- Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334774509
感想・レビュー・書評
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【感想】
どなただったか失念しましたが、、、、フォローしている方のReviewを読んで興味がわき、手に取った1冊です。
葉真中顕氏の事も知らずに初めて手に取った1冊でしたが、読後、「なんだこの本は!!!!!」と、僕自身に凄まじい衝撃を与えた1冊でした・・・
たまに予期せずしてこういう本と出会えるのだから、読書はやめられないんですよね。笑
はぁ・・・
正直なところ、読み終えた今、落ち着いてReviewを書こうとしているのですが、衝撃的過ぎてまだ頭がボンヤリしてしまい、どう感想を書けばいいのか分かりません・・・
600ページにわたる大作という事もありますが、それ以上に鈴木陽子の半生は壮絶すぎて、また物語の構成自体が素晴らしすぎて、何から書いたらイイのか分からないのが現状です。笑
とにかく、物語の概要について語ります。
下記【あらすじ】にも書いてありますが、本小説は、鈴木陽子という女性の死体が自宅マンションで発見されるところから始まります。
捜査の上で特に大きな事件性もなく、単純な孤独死という事で事件自体は片づけられようとするのですが、所轄の刑事・綾乃がこの鈴木陽子が何故死に至ったのか、捜査の一環で鈴木陽子の人生をなぞっていく展開となっていきます。
また、捜査本部は異なりますが、同じ時系列でNPO法人「カインドネット」社長・神代の惨殺事件も挙げられており、読者にはこの2つの事件が今後どのように紐づいていくのかが気になって仕方なくなりました。
一体、この女性はどのような経緯で死に至ったのか?
また、本書では各章ごとに、
1.綾乃目線のパート
2.カインドネット社長 神代の事件関係者の証言
3.鈴木陽子目線での自身の人生の振り返り
といった3つのパートに分けられて物語は進行していきます。
はじめは何でこんな風に3つに分けて話が進んでいってるのか不思議に思いましたが、読み進めていく中でその理由が分かった時は、体中が熱くなりました。
上記の「鈴木陽子目線での自身の人生の振り返り」のパートで、鈴木陽子の生い立ちや半生について読み進めていくことが出来るのですが、徐々に人生の歯車が狂っていく様子が如実に描かれていました。
色々あったとはいえ、陽子自身、「生まれ始めからどうにもできないような境遇ではなかった」というところが、恐怖心をさらに掻き立てます。
どんな平凡な人間であっても、ちょっとしたボタンのかけ違いが重なる事で、自身の人生が一転して壮絶なモノになりかねないんだろうなと、平凡と不幸の隣り合わせを読んでいて感じた次第にございます・・・
何が彼女をここまで追い詰めたのか?
どうしてこんな事件が起こってしまったのか?
テイストとしては、宮部みゆき氏の「火車」や、早見和真氏の「イノセントデイズ」に近い感じがする1冊でした。
この2冊を読んだ時と同じレベルの衝撃、絶望感を本書からも感じました・・・・(最大級の誉め言葉です)
最後に、ネタバレをかなり含みますが・・・
下記に、【陽子の人生すごろく】という項目を設けました。
それだけで主人公・陽子の人生の凄惨さが大体は伝わるのではないでしょうか?
こんな風に、「ある人間の人生をトレースしていく物語」って本当に面白いですよね。
WOWWOWでスペシャルドラマ化もしてるようなので、かなり有名な作品なのかとも思いますが、イヤミスが大好きな方で本作品を知らない方は、是非手に取ってほしい1冊です!
【あらすじ】
マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。
刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。
平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。
辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?
ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!
【陽子の人生すごろく】
→ごく平凡な家庭に一子として誕生、弟もできる
→平凡な自分と、成績優秀な弟。母から事あるごとに冷たく笑われて育つ
→自身が高校生の時に、弟がイジメを苦にして自殺
→地方都市の短大を卒業し、地元の会社で事務員として就職する
→バブル崩壊後に、投資に失敗した父が多額の借金を残して蒸発する
→中学の頃に恋していた憧れの先輩と偶然再会し、売れない漫画家の妻となる
→夫の浮気により離婚。(陽子と結婚した夫で唯一死亡していないのがこの人)
→都内のコールセンターの派遣社員となる
→生保レディになる
→自爆営業、枕営業により生保会社を解雇される
→デリヘル嬢になる
→襲われたアングラ男の情婦となる
→連続保険殺人犯に加担する
→そして・・・・・・・(あとは本書をお読みください)
【メモ】
絶叫
p23
母はこの話をする時いつも、余計な一言を付け加えるのを忘れなかった。
「まぁ、私は、本当は男の子が欲しかったんだけどね」
裏を返せば女の子なんて、つまりあなたなんていらなかった、とすら取れる言葉を平気で投げつけてきた。
あなたの母は、そういう人だった。
p33
あなたには、母から目一杯誉められた記憶も、真剣に叱られた記憶もほとんどない。
あるのは、ため息をつきながら、呆れたように冷たく笑われた記憶ばかりだ。
幼いなりに、あなたにも分かっていた。母がこんな態度をとるのは、自分が母の期待に応えてないからだと。
はっきり言ってしまえば、愛を感じなかった。
p101
地方の高校三年生を「東京に憧れる者」と「地元を愛する者」に分けるとしたら、あなたは断然前者だった。
たぶんここは私の居場所じゃない。
いつの間にか、あなたの胸にはそんな想いが鎮座ふるようになっていた。
東京なら。
ここじゃなくて、東京なら、居場所が見つかるかもしれない。
根拠もなく、あなたはそう思った。
東京で一人暮らしをして、東京の会社で働いて、東京の人と恋をしたいと思った。
p112
いつしかあなたは、自分の生活に、そんな、諦めとも納得ともつかない気持ちを抱くようになっていた。
いつまで経っても地元を自分の居場所とは思い切れなかったけれど、取り立てて不自由があるわけでもなかった。
この町は都会ではないかもしれないけれど、生きるのに困るほど不便なわけじゃない。
平凡な私は、この地元の小さな会社で働いて、いつか誰か適当な人と結婚するんだろう。
いつの間にか、東京へ行きたいという気持ちは見えないほど小さく縮んでいた。
あなたはまだ気づいていなかった。
歌やドラマの世界のように、「夢が現実か」なんて単純な二者択一など存在しないということに。
夢を諦めたからといって、安定した現実が手に入る保証など、どこにもないのだということに。
「地に足をつける」と思ったところで、その地面の中身がボロボロなら、ちょっとした拍子で崩れてしまうことに。
人生は個人の選択とは関係なく壊れる時には壊れるものだということに。
p129
次の日も、その次の日も、そのまた次の日も、父が帰ることはなかった。
大黒柱がなくなっても、あなたの家はすぐには崩れ落ちなかった。しばらくの間は、それまでと寸分違わない日々が過ぎていった。
p203
あぁ、私は負けたんだ。
あなたの胸は黒く粘つく敗北感で満たされた。
ダメ押しは、事情を知った山崎の両親が上京してきて、二人揃ってあなたに土下座したことだった。
「お願いします、何も言わずに別れてやってください!」
孫が欲しいという、ごく自然で一般的な欲求に突き動かされた人たちの、残酷な平伏。
それは床にこすりつけるほど頭を下げつつも、実に雄弁に「お前が邪魔なんだ!」と語っていた。
負けた、負けた、負けた。圧倒的に。完膚なきまでに。
かつて「きみが必要」と言ったはずの男は、別の女が必要になった。
見つけたと思った居場所を、若くて妊娠できる女に奪われた
運命じゃなかった。
p218
「親和レディは会社に雇われるOLではありません。一人ひとりが独立したビジネスパーソンなんです!」
びっくりするほど呆気なく仕事が決まった。
このとき、栗原にしろ芳賀にしろ、あなたに対して嘘はついていなかったが、すべて正確に話していたわけでもなかった。
世の中にそうそう美味い話はないし、キャッチセールスがそうであるように、路上で人に声をかけるような商売には、大抵裏がある。
p248
「実際、親和の保険商品はかなりいいと思うんです。自分でも入るくらいいいものだから、お客さんにも強くお勧めできるっていう面はありますよ」
思えば、この時のあなたは、そう思うように誘導されていたのだ。おそらくは、栗原も。
当たり前だが、保険会社は営利企業である以上、自分たちが儲かるように商品を開発する。
掛け捨てにしろ、積み立てにしろ、保険に入るということは、保険会社を胴元にするギャンブルに参加するのと同じ事だ。
加入者は、殆どの場合、賭け金以上の保険金を受け取れない。つまり、損をしてしまう。
p257
「自分が結果を出せていない事は自覚していますね?」
芳賀の逞しい身体と精悍な顔つきが、迫力をかもしている。
あなたは、本能的に恐怖を感じた。
「あえて厳しいことを言わせてもらいますが、今のあなたは完全に給料泥棒です。それを分かっているんですか?」
きゅっ、とお腹が締め付けられるような感じがした。しかし、契約が取れていない以上、芳賀の言う通りだ。
「あなたはまず、言い訳をせず、今の自分が駄目なことを認めるべきです」
「はい…」
幼い頃、母からよく言われた「駄目」という貶し言葉。
他人から面と向かって言われれば、やはり辛い。無論、それを自分で認めるのも。
だからあなたは、いつも自分のことを「平凡」と思うことにしていた。「特別」ではないけれど「駄目」ではない「平凡」なんだと。
「なら、口に出してしっかり自覚して下さい。『私は、駄目です』と」
p272
一月末、あなたの口座には親和生命から30万円を超える給料が振り込まれた。
これまで、こんなに大きな額の給料をもらったことはない。
私にはできる。
私は駄目じゃない。
保険の仕事に出会えて本当に良かったと、心から思えた。
たしかに、世界は変わった。
p304
本当の本気でやっているのに、結果が出ない。
おかしい、こんなはずじゃないのに!
あなたは焦っていた。
けれど、もしこの時のあなたが、冷静に自分の置かれた状況を見つめる目を持っていたなら、本当はおかしくも何ともないことに気づけただろう。
あなたが保険を売れなくなった理由はただ一つ。単純に、知り合いに売れる分を全部売り切ってしまったならだ。
芳賀が言う「本当の本気」も「成功体験」も関係なく、あなたの保険を売る能力は、実は最初からずっと一定だった。
知り合いという貯金が減れば、その分実績も減る。ただそれだけのことだった。
p332
あなたは、懸命に売った。
もう普通の外回りで人間関係を作って、丁寧に商品を説明するなどというまどろっこしいことはやってられない。
枕だ。なりふり構わず枕を誘って、契約を取るんだ。
あなたは全く気づいていなかったし、気づこうともしていなかったことだけれど、あなたが勝手にライバル視していた佐田百合恵という女は、決して枕営業だけで売っている女ではなかった。
奥の手としてそういうこともするが、それ以前に、相手のニーズを探ることや、相手をその気にさせる話術にも長けていたのだ。
佐田が枕をするのは、たとえば地域の有力者や社長のように、そこに食い込むことで芋づる式に何本もの契約を見込める相手だけだった。
p334
勝つんだ!絶対に、勝つんだ!
もうあなたは覚悟を決めていた。
また差がついたら、その分は、自爆して追いついてやる!
そんなあなたの心をへし折るのに十分な衝撃は、その直後にやってきた。
48本。
佐田はこれまでにあなたが取った契約の累計よりも多い数の契約を、1日で取ってきた。
ITベンチャーの経営者を籠絡し、その人脈から一気に獲得したのだ。
しかも、佐田はその経営者と結婚することになり、今月一杯で保険外務員の仕事を辞めるという。
何、それ?
みんな、一斉に自覚したのかもしれない。
佐田百合恵は、根本的に何かが違う「別格」なのだと。
p340
「まあでも、あいつにもバチが当たったからな。散々女を食い物にしてたあいつが、まさかマジ惚れするとはなあ」
芳賀は、あなたにしたような支配を目的としたのとは違う純粋な恋愛感情で、佐田百合恵にアプローチしていたという。
しかし佐田は籠絡されることなく、芳賀を完全に手玉に取っていた。
ついには佐田に対してストーキングをするようになったが、佐田は芳賀をいなし続けていた。
が、佐田が件のIT社長と結婚して職場を去る段になり、芳賀はいよいよ暴走した。
佐田が退職した翌日、自宅まで押しかけ、窓ガラスを割って無理やり侵入しようとし、それが警察沙汰となり、芳賀の命運は尽きた。
p343
水増しであっても、実績が作られている限り、給料は振り込まれた。
そのお金とクレジットカードで買い物ができた。
毎月定額返済のリボ払いが、便利な反面、消費者金融並みの高い金利になっていることなど気にもしなかった。
臨界点ギリギリの軋みの中で、しかしあなたはそれに気づかなかった。
p348
お母さん、こんなところに住んでいるの?
電話をくれた福祉生活課の柴田の案内でそのアパートに訪れた時、あなたは唖然とした。
実に7年3ヶ月ぶりの再会だった。その歳月は、随分と母を変えてしまっていた。
母はすっかり老け、そしてすごく痩せていた。
ただでさえ小柄なその身体が、さらに縮んだようだった。
p354
「仕送りしてあげるわよ」
母はあからさまに顔をしかめたが、柴田の顔には喜色が浮かんだ。
引き取って一緒に暮らすのは絶対に嫌だけど、お金だったら援助できる。この時のあなたはそう思っていた。
自分が、クレジットカードの枠はすべて使い切り、枕と自爆で綱渡りをするようにお金を稼いでいることなど、頭の中からすっかり消えていた。
あなたはえもいえぬ優越を覚えていた。
ざまあみろ!
ねえお母さん、パッとしない娘に助けられるのはどんな気分?
p534
「カインドネットで囲っとる連中に、在庫になりそうな奴結構おるからな、いくらでもいけるで」
そうか、殺した者を殺して、延々と〈換金〉を繰り返すつもりなのか。
この沼には底がない。
あなたは思わず吹き出した。
「ワンモアタイムじゃないじゃない」
「はは、そうやな。メニータイムス、や」
神代も笑った。裏表のない、心底楽しそうな笑顔だった。
p545
万能ではない。
神代は、人間だ。そういうものではない。
つまり、利用可能な自然現象だ。
神代を利用する。
主にセックスの後のピロートークで、神代に過去の犯罪自慢をさせるような流れで、可能な限り自然に、必要な情報を集めてゆく。
最初は「このままじゃいけない」という漠然とした危機感だったものが、段々と何をどうすれば神代の支配から逃れることができるかという、具体的な計画と呼ぶべきものに変質していく。
p548★
桜の花が咲く頃、沼尻はこの土地で、八木徳夫という男が運転するトラックに轢かれて死んだ。
3人目の実行犯にして、4人目の犠牲者になるはずの男、八木にあなたは目をつけた。
ちょうど40歳を迎えた誕生日の夜、あなたは八木と共謀して神代を殺害することになる。
p570
あなたが神代を殺すための準備を具体的に始めたのは、2012年の年明け頃。時期的には新垣清彦を狭山市で殺害した直後だ。
あなたは、一人の女の連絡を取った。友達というほど深い仲ではない、知り合いだ。
この女があなたに希望を与えた。
より正確には、この女が持っている「あのもの」が。
この女がいたからこそ、あなたは神代を殺し、逃げる気になれた。
p572★★
結果から考えればそのはずなのに、神代を本当に騙せていたのか、自信がない。
一つ一つは小さくとも、シグナルは無数に出ていたはずなのだ。
神代がシグナルをすべて見逃し、騙されていたなどということが、有り得るのだろうか?
どうしても、神代はすべて分かった上で、あなたに準備させていたような気がしてしまう。
本当に逃げ切るには、すべてを、あなたという存在にまとわりつくすべてを、振り切らなければならない。
あなたはそのため、女を呼んだ。
かつて、あなたと同じ風俗店で、「樹里」という源氏名で働いていた女。
・・・そう、私だ。
p584
ある日突然いなくなっても、誰にも顧みられる事のない女。戸籍は綺麗な女。
見えざる棄民。
棄てられている女。
あなたは用意していたロープを私の首にかけた。
書き換える。
あなたと、私。
光の届かない夜の底で、ほんの一瞬すれ違ったくらいの接点しかない、2人の棄民。その人生を。その歴史を。
あなたを、私に。
私を、あなたに。
書き換える。
p586
あなたをちゃんと殺すには、臍の緒以外に、あなたとDNA鑑定できるものがあっては困る。
鈴木妙子にはどうしても消えてもらう必要があった。
以前、神代に「死体始末すんなら、裸に剥いて、山に棄てんのが1番や」と教わったことがある。
ここに、鈴木妙子を棄てる。
「陽子、陽子、陽子」
その声は、命は、狂おしく、切実に響く。
私は首を絞めながら、追想する。
あなたが生きた40年を。
鈴木陽子という女が生まれて死ぬまでの物語を。
p595
荒川河川敷で、ホームレスが未成年の少年4人に襲撃され、殺害される事件が発生した。
このとき殺されたホームレスの所持品に免許証があり、そこにはQ県三美市の住所と「鈴木康明」という名前が印字されていた。
2000年1月に捜索願が出された、鈴木陽子の父親だ。
鈴木陽子の父親と思われたホームレスは、DNA鑑定の結果、そうでないと断定された。
でも、もし逆さまだったら?
そのホームレスが、事実、鈴木陽子の父親だったとしたら?
あの部屋で見つかった死体の方こそが、赤の他人のものだったら?
鈴木陽子を殺した「誰か」が鈴木陽子自身だとしたら?
すごいな、と思う。
鈴木陽子のことを。
警察官としてはあるまじき感情かもしれないけれど。
すべてを振り切り、逃げられないはずのものから、逃げ延びた女に感心する。
p601
・エピローグ
「お母さん、ありがとう!私を産んでくれてありがとう!」
ああ、これは私の言葉じゃない。
あなたの言葉だ。
鈴木陽子の言葉だ。
「生まれたくなんてなかったよ!選べるのなら、別の家の別の子に生まれたかったよ!せめて男の子に生まれたかったよ!あなたに、愛されたかったよ!それでも…」
この人の胎から生まれた、娘の言葉だ。
生まれた時、「本当は男の子がよかった」と呪われた、女の言葉だ。
誰に頼んだわけでもないのに、この理不尽な世界に生み落とされた、人の子の言葉だ。
「お母さん、私は、生きるよ!あなたを殺して、私も殺して、生きるよ!求めて、奪って、与えて、生きるよ!あなたにもらったこの命が消える日まで、私は、戦うよ!」
私は、精一杯の感謝を込めて、その命を摘み取った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者の2冊目読!
めちゃくちゃ長編、
作者の生い立ち、警察系、とある集団の三部構成で話が進む。
作者の生い立ちの陽子の話の時は、湊かなえさんのような、、、。
中盤まで読みやすい、最終が期待よりもあっさりというか、、
私の理解力不足で、、
ネットのネタバレを読み漁り、そゆことかーと思ったとこもあり。
なんとも暗い、どん底に落ちてく描写のリアリティ、作者すごいですね。
みなさんの評価ほど、私は理解できない部分あり、まだまだ読解力足りぬ(^◇^;)
下記はネタバレ感想
あの弟の幽霊??これなに?
よくわかりませんでしたw
金魚?え??
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2024/02/14
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土瓶さん!!!
やばい!!全然違ったーww
陽子の死んだ弟は金魚の幽霊となって、度々陽子の前に姿を現す
よくわからなくて、ネタバレをネッ...土瓶さん!!!
やばい!!全然違ったーww
陽子の死んだ弟は金魚の幽霊となって、度々陽子の前に姿を現す
よくわからなくて、ネタバレをネットで漁ったら、
全然違ったー
他にも伏線たくさんあるのを知り、
私全然ひとつも気づかず。。
こりゃだめだわ、
この本の面白さの本質を私が全然理解できておらず、だから皆さんの評価めっちゃ高いのだ、、
難しい(^◇^;)2024/02/15
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これは凄い本でした。。
最終的に全てが収束するこの構成に驚きです。
文量は多いですが、無駄に長い訳ではなく、全てに意味があります。
え?え?と困惑している間に本が終わってしまいました。
オススメです。 -
みんみんさんのレビューを目にして読みたくなりました。
社会派ミステリーってやつですね。
ごくごく平凡な家庭に生まれた平凡な女性が、ずるずると社会から滑り落ちていく物語。
徐々に徐々に落ちていったその先には……。
怖いですね~。
少しずつアリ地獄に嵌まっていきます。
どうすれば彼女は平凡で幸せな人生を獲得できたのだろうか。
親も悪い。
男運も悪い。
だが、彼女自身にも問題もあった。それでも……。
せめて、せめて親も男もダメでも、運も環境も悪くても、ひとりでもいいから彼女のために本気で泣いたり怒ったりしてくれる友人がいたなら。
そう思う。
「火車」宮部みゆき著
「鏡の背面」篠田 節子著
これらの作品を彷彿させます。
残念だったのは最後。
追う側の女性刑事の行動はあれで良かったのだろうか?
その後、主人公の女性はどうなったのだろう?
読み手が想像するしかない。
みんみんさ~ん♪
「鏡の背面」もお勧めしときますぜ~(^O^)/-
2023/02/27
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>ひとりでもいいから彼女のために本気で泣いたり怒ったりしてくれる友人がいたなら。
そう思う。
本はヘビーそうで読むの迷いますが、このコメ...>ひとりでもいいから彼女のために本気で泣いたり怒ったりしてくれる友人がいたなら。
そう思う。
本はヘビーそうで読むの迷いますが、このコメントにグッと来ました。
泣きそうになる、はオーバーかもしれませんが、やっぱり泣きそうになったかもしれません。2023/03/05 -
megmilk999さん、ありがとうございます^^
縁がありましたら読んでみてください。
社会派の怖い話です。megmilk999さん、ありがとうございます^^
縁がありましたら読んでみてください。
社会派の怖い話です。2023/03/05
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どこかのサイトでおすすめしてたから買った一冊。
事件の真相を探る話
孤独死体となって発見された女性陽子
この人の死ぬまでの人生は悲惨な人生だと思うが、それは自分自身の所為の一面もありこの陽子に同情も共感もできない。
この話がどの様な結末になるのかいろいろ考えたが、全く予想外の結末だった。
というか最初は結末が理解できなかった。
わたしはあなた?あなたはわたし?
2、3回ラストの部分を読み直してやっと理解できた。
なるほどややこしい
エピローグの最後と話の途中の喫茶店のくだりがもしかして繋がる?
そうなるとすごい話だなとも思った小説でした。 -
マンションで孤独死体となって発見された女性の名前は鈴木陽子。
女性刑事綾乃は彼女の足跡を追い始める。
物語は、鈴木陽子の人生、女性刑事綾乃の追跡、もう一つの事件、NPO代表理事殺害事件の証言と交互に語られていく。
マンションでの孤独死体と、NPO理事殺害がどう繋がるのか??
最初はさっぱり分からなかったが、読んでいくうちにグイグイ引き込まれる。
物語は最後の数ページになるまで全容が見えてこないのだが、あー!!!そうか!!!と思った頃には残りページはごく僅か。
この感じは久々に味わった(*^o^*)
非常に楽しめた。
鈴木陽子の壮絶な人生も凄いが、最後は圧巻。
久しぶりにカタルシスを感じるような本に出会えた。
実は購入前にブクログで評価を調べてから購入したのだが、こんな当たりの小説に出会わせてくれたブクログさんに感謝!! -
葉真中顕『絶叫』光文社文庫。
終盤でタイトルの『絶叫』の意味を知る時、何とも言えない恐ろしさを感じる。物語の雰囲気は山田宗樹の『嫌われ松子の一生』にも似ているし、真梨幸子の一連のイヤミスとも似ている。デビュー作の『ロスト・ケア』も現代社会の歪みを描いた傑作であったが、本作もまた非常に面白い力作だった。
物語はいきなり主人公の鈴木陽子がマンションで孤独死体となって発見されるところから始まる。刑事の綾乃は鈴木陽子の波乱に満ちた人生を辿る。
現代社会の深い闇が次々とリアルに描かれ、そら恐ろしさと、何とも言えない哀しさとに孤独感を感じる。 -
2014年作品。文庫本で600ページ越えの長編ミステリー。とにかく面白くって、てもなんとも辛い。主人公は鈴木陽子1973年生まれ。両親と弟の4人家族。学力は普通、容姿は人並みより少し良い。このような普通の女性が成長と共に、これでもかこれでもかと酷い目にあって行きます。辛い。彼女の成長と共に背景となる時代が私的には全て近しいものであり、その頃の自分を振り返ったりします。心に残ったのは、全ての出来事は自然現象なんだと言う考え。主人公は、かと言って決して虚無的になる訳ではなく、彼女なりに自由に生きていく。主役級は全てと言って良いほど女性です。現在より女性が生きにくい時代が背景です。それぞれの女性が、様々の悩みに苦悩します。あまりにも波乱万丈なストーリー展開に、唸ります。上質のミステリーを読みました。好き好きはあると思いますが、私的には星5つです。
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面白かった。
分厚い本は正直読む前に躊躇してしまうのだけど、その分描写や時間の流れが丁寧でわかりやすくガッツリ本の世界に引きずりこまれるところがいい。
このモヤモヤというか怖ッというかこの感じもこのページ数からきてるのではないかな、とも思う。
陽子くらい生きる事に執着するといっそ潔い。使えるものは全て使って ひたすら生きる。
この先、陽子はどうなったんだろう?ここまで頑張ったんだから天寿を全うしてほしいな。
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久しぶりの長編
読んでる間中ずっと気持ち悪かった。
この感じ 貴志啓介の黒い家とか 誉田哲也のなんだっけ あの小倉の家族殺人事件をベースにしたやつ あれ読んでる時とほぼ同じ感覚だったかも。
囲い屋とか 貧困とか ピースのひとつひとつはリアルで 現代のあちこちで見かけるものばかりだから 荒唐無稽な感じはなく こういう事件がワイドショーで今日流れても違和感はない。
手に取ったときは 凄絶な人生に翻弄され 健気に生きる主人公ってストーリーかと思ってたけど 真逆だったね。たしかにこっちの方がある意味リアリティがあるかも。それにしても徹底してる。
まさにイヤミス。
星3.5