13歳のシーズン (光文社文庫 あ 46-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334767051

感想・レビュー・書評

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  • この本の主人公は中学一年生の4人だ。
    おとなしめで、家庭に少しの寂しさを感じている茉里。
    誰かと群れることはしない、恋愛とかまだよくわからないクール系の深雪。
    陸上部で、友達が多くお調子者の真吾。
    父親を心配する、中学受験失敗した過去を持つ千博。

    中学生になると、小学校にいたときと全然違ってしまう。これは多くの大人が経験したことだと思う。
    放課後公園で一緒に遊んだりしてた異性の同級生と、途端に距離ができてしまう。あだ名で呼び合っていたのに、苗字にさん付けで呼んだりする。
    ちょっとしたことで傷ついたり、深く悩んだりする。
    自意識過剰な時なのだ。

    この本では、四人は「住む街の年表をつくる」という学校の課題を一緒に取り組むことで仲良くなる。
    何か一生懸命に取り組んで友情が育まれる中学時代。憧れる、理想的な青春が書かれてる。
    きっと、彼ら四人はクラスメイトからしても「あいつらすごいな」って思われてたに違いない。
    多くの中学生は、13歳で「なにかを成し遂げる」ことはできない。だから、これを読んだ中学生達は、制作物というささやかなことであっても、一つのことを作り上げたこの四人に憧れるだろうし、こういう子が近くにいたら友達になりたい!って思うんだろうな。

    この本は、進研ゼミ中学講座で連載されたものをまとめたもののようだ(一部書き下ろし)。どうりで、各話終わるたびに次の話が1ヶ月後になっていたわけだ。

    物語の中にそんなに大きなドラマはない、中学生の日常だ。
    でも、中学一年生の一年間が終わる頃には、男子は背も伸び、女子はより女性らしくなる。大人に近づいているのだ。中学生の一年は、大人にとっての数年に匹敵するんだろうな。それくらい、心と体の成長が著しい。
    そして大人になったら絶対にしないこと、できないことが、この本には溢れてる。
    それは良いことばかりではなくて、嫉妬から制作物を壊してしまうことだったり、悪ふざけで女子に告白するゲーム、もある。
    良くないことだけど、そういう失敗や後悔を含めての青春なのかな…と思ったりもした。

    そんで、子を持つ親、大人の立場から思ったこと。
    子によるだろうけど、中学生ってまだ親を必要としてくれてるんだなって思った。
    それが困った時だけだったり、家族関係に不安があるときだけなのかもしれないけど。
    私自身もそうだった、のだろうな。
    生活面では親に頼りっぱなしだったし、どうしようもない時は親に話を聞いてもらって助けてもらっていたな。
    親の出番があるうちは、しっかり親をしていたいと改めて思った。

  • 波乱の展開や、ものすごく大きな出来事は無いのだけど、それぞれに思いや家庭の問題を抱えた13歳、中一の4人の男女の1年間を描く物語。

    確かに普通の中学生に、それほど大きな事件が起こる訳はなく、でも、いろいろな出来事が彼らにとっては大きな意味を持ち、心を揺らし、成長して行く、、、そんな様子がリアルに感じられました。

    今まさに中一の子供は、これを読んでどう感じるのでしょうね。

  • 短編集っぽくて読みやすい。青春の描写が綺麗。

  • 13歳の4人が主人公。13歳は大人でも子どもでもない絶妙な時期。一言で「子どもなんだから」と片付けられない、些細な言動で感情が揺れ動く様を見事に描写している。

    読書復帰作として読みました。文体も読みやすく、すっと心に落ちていく。心地良い作品でした。あさのあつこさんの他の作品も読んでみたい。

  •  13歳(中学1年生)という心が移り変わる微妙な季節を、4人の主人公の視点から描く連作短編集。一つ一つの章立てが10〜20ページくらいなので、テンポぽよく読み進めていける。
     小学生のような子どもっぽさは去り、かといって高校生のように大人びているわけでもない、だけど大きく自我が芽生える時期。ちょっとしたことで傷ついたり、元気になったり、言いたいことが言えたり言えなかったり。いろいろなことに悩みつつも前を向いていこうとする姿に元気をもらえる作品。
     悩める中高生にも、そんな子どもを抱えている親にも読んでもらいたい作品。

  • 最初はバラバラだった4人が、一つになっていくところが良かった。

  • 透明感あふれる描写に、13歳ってこんなにも瑞々しい季節だったのかと、自身の過去を振り返ってみました。4人の中学1年生の姿に、自分の中の中学1年生が、何かを叫びたがっています。


  • 些細なことに傷ついたり、悩んだり、謝ったりしている自分たちがいいなと感じた。

    中学1年生の1年間を描くお話。4人それぞれが家庭の問題や自身の気持ちと向き合っていく。
    .
    進研ゼミで連載されていたとは!驚き。
    するすると読みやすく、ぜひ中学生に読んで欲しい作品。
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    私は中学時代知り合った友達と今も親友で居れてる。住んでる場所も今や全く違うけど、支えになっている。この小説みたいな甘酸っぱさもない中学生時代だったけどその親友に出逢えたことは最高だ。思えば作中にあるように、「いっしょにいたいなら、いっしょにいればいい。」の結果かなと思う。これから読む子ども達が、友達って何かなと悩んだ時のヒントになればいいな。
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  • タイトルのとおり、中学1年生13歳の主人公たちの青春物語です。青春というには13歳はまだ子供かもしれません。中学に入学してからひと月のところから始まり、終業式3日前までの約1年間の物語です。はじめに主人公4人のそれぞれの背景がわかるお話が順番にあります。そしてみんなで協力しながら、成長しながら、そして甘酸っぱく物語が進みます。13歳らしい辿々しいコミニュケーションも、もしかして大人も一緒なんじゃないのかと思いました。
    中学生でも読みやすいように、大きな文字で印刷されています。

  • 13才の同級生男女4人のそれぞれの視点で語られる一年間の物語。ありがちな展開や設定なのに、どうしてこんなにすっきりと読めるのでしょう。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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