名画で読み解く プロイセン王家12の物語 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334045395

感想・レビュー・書評

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  • シリーズだと知らずに買ったので、他の五冊もあわせて読みたいと思います。
    ヨーロッパの本を読むのは二回目です。(前回はレミゼラブル。感動したのを覚えています)
    カラーで、絵画も多くて楽しめました。

    本には教科書に載っていないエピソードが沢山あります。
    印象と違った一面を覗かせることもあり、人物への考え方も変わりました。
    もっと勉強してから読むと面白さが増すと思います。

  • 中野京子さん既刊の『ハプスブルク家12の物語』
    『ロマノフ家12の物語』のようなタイトルにするとしたら
    『ホーエンツォレルン家12の物語』になりますが
    知名度が決して高くなく、そしてたぶん言いにくい憶えにくい名前だから、このタイトルに。

    何世紀も神聖ローマ帝国傘下にあり、300もの中小「主権国家」軍に分裂した状態だったドイツが、ホーエンツォレルン家歴代当主たちの奮闘により19世紀にやっと一つにまとまり、その際、本来の同胞(同じゲルマン民族)たるハプスブルク家を排除する形で独立し、世界最強国の一角に食い込んだ歴史。

    最近読んだ佐藤優さん岡部伸さんの『賢慮の世界史』に
    (私の曖昧な記憶で申し訳ない)ドイツはカイザーでも暴力(?)でもヨーロッパを征服することはできなかったが、経済(EU)で征服した、みたいなこと書かれていました。
    そのカイザー部分がこの本だと思います。

    絵画が奇麗だし、中野京子さんだから
    期待通り面白かったです。

  • 今は歴史にしか残らないプロイセンという名の国

    ドイツの前身とも言える国がどのように出来て行き、近隣諸国との関わり変化の経緯がとても分かり易い書き方で記されている。

    中野京子さんの本は怖い絵でもあるように、自然と興味を持つような言葉で惹きつける。
    絵画から紐解いていく当たり、ただの文章で史実を述べられているのとは違う納得感がある。

    たくさんの邦国からなる国が、プロイセンとなり、ドイツ連邦となり、戦争へと突入し敗戦し、また敗戦していく。
    そんな成り行きの元となるものが垣間見れる良書である。

    手にしやすい分量であり大変お勧め!歴史が好きな人には是非読んで欲しい。

  • ドイツ史といえば、フリードリヒ大王とビスマルクでしょうか。ヴィッテルスバッハ家の美女の肖像画も秀逸です。カイゼル髭のヴィルヘルム二世も近代史につながる重要人物です。

  • 他の有名王家に比べてしまうと、日本でのプロイセンは知名度が低いように思う。フリードリヒ大王が何世かなど露知らず、だろう。
    そもそも美術史からこの界隈に入った自分からすると、ドイツ諸国はロマン主義まで絵画の知名度が低い、耳の国だ。故に知らないことがとにかく多かった。ドイツ第二帝国の短さにも驚きだ。
    他の王家に漏れず、ここも沢山のドラマがある。そして他王家とも繋がっている。相変わらずこのシリーズはビジュアルから入れる上に歴史をかいつまんで知ることができるようまとまっていて面白い。

  • プロイセン王家 ホーエンツォレルン家のお話。ホーエンツォレルン家、ファーストネームがややこしい。フリードリヒとヴィルヘルム以外の名前はないのか?しかも女性にヴィルヘルミーナまでいる。名前の多様性が欲しい。

    ポーランドに臣従していた国がポーランドを分割するようになるとは、思ってもみなかっただろうな。

    スペイン継承戦争でレオポルト1世がスペインを手に入れるため、プロイセンの兵力を当てにして見返りとしてプロイセンを王国にしたのは知らなかった。
    次代の王と先代の王が仲が良い、という例があまりないのも、他の王家と共通している。兵隊王(2代目)と大王(3代目)の仲の悪さは知っていたが、他もあまり良くないように思う。2代目のお妃がゾフアア・ドロテア。アールデンの公女の娘。こちらも母と同じ名前だ。アールデンの公女があまりにも鮮烈に覚えていたので、娘の方はあまり気にしてなかったけれど(兄はジョージ2世になるし)、娘はあのフリードリヒ大王を産むのか…。歴史ってなんだか凄い。
    兵隊王とフリードリヒ大王の仲の悪さは有名だけれど(昔のゲイは本当に命懸けだったんだろうなあ)、目の前で処刑って…。フリードリヒ大王の10年我慢も凄いけど。
    父がいうところの「笛吹きフリッツ」は多分ホーエンツォレルン家で最も有名な人物になる。恋人と逃亡したときに処刑されていたら、歴史はことごとく変わっていたのだ。大王が凄いのは分かる。運にも味方されている。しかもその運は自分の啓蒙主義から引き寄せた運だ。それでも王妃に全く関心を見出さなかったのは、何だかなあ。父王が死んだ後、離婚したら良かったのでは?久しぶりに会った妻に「マダムはお肥りになられましたか?」って…。
    大王の後、甥が後を継いだが、デブの女誑しって…なんというあだ名。これだけなら、愚鈍な王かと思うが、大王から受けた人口、領土を大きく増やした。ドイツ的であれ、と言いながら、フランス語を話していた大王に比べて、アカデミーの会員や劇場の監督をドイツ人に変えた。すこぶる有能。愛人いっぱいで家庭的ではなかったけれど。

    1848年、革命の嵐が吹き、ビスマルクが登場する。プロイセン王はドイツ皇帝になり、オーストリアと対決できる位の国となる。しかしビスマルクを辞職させ、第一次世界大戦が起こり、ドイツは共和制となり、王は亡命、ドイツ帝国は終焉する。

    今回は知っている絵が少なかったせいか、あまり絵に注目がいかなかった。けれども、歴史がよく分かる話で、とても興味深かった。

  • 絵画とともに歴史を辿っていく本。
    フルカラーなのがとても嬉しい。

    歴代プロイセン王の名は、九代全てが「フリードリヒ」と「ヴィルヘルム」の組み合わせからできていて大変覚えづらく、歴史書を読むときも大変苦労する。
    (あなたさっきも出てきませんでした?と何度もなる)

    〜プロイセン王〜
    初代 フリードリヒ一世(猫背のフリッツ)
    二代 フリードリヒ・ヴィルヘルム一世(兵隊王)
    三代 フリードリヒ二世(大王)
    四代 フリードリヒ・ヴィルヘルム二世(デブの女たらし)
    五代 フリードリヒ・ヴィルヘルム三世(不定詞王)
    六代 フリードリヒ・ヴィルヘルム四世(ひらめ)
    七代 ヴィルヘルム一世(白髭王)
    八代 フリードリヒ三世(我らがフリッツ)
    九代 ヴィルヘルム二世(最後の皇帝)

    しかしこの本では、絵画とともにエピソードやあだ名なども紹介してくれているため、大変分かりやすい。
    また、難しい言葉を使っていないのも、この本の分かりやすさに繋がっていると思う。

    新しく得た気づきは、バイエルンについてだった。
    バイエルンはプロイセンを嫌っている、というイメージがずっとあったのだが、なぜなのかは知らなかった。
    バイエルン(を含む南部)はカトリックであり(プロイセンはプロテスタント)、バイエルン・ヴィッテルスバッハ家はハプスブルク家との婚姻も多かったという。
    それを読んで、なるほどとなった。

    印象深かったのは、大王についてだった。
    大王(フリードリヒ二世)が王太子だった頃、カッテ少尉と国外逃亡を企てたときのことだ。
    二人は捕まってしまい、フリッツは要塞に幽閉され、少尉は死刑(斬首)となったのだが、本にはその処刑直前の絵が載せられいる。
    窓から両手を伸ばすフリッツと、それを見上げる少尉。
    その二人の姿が痛々しく、小さく載せられた絵だったにも関わらずどうしても忘れられない。
    男性が好きだった大王は、少尉と恋人同士だったのではと本には書かれている。

    プロイセンの歴史については詳しい本を読んだことがあるが、覚えるのが苦手な私は忘れてしまうこともしばしばある。
    この本は大まかな流れを確認したいときにかなり重宝しそうだ。
    読めて良かったと思う。
    参考文献の本も読んでみたい。

    ざっくりと歴史を知りたい人や、歴史が少し苦手な人にもおすすめの一冊。

  • 息抜き本。このシリーズ好き。

  • フリードリヒ大王とビスマスクという傑物を擁し、世界最強国の一角に食い込んだプロイセン。ヨーロッパの原型を作った王家の217年間の光と闇、運、不運、そして熱い人間ドラマを、色彩豊かな名画とともに読み解く。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40288885

  • 288-N
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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野京子の作品

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