てくるから猫だけじゃなくて、動物好きな方なら必ず楽しめると思うよ!
    あくまで猫が主役だけどね。

    連作短編だから、読みやすいし口調が小気味良くて一気読み。
    普段時代小説読まないけど、面白くてぐいぐい読めるから、今まで時代小説読んだこと無い人にもお勧め。

    西條奈加さんはファンタジーノベル大賞を受賞したデビュー作を読んで、すごく面白くてその後いくつか読んだ作品も全部面白かった。
    今回の直木賞ノミネートでもっと色んな人に知られて欲しいなぁと思ったよ。

  • 通称、猫町に暮らす野良猫のミスジ。
    恩猫で憧れの先代、順松が行方知れずになり、新しい傀儡師に任命される。
    人を遣い、人を操り、猫のために働かせる、傀儡師。
    早速、履物屋のキジから依頼が。珍種の朝顔の鉢を台無しにした冤罪をかけられたのだ。
    ミスジはミスジの傀儡である狂言作者、阿次郎を連れ出して。

    かつて米問屋が多かった米町がネズミ対策で猫を飼ううちに猫の町へ。
    そんな猫の町には傀儡師の猫がいて。
    猫視点で猫を救うために傀儡を誘導しながら事件を解いていくうちに、ミスジは先代の順松失踪の謎に迫っていく。
    事件と犯人に驚きはほぼ無いんだけれど、猫や烏の漢気や姉御肌が小気味良い。
    仔猫たちはやんちゃだけど、それを見守る大人猫たちがカッコいい。
    傀儡の阿次郎の呑気さも良い味だし。
    読み終わって、周りにふわふわで暖かいものがいないことがものすごく寂しくなる。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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