木練柿: 傑作時代小説 (光文社文庫 あ 46-3 光文社時代小説文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334763497

作品紹介・あらすじ

胸を匕首で刺された骸が発見された。北定町廻り同心の木暮信次郎が袖から見つけた一枚の紙、そこには小間物問屋遠野屋の女中頭の名が、そして、事件は意外な展開に…(「楓葉の客」)。表題作をはじめ闇を纒う同心・信次郎と刀を捨てた商人・清之介が織りなす魂を揺する物語。時代小説に新しい風を吹きこんだ『弥勒の月』『夜叉桜』に続くシリーズ第三巻、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 弥勒シリーズ第三弾
    4編からなる短編集でした。

    ■楓葉の客
    殺された男の袖には、遠野屋の女中頭おみつの名前が書かれた紙が。
    おみつの過去が明らかになります。
    そして、遠野屋が家に匿ったお絹
    二つの事件の真相とは

    ■海石榴の道
    殺人事件の濡れ衣を着せられた三郷屋の吉治
    遠野屋と新しい商売を立て直そうとしていた矢先の事件。
    吉治を救うことができるのか?

    ■宵に咲く花
    伊佐治親分の娘のおけいが神社で襲われます
    おけいは思い出せないが、過去、夕顔の花に絡む事件が..
    おけいが過去に見たものとは?

    ■木練柿
    遠野屋とおりんの過去の物語。
    さらに、おこまがさらわれます。
    おこまを助け出すことができるのか?

    遠野屋がより魅力的な人物になってきました(笑)
    信次郎はあいかわらずだけど(笑)

    楽しめました。

  • シリーズ3の一冊。

    今回は短編集。
    読む前はちょっと物足りないかなと思いきや、それを払拭する読後感。どれも濃さを感じた。

    なんだか登場人物達にぐぐっと、より近づいてきた感じかな。

    伊佐治の家族といい、清之介とおりんとの出会いといい、さらに魅力を感じさせ惹きこむ巻だった。

    容赦なく、刃のように人の心を切りつける信次郎には今回もひりひりひやひやさせられっぱなし。
    それでも鋭く斬り込む事件の真相、手腕にまたしても鮮やかに魅せられる。

    伊佐治の目線が毎回良い。

    常に人として…の物差しが良い。やめられない魅力がある作品だ。

  • 遠野屋を真ん中にした短編集。
    めちゃくちゃ面白かった。
    本シリーズ3作目までの、最高傑作。
    ハートウォーミングな話もあれば、謎解きを満喫できるものもあり、さらには遠野屋とおりんの恋話まで大満足の一冊だった。

    • やまさん
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      2019/11/16
  • シリーズ3作目、清之助、信次郎、伊佐治が事件の解明に一肌脱いでいくのは同じである。
    今回は4つの短編だったが、弥勒の月で冒頭で亡くなった清之助の妻おりんのことも描かれていてシリーズに厚みを感じた。

    「楓葉の客」は春日屋の娘お絹が遠野屋で櫛を万引きをする。そのころ、信次郎と伊佐治はあがった死体の見分をしていた。どんな縁があるのか。
    「海石榴の道」は帯屋の三郷屋の主である吉治がおせんの元を訪ねたらおせんが首を吊っていた。吉治は人殺しの嫌疑をかけられる。さて結末は?

    「宵に咲く花」では、伊佐治の義理の娘おけいは、幼いころから夕顔の花が怖く、白い花を見ると熱を出したり、気を失ったりしていた。伊佐治の息子と結婚し忘れていたが、ひょんな事から夕顔に出くわしてしまう。おけいの内面に潜むものはなんだろう。かんぴょうが夕顔の実からだとは知らなかった。干瓢と漢字で見ても夕顔は出てこなかった。知らないことを知る喜びは人のDNAに組み込まれている不変の欲求のように思う。

    「木練柿」は熟柿だろう。私は甘い熟柿が好きで、ふるさと納税でいただいたが一箱届き、食べきれそうになかったのでご近所にお裾分けした。さて、物語はおみつに連れられ散歩に出ていた赤ん坊のおこまが拐われる。おこまは清之助とおりんの間の子ではないが、清之助が育てている娘だ。
    木が清之助やおりんで、おこまが木練柿で木に守られて育っていくのだろう。

    短編4作というが、私には一つの作品の章立てのように感じた。そう感じるのは親子の間柄がテーマになっていると感じたからだ。あさのあつこさんの表現力に魅了された。

  • 弥勒の月シリーズ第三巻。
    同心の信次郎、岡っ引きの伊佐治、小間物問屋遠野屋の主、清之介。
    この三人を中心にした短編集で、表題作を含む四編がどれもとても良かった。
    読者である自分が三人の関係性に段々と慣れてきたのか、江戸の町で生きる人々の思いに感情移入できて楽しめました。

  • 相変わらず、人物造型のうまさが際立つシリーズ。
    まったく相反する立ち位置ながら、互いに惹かれあう清之介と信次郎の緊張関係が秀逸。
    間を取り持つ伊佐治のキャラクターが、また魅力的。
    伊佐治に「ほとほと愛想が尽きる」と言わしめる信次郎が、素直で人の善い同心になってしまったら、事件の解決はできないだろうし、魅力も半減する。
    闇を抱え、それでもあるいはそれゆえ、物腰も佇まいも穏やかで、周りの人々を惹きつける魅力を持っている清之介も捨てがたい。
    この三人の関係のまま、シリーズは続くだろうし、それを期待したい。

  • 文庫化につき再読。

    単行本時レビュー↓
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-540.html

    シリーズ続刊だそうで楽しみです!!

  • 今回は短編集。
    信次郎のヒトデナシ感もパワーアップ。
    清之介のヒトタラシ感もパワーアップ。
    伊佐治、最後の良心。
    心理描写は相変わらず細かいが、若干しつこい。一つ間違うとクドい。
    しかも、細かいのに何か物足りない。
    事件自体は、心理描写がなければ秒で終わる。
    バランスが、悪いのかも。
    人物描写が深く穿ち過ぎなのか?
    でも今のところ、細か過ぎる心理描写・人物描写は、ギリ欠点までは行っていないと思う。

  • この作品は長編の方がキャラが生きる気がする。
    短編集で少し物足りず。脇役メインの短編集ならよかったのだが

    2022.9.23
    137

  • 第三弾
    四篇の連作、関係のある人物に係るエピソード
    三人の個性が際立つ話

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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