白日の鴉 (光文社文庫 ふ 16-7)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (607ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334775537

感想・レビュー・書評

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  • いやいやいや、ほんとにこれめちゃくちゃ面白いやんけ…
    組織に抗っても孤軍奮闘する新米警官と冤罪で苦しむ男
    冤罪を聞き入れてもらえないくだりがホントに苦しかった。
    前作の登場人物もちょいちょい顔を覗かせて、思わずニンマリ。苦しい中で良い清涼剤でした。
    そして迎える怒涛のクライマックス、読後感も良し。
    もっと読まれるべき傑作です!
    (KindleUnlimitedで無料読みできます!)

  • 冤罪の疑いのあるMRの友永を救うため、本来逮捕した立場の新人巡査・真人と落ちぶれた弁護士・五味が奮闘する作品。
    タイトルにある通り、こういった犯罪では不在証明が本当に難しい。しかし、真人はほんの小さなきっかけから、冤罪事件を晴らそうとする。
    物語自体は良く出来ている思うが、友永が拘置所や留置所で過ごす様子が細かく描かれている分、話の展開にスピードを感じられず、中だるみをしてしまう部分も。
    600ページに渡る大作への作者の思いも分かるが、もう少しまとめた方が、より面白い作品になった気がする。

  • 福澤徹三『白日の鴉』光文社文庫。

    痴漢冤罪を描いた警察・法廷小説。600ページにも及ぶボリュームに、どんな展開が描かれるのか興味があったのだが、最後まで面白く読むことが出来た。登場人物が皆細い糸でつながっていくところが見事。

    製薬会社のMR・友永孝が電車の中で見知らぬ男女に痴漢の疑いをかけられる。友永を逮捕した新人巡査の新田真人、老弁護士の五味陣介らの活躍により少しずつ明らかになる事件の真相…

    テレビドラマの原作。


  • 交番勤務の真人が初めて逮捕したのは、
    製薬会社MRの友永だった。
    真人は痴漢容疑で友永を逮捕したが、
    友永は一貫していないと無罪を主張する。

    ある時、真人は友永を痴漢と訴えた女性と
    目撃者が一緒にいるところを発見し、
    自分が逮捕した友永は冤罪ではないか、
    と疑問を感じ始める。

    被疑者を犯人と思い込んだ上での取り調べや、
    友永への扱いの記述が生々しい。

    また、警察内での対応に逆らえないが
    違和感を感じる真人は地域に住む弁護士の
    五味へ助けを求める。

    自己の保身のために人を陥れる人間、
    人に責任を押し付ける人間、
    善良ではいられない人間の自分勝手さは
    醜くて生々しい。
    でも、そんな組織に打ちのめされながらも
    奮起する真人や絶望から諦めない友永に
    読んでいて勇気づけられる。


  • 調べるうちに病院の陰謀が浮かび上がる。生活保護受給者を食い物にする貧困ビジネスであった。貧困ビジネスが犯罪を行い、他人を罪に陥れる。犯罪者でありながら、他人を陥れる為に警察を利用する。ヤクザがチンコロするようなもので、悪の美学さえない。その醜さは貧困者を搾取する貧困ビジネスとマッチしている。
    悪の側の破滅の遠因を遡れば、手術の失敗を押し付けたことである。そのせいで調査する人が出てきた。しかし、日本の医療の現実は、もっと深刻である。第三者が死因を明らかにしようという文化が乏しい。失敗しても他人に責任を押し付けるまでもなく済まされてしまうこともあり得る。
    『白日の鴉』はテレビドラマ化された。テレビ朝日が2018年1月11日に放送した。このドラマの警察署は、さいたま市中央区役所が使われた。中央区役所は『相棒 season17』「刑事一人」(2018年12月12日)でも警察署として使われた。外国人へのヘイトクライムと半グレの味方をするような所轄警察署の杜撰な捜査の話である。

  • 仕組まれた痴漢冤罪とたたかう会社員、それを影から支える新人警官と、
    法廷でたたかう爺さん弁護士、自分たちの犯罪の露見を恐れて冤罪を仕組んだ悪徳医師と薬屋とチンピラ、
    という医療と警察・裁判が絡んだ骨太な小説です。

    20180228

  • 痴漢の冤罪で捕まった主人公。
    99%は有罪になるという裁判。
    無実を主張し続けて裁判に持ち込むも…
    いつまで経っても決定的な証拠は見つからず、
    もう駄目かと思った矢先…

    8割方読んでも形勢は変わらず。
    報われる瞬間を待ちわびて、一気に読んでしまった。

    四部作の二作目。圧巻であった。

  • ここのところ、長い本は途中で挫折するケースが多かったのだが、久しぶりに600ページ近くあった本だが、最後まで読む。痴漢冤罪に悩む友永。また留置所の様子非常に良く書けており面白かった。

  • 終盤はドラマを見てるような感じで一気に解決して、ハッピーエンドとなるが、痴漢冤罪をテーマにした面白い作品。警察、被疑者、検察、弁護士の関わり方が秀逸。

  • 綿密な取材に基づいた、読み応えのある小説。

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著者プロフィール

福澤 徹三(ふくざわ・てつぞう):1962年、 福岡県生まれ。ホラー、怪談実話、クライムノベル、警察小説など幅広いジャンルの作品を手がける。2008年、『すじぼり』で第10回大藪春彦賞受賞。著書に『黒い百物語』『忌談』『怖の日常』『怪談熱』『S霊園』『廃屋の幽霊』『しにんあそび』『灰色の犬』『群青の魚』『羊の国の「イリヤ」』『そのひと皿にめぐりあうとき』ほか多数。『東京難民』は映画化、『白日の鴉』はテレビドラマ化、『Iターン』『俠(★正字)飯』はテレビドラマ化・コミック化された。

「2023年 『怪を訊く日々 怪談随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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